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江田法相が笠間検事総長に「全過程」の録音・録画を指示

「調書裁判からの脱却」の法制化を4月中に法制審に諮問

  江田五月法相は8日、東京、大阪、名古屋の各地検の特捜部が計画している取り調べの録音・録画の試行について、取り調べの「全過程」を対象とするよう、笠間治雄検事総長に指示した。笠間総長は同日、法相の指示に従うことを表明。最高検はこれまで、供述調書の内容を被疑者に確認する場面など取り調べの「一部」について試行する、としてきたが、事件によっては「全過程」で試行を行うことになりそうだ。

 この日の法相の指示は、大阪地検特捜部の不祥事を受けて設置された法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」が3月31日に、「特捜部の録音・録画の試行は、全過程を含めて検討の対象とする」と提言したのを受けたものだ。法相は「検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督できる」と定めた検察庁法14条の「一般的な指揮」権限にもとづき、検事総長に指示した。

 また、江田法相は同日、検討会議が求めた「捜査・公判の在り方の抜本的な見直しを検討する場」を、公的諮問機関である法制審議会に諮問する形で今月中にも立ち上げる方針を明らかにした。従来の取り調べと供述調書に過度に依拠する捜査・公判からの脱却を目指す論議が、一気に加速する可能性が出てきた。

 8日に江田法相が最高検と法務省に文書で指示した「検察の再生に向けての取組」と、それに関連する江田法相と笠間検事総長の記者会見の一問一答の概要は次の通り。

 ■江田法相が最高検と法務省に指示した「検察の再生に向けての取組」

 検察の再生のためには、検察の在り方検討会議の提言を踏まえ、法務省と最高検が適切に役割分担し、相互に協力しつつ、改革策を検討・推進していくことが必要不可欠であり、法務省と最高検において、できる限り速やかに改革策の実現に努め、1年後を目途に進捗状況を取りまとめて公表することとする。

1 最高検が検討・推進すべき事項

 検察の現場を預かる最高検においては、以下の事項について、積極的かつ速やかに検討・取組に着手するものとする。

(1) 提言の第1「検察の使命・役割と検察官の倫理」関連

○検察官の使命・役割を示した基本規程の制定

〔特に留意すべき事項〕

 外部の有識者からの意見聴取などを通じて、外部の声を聞きつつ、検察の次代を担う若手検事等の意見が汲み取れるよう、多くの検察官が参加する幅広い議論・検討を経ることに特に留意し、6か月以内を目途に基本規程を制定する。

(2)提言の第2「検察官の人事・教育」関連

○人材開発・育成・教育の在り方の改革

○より適切な人事政策の推進

○長期的な構想による組織的・継続的取組

〔特に留意すべき事項〕

 検察官の人事・教育については、最高検と法務省との密接な連携・協力が特に重要となる分野である。最高検においては、先端の専門的知識を組織的に集積・活用するため、3か月以内を目途に分野別の専門委員会を設置するなど、各種取組を推進する。

 検察官の人事・教育を含む検察改革を、最高検のリーダーシップの下で力強く推進するため、最高検に専門部署を設置するなど、改革策の実施状況の定期的な検証と必要な見直しが行える体制を直ちに整えることとする。

(3) 提言の第3「検察の組織とチェック体制」関連

○特捜部の組織の在り方の見直し

○検察における捜査・公判のチェック体制の構築

○監察体制の構築

○検察運営の在り方について外部から適切な意見等を得る仕組みの構築

〔特に留意すべき事項〕

 特捜部の組織の在り方については、まずは最高検において、直ちに、その見直しのための検討に取り掛かり、3か月以内を目途に検討結果を得ることとする。また、特捜部の独自捜査に対する「横からのチェック」体制の構築、公判段階における組織的なチェック体制の構築、違法・不適正行為の監察の実施及び検察運営全般に関して外部の有識者から意見・助言を得られる仕組みの構築についても、3か月以内を目途に実現することとする。

(4) 提言の第4「検察における捜査・公判の在り方」関連

○検察の運用による取調べの可視化の拡大

〔特に留意すべき事項〕

 被疑者取調べの録音・録画は、今後、より一層、その範囲を拡大するべきである。特捜部における被疑者取調べの録音・録画の試行は、それを前提とするものであることに鑑み、その実施に当たっては、以下の点に特に留意して方策を講じることとする。

(1)試行指針上の対象となり得る事件については、原則として全事件において試行を行う。

(2)全過程の録音・録画を行った場合に何らかの弊害が生じることとなるのかといった問題点についての検討に資するよう、取調べの全過程の録音・録画を含めて試行の対象とする。

(3)検察官の恣意を排した積極的な運用が確実に行われるような方策を講じる。

(4)最高検は、多角的な検証を行うため、試行状況について逐次報告を受けて把握する。

 これらの留意点に従った試行が行われるようにするための措置を、1か月以内を目途に講じた上、速やかにそれに基づく試行を行い、1年後を目途として、録音・録画の有効性及び問題点等について多角的な検証を実施する。

 また、特別刑事部の独自捜査事件の被疑者取調べの録音・録画については、必要な機器の整備を行った上、3か月以内を目途として試行を開始するよう努め、1年後を目途に多角的な検証を実施する。

 さらに、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に対する検察官の取調べにおける取調べの録音・録画についても、必要な機器の整備を行った上、3か月以内を目途に試行に着手し、専門家の意見を十分に聴取しつつ、取調べの全過程を含む広範囲な録音・録画を行うなど、様々な試行を積み重ね、1年後を目途に多角的な検証を実施する。

2 法務省が検討・推進すべき事項

 法務省においては、最高検における検討・取組の進捗状況について適時報告を受けるとともに、以下の事項について、積極的かつ速やかに検討・取組に着手する。

(1)提言の第2「検察官の人事・教育」関連

○人材開発・育成・教育の在り方の改革

○より適切な人事政策の推進

〔特に留意すべき事項〕

 特に、検察官に対する研修の拡充、専門性向上のためのキャリア形成支援、さらには、有能な人材の幅広い採用、女性の幹部への登用の促進、全国的な見地での人事配置の実施などについて、可能なものからできる限り速やかに実施する。

(2)提言の第4「検察における捜査・公判の在り方」関連

○新たな刑事司法制度の構築に向けた検討の開始

〔特に留意すべき事項〕

 現在の刑事司法制度が抱える問題点に加えて、取調べの録音・録画の拡大と法制化に伴う問題点に正面から取り組み、多岐にわたる諸課題を検討して新たな刑事司法制度を構築していくため、直ちに、法制審議会に対し、所要の諮問を発する準備を開始する。その際、法制審議会における調査・審議に当たり、専門家の知見に加えて、国民の声を十分に反映することができるように配意する。

 ■江田法相の法務省での記者会見の一問一答

 ■検事総長を呼び、口頭と文書で指示

 江田法相: 先ほど取材頂いたかと思いますが、検事総長に法務大臣室に来て頂きまして、検察の在り方検討会議の提言に関して検察の再生に向けての取り組みというペーパーをお渡しして検察改革をお願い致しました。取り調べの録音録画のことも含めて検察の、検察官の心得であるとかあるいはチェック態勢とか、教育の在り方であるとか、専門的な知見の集積であるとか、いろいろと申し上げました。

 これは、その場でも申し上げましたが、私の法務大臣としての検察官に対する一般的な指揮権、これに基づくものだということをあえて申し添えまして、検事総長に重く受け止めてもらうようにおねがいしました。検事総長の方からはきっちりと趣旨を踏まえて対応していく、検察の信頼を必ず取り戻すとその先頭に立って頑張ると、こういう所信表明をいただきました。ということでございますが、中身は質問でお答えしますかね。

 ■1年後をめどに進捗状況を公表

 ――1年後をめどにとあるが、時間の設定の仕方は、なぜそうなったのですか。

 全体にいろんな項目がありまして、中には3ヶ月でというのもあるし、あるいは半年というのもありますし、それらを総じて1年後にどこまでやれたか何がやれてないか、そういう検証をしてみようということで1年というのを、トータルで書きました。

 ――可視化(録音・録画)は、法務省ですでに三役で検証していて6月以降早い時期にということだが、これまでも最高検や在り方会議ですでに答申もだされていて、これをまたやることでさらに実施が遅れることにならないか。法案作成のめどは?

 よりいっそう遅れるというような印象をおもちになっては困るので、そうではなくてこのペーパー(「検察再生へ向けての取組」)の2ページ目ですが、提言の第4の検察における公判の在り方関連で・・・(読み上げ略)録音・録画は今後よりいっそう拡大すべきである。そして、特捜部における試行の実施にあたっては、以下の点に特に留意して方策を講じる、対象となりうる事件は原則として全事件試行を行う、それから全過程の録音録画を行った場合になにかの弊害生じることになるのかという検討に資するよう、取り調べの全過程の録音録画を含めて試行の対象とする、というので、全過程の録音・録画はなきゃいけませんよ、ということをいっているわけです。

 さらに、恣意的な運用にならないようにきっちりと方策を出しなさい、そして、最高検は多角的な検証を行うためにこの試行の状況について逐次報告を受けて把握をしなさい、もちろん、報告を受けて把握をした点については法務大臣の私が報告を受けるということで、直ちにこの試行は始めるということでございます。

 で、この試行をやっていった結果がずっと集大成されて、1年後あたりにどれくらいできた、どういう問題があった、どこまでよくなった、あるいは困ったことがあった、そうしたことをフィードバックしてこれを私の方に報告頂くわけですが、さらに、一番、最後のところですが、新たな刑事司法制度の構築に向けた検討の開始、いまの刑事司法制度が抱えている問題点、それを取り調べの録音・録画の拡大の法制化をやったらどうなるかの問題点がそこに出てきますから、そういう問題点に正面から取り組んで、新たな刑事司法を構築していくために検討の場を早急につくる、そこの検討の場にそうした結果をフィードバックさせて、その刑事司法をいいものに変えていく、こういう全体のスキームなので、遅らせるという話ではありません。

 ■検討会議より踏み込んだ法相の「可視化」指示

 ――可視化について千葉座長の検討会議の方では特に全面可視化といっていない。この部分は踏み込まれているが、全面可視化で試行か?

 全面可視化という言葉が必ずしも意味がはっきりしないのですが、検察が行う取り調べがすべてあらゆることが可視化されるということにはなかなかならないと思います。はっきりいって。しかし、ある一定の範囲では全件可視化ということも考えなさいよと、それから全過程可視化というのも考えなさい、さらに、いわゆる供述が誘導されやすいとか、知的障害などによるそういう一群の被疑者の場合にはこれは専門家の皆さんとよく相談しながらではありますが、全過程の可視化を含むやり方を考えなさいよと、こういうことをいっているわけです。

 ■法制審に諮問、国民の声の反映

 ――刑事司法制度全般の改革。法制審の部会という形になるのか、置かれることにした意図と、国民の声の反映というのは?

 これから検討していくわけですが、これは刑事司法全体を視野に置いて、おそらくこれまでの供述にたよった刑事司法の処理の仕方、これを大きく変えて行かなきゃならんということになると思うんですね。したがって、これは刑事基本法の改革ということになりますから、そうしますと法制審議会という場が一番ふさわしいので、したがって法制審議会にこの検討の場を法制審議会の中に設ける、しかしながら、今の法制審議会ではやはり法律専門家だけということになりますので、そうしますと、国民の目を取り入れる、あるいは国民の外部の風を取り入れること、これは提言にかかれているわけですから、この2つを両立させるために法制審議会の部会ではあるけれども、いまの法制審議会のメンバーで構成するのではなくて、広く経済界であるとか学者であるとか労働界であるとか、いろんなみなさん、あんまり数が多くなっては困りますが、そういういろんな人たちにはいっていただいて、場は法制審議会の部会ですが、組織は広く国民に開かれたものにして検討してもらうということです。

 ――メンバー構成もそうだが、議事録、議事の公開とか課題になってくると思うが、司法制度改革推進本部の検討会はフルオープンだったが、そういったのと同等の透明度の高さでいくのか?

 私もあまりあまりよく知らなかったのですが、今の法制審議会の議事規則というのは非公開と書いてあるんだそうで、しかし非公開で果たして国民の皆さんが納得してくれるだろうかという思いはございます。したがってこれから部会を立ち上げるときの検討課題になると思います。

 ――部会の名称と設置時期は?

 名称も設置時期もこれからです。

 ――たとえば1ヶ月ぐらいとか?

 それは1ヶ月ぐらいの間に作らなきゃいかんと思いますが、まだ人選などもこれからなので・・・がんばります。

 ■刑事司法全体をにらんだ大がかりな議論に

 ――法制審で、通常は諮問をして答申はそのまま法案骨子と同様のものになるが、ここで可視化法案の骨子を整備してもらうのか?1年かけて試行を検証するというが、来年の4月にならないと立案作業に入らないこととも受け止められるが。

 この法制審議会の部会は刑事司法全体をにらみながらやっていきますので、可視化だけに特化した部会じゃないんですね。いろんな刑事司法全体のことを考えていくので相当な大がかりな仕事になると思います。あるいはその部会のもとにさらに専門部会のようなものをおいて、可視化のことはここでやる、たとえば証拠開示はここでやるとか、いろいろなことやらないといけないかもしれません。

 そういう作業をやりながら、部分的にこの点についてはこういう法制化をしましょうとか、この点については法務大臣が検事総長にこういう指示をしてください、とか、そういうことがでてくることもあり得ます。したがって、やってみなきゃわからないので、時期のめどはなかなかそう簡単には出てこない。

 ただ、ご懸念の点、1年立たなきゃ可視化の法案も出ないのか。それは全件とかあるいは全過程を含む可視化を試行で実際にやってもらうわけですから、やっていきながら考えるという面もどうしても出てくるので、可視化をやると新たな捜査手法が要るという声があるいは出てくるかもしれないし、法改正をやらなくてもできるということになるかもしれないし、ひょっとしたら証拠法についての何らかの改正が必要ということになるかもしれないし、これはやっていく中で考えていかなきゃならん。まあいろんなキャッチボールをこれからずっとやっていくということになる。

 ■検察信頼回復のため「全過程」試行に踏み込む

 ――全面可視化には捜査への影響の議論があり、在り方会議でも紛糾した。提言の表現は、特捜部でも全過程を検討の対象とする、だったが、やりなさい、とあえて指示した意図は。全過程はどこからどこまでと想定しているのか。

 提言では、「検討の対象」と。しかし、取り組みの方では「試行の対象」と。したがって、いや検討中です、ということで、やらないということではいけませんよ、もう試行で実現をまずしてください、といっているわけです。そういう面では提言の一番きついところに球を投げたと言えるかもしれません。しかし、検討会議の中で、可視化をすると、やはりいろいろ捜査に障碍があるという意見も出されたことはよく分かっておりますし、あるいは事件によってはそういうことがあるかもしれないし、場面、場面、いろんなことがあるでしょうから、そういう結果をフィードバックしてもらって検討してもらうということで、試行だけど現実にやるんだ、ということなんですね。

 私は可視化したらすべてよくなるとは思わないので、可視化というものを踏まえて刑事司法全体をいまの供述に過度に依存したような刑事司法からだんだん変えていくものだと思っていて、今の可視化はこのくらいまではこの際やってもらわないと、検察の信頼回復の道筋はついていかないという思いで、ここまで踏み込んでみました。

 ――試行とはいっても、生の事件で、全面可視化の長所短所が十分議論されていない中で全面というのはどうなのか。

 そうやって、いっていると、いつまでたってもやらないっていうことになる。まずやることが大切だということで。これは検察ももちろん真剣にこの問題に取り組んでくれると思いますし、また裁判所におかれても、そうした我々の検察を含む取り組みはきっちり理解して頂けるものだと思っております。「全過程」という意義は、今回の検討会議の提言も、私の「取組」というペーパーも、身柄を念頭においていますので、身柄事件の取り調べの全過程ということで単に調書を取るということだけではありません。

 ――試行と法制審でやる部分の時間関係は。試行の結果1年間で検証となるが、それを受けて法制化ということになるのか。法制化はどんどん進めていくのか。

 法制化が前提じゃあありません。法制化を別にしなくても、取り調べの録音・録画というのはできると思います、ただ法制化が必要な場面が、あるいは試行していったら出てくるかもしれない。供述調書の証拠能力について何か手を広げるという必要がでてくるかもしれません。そうすると、何かの法的手当をしないといけないということで。試行がもちろん先行いたします。もう一つ法務省の中で研究している、国の内外を含めていろんな調査をやっている場がもう一つあるんです。これがまた6月をめどに一定の調査を終えてその結果を踏まえた何かを考えないといけないので、そちらから法制化という話が出てくるかもわかりません。

 ――踏み込んだ、という発言は可視化の部分で、試行において「全過程」というが、例外的なものは。

 そこは検事総長を中心に最高検の方で考えていただいて実施の具体化をしてもらいたいと思いますが、ただ、その場合に、この前のいわゆる最高検の検証結果にもとづく試行方針ですね、あれよりも、もう一歩踏み込んだ、そういう実施の指針をつくってほしい、という思いを込めて、特に留意すべき事項を書いてあります。

 ――最高検はいつごろまでにその指針を示すのか。

 1ヶ月以内。

 ■ 最高検の検察運営の在り方への法務省のかかわり

 ――1ページ目の一番下の最高検で検察運営の在り方について、法務省はかかわらないのか?

 (2ページ目の一番下と勘違いして)これは最高検?その結果を報告してもらって関わることになるが、知的障害のある人などが、まず、どういう人が供述弱者ということになるのか、ということの見極めのあたりは、やはり現場の検察官にやってもらわなきゃいかんですよね。そういうときに専門家の人が、こういうような特徴のある人たちだから、良く注意してくださいね、と言ってもらわないと、我々が素人考えでやる話じゃないですから、そういうような意味で専門家の意見を聞きながら一定の指針を作って、そして、こういうものについては、全過程の可視化を含めてやってくれと・・・(1ページ目の一番下の・・・)あああ、1ページ目の1番下。

 ――たとえば、いろんな事件を検証して教訓を生かしていくのかというところで、法務省がかなり関わると思うが、事件検証に外の目を入れるか検討会議でも議論したが、法務省は関与しないのか?

 (表を秘書官に持ってこさせようとするが、出ず)教育の関係なんかは、これ、検察だけじゃダメで、法務省もかかわって一緒に相談しながら教育の方法なんか考えていかないとダメだと思いますが、教育のこととか人事政策のこととかは法務省と検察庁と両方関わりますが、外部の目、外部の風をいれて検察全般に有識者から助言、意見を得る仕組みを考えると、これは、検察にやってもらうという仕切に一応しています。まあ、だけど、いろいろ聞いてみて不十分なようでしたら、そこはまた物言います。いろいろまたご指摘ください。

 ■非公開原則の法制審の議事はどうする

 ――法制審に置くうえで、議事について、原則非公開になっているが、立ち上げの課題と言うが、大臣から何らかのこういう形でやれと措置するのか、メンバー間で議事の公開方法について検討してもらうのか?

 そこまで、まだ具体的に検討していません。正直に言いまして。しかし、私としては、いまこういう時代にそうした議論の場が極力透明化された方が、世間の納得も得やすいし、いいのではないか、という気持ちは持っております。できることなら委員の皆さんにお願いをして、その皆さんの中で議論して公開ということで、公開はいろんな方法があると思いますけどね。どっか部屋でやるわけですから自ずとだれでも見にいらっしゃいというわけにもいかないと思いますが、その時に我々だけで密室の中でやろうということにはなかなかならないんじゃないかと思いますけれども。

 ■「全過程」試行と治安維持への影響

 ――全過程可視化、これまで現場で難しいと言われたのは、今現在、供述に依存する制度で、土台がそのままなのにやってしまうと、治安維持に影響が出かねないという反対論もある。土台が変わらないのに試行をするのはちょっと乱暴なのでは。万一、それによって立件できない事件、治安に影響あると、後戻りできないのでは。

 そういうことも、いろいろ議論はあると思います。だけど、じゃあ、今の刑事司法を、先に、立件できないものは立件できないでいいんだ、という風にしてから、可視化するというやり方ですか。いまのやつは、可視化せずに供述を取っていますよね。そのことによって、今の刑事司法はうまくいっていると。それを可視化をしてもうまくいくように、というので変える、変えないままで可視化したら乱暴なんじゃないかというご意見でしょ。そうすると、可視化によってある供述が

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