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3月13日、東電で何が? 3号機水位低下、社長記者会見

奥山 俊宏

 東京電力福島第一原子力発電所は、建屋を破壊され、外界に放射性物質を放出する異常な事態に陥っている。東日本大震災発生の翌々日である3月13日、東京電力で何があったのか。3号機の水位が急速低下し、社長が記者会見したその日の東電本店の動きを同時進行で追いかけ、報告する。

 

 ■「水位計を信じていいのか疑っている」

 3月13日午前2時44分、3号機の原子炉に水を注入していた「高圧注水系」が停止する。炉の蒸気でポンプを動かす「原子炉隔離時冷却系」の再起動を試みるが、うまくいかない。炉内の水位が下がっていく。

 前日の1号機に続いて、3号機の原子炉も冷却不能に陥る。

 前夜までは、燃料棒の上端より5メートル前後の高さまでの水位が確保されていた。それが午前5時、8時間ぶりに得られた測定値によれば、マイナス2メートル。燃料棒の上の半分が気中に露出している。

 原子炉圧力容器の内部の圧力が急上昇する。午前2時過ぎまでは数気圧だったのが、午前5時には74気圧(7481キロパスカル)を上回る。ディーゼル駆動の消火ポンプで水を入れようとするが、圧力の高さに負けて入らない。

 午前5時10分、原子力災害対策特別措置法15条に定める特定事象に3号機の「非常用炉心冷却装置注水不能」が当たると判断。午前5時38分、「全注水機能喪失」を経産省に通報する。ベントの作業に着手し、午前8時41分に完了する。午前9時5分、圧力容器の安全弁を開き、内部のガスを格納容器側に逃して、炉圧を下げる。9時8分、消火系配管を使って炉への注水に着手する。637キロパスカルに達していた格納容器の圧力が午前9時20分に下がり始め、ベントが成功したと判断される。敷地内の放射線量が再び上昇する。午後1時12分、それまでの真水注入を海水注入に切り替える。午後1時52分、敷地内で毎時1557マイクロシーベルトの放射線量が測定される。

 午後4時6分、東電本店1階で、広報部の吉田薫部長、原子力設備管理部の黒田光課長、巻上毅司課長の記者会見が始まる。

 質問は3号機の炉心水位に

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