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《一問一答詳録》「裏金5千万円を2回用意した」 水谷建設元役員が証言 陸山会公判

 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件の公判で、中堅ゼネコン「水谷建設」の元役員2人に対する証人尋問が5月16日、東京地裁であった。経理担当の中村重幸元常務は「元社長から指示されて、5千万円ずつ2回、計1億円の裏金を会社の帳簿外の資金から用意した」と証言した。


 川村尚元社長は4月の公判ですでに、衆院議員で元秘書の石川知裕被告と、元秘書の大久保隆規被告=いずれも政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で起訴=にそれぞれ5千万円ずつ、計1億円の裏金を渡したと証言している。この日の中村元常務の証言は、川村元社長の証言内容を補強する形となった。一方、小沢氏と元秘書らは裏金の授受を全面的に否定している。

 中村元常務の証言によると、同社が下請け受注を狙っていた小沢氏の地元の「胆沢ダム」(岩手県奥州市)の建設工事の入札時期に合わせて、2004年10月と05年3月ごろに、5千万円ずつ裏金を用意したという。

 小沢氏側への受注工作には同社の水谷功元会長が大きな役割を果たしていたといい、「小沢事務所の了解が得られないと、胆沢ダムの仕事をもらえない」と元会長が話していたことも証言した。

 中村元常務によると、同社は日ごろから土地購入や中古機械の売却などの会計処理で裏金をつくっており、5億円にのぼった時期もあったという。「得意先」に渡して受注を有利に運ぶためだったといい、裏金の支出は水谷元会長と川村元社長が指示をしていたという。

 尾納忍元専務も、「04年10月13日に、小沢事務所に持って行く5千万円を本社(三重県桑名市)から東京支店に運んだ」と証言した。運ぶ直前に、水谷元会長から電話連絡があり、川村元社長が中国から帰国する日に合わせて現金を運ぶよう指示された。5千万円はその日の朝に本社で中村元常務から受け取り、東京支店に運んで金庫に入れたという。

 川村元社長は4月27日の公判で、この5千万円を石川議員に05年10月15日に渡したと証言している。

 次回の公判では、水谷元会長への証人尋問が予定されている。

 証人尋問の一問一答のポイントを記者のメモから再現する。

 ■検察官と尾納忍・水谷建設元専務のやりとり

 ――水谷建設は胆沢ダムの下請けに入り、堤体盛り立て工事と原石山採取工事の下請けに参入した。水谷建設はどんな営業活動した?

 ゼネコンさんに営業した。

 ――それ以外は。

 小沢事務所にも営業した。衆院議員の小沢一郎さんの事務所です。

 ――あなたもかかわった?

 はい。小沢事務所に持って行く5千万円を本社から東京支店に運んだ。

 ――5千万円は現金ですか。

 はい。

 ――運んだのはいつごろ?

 だいたい、1期工事の受注業者が決まった後。

 ――受注業者は?

 鹿島建設JV。

 ――受注が決まった後に届けたと。

 鹿島建設JVが落札した日の後。

 ――具体的にはどのくらい後?

 1週間くらい後。

 ――ほかに5千万円を運んだ時期を特定できる材料あるか。

 当時の川村社長が中国から成田に帰国する日に合わせて運んだ。

 ――平成16年10月の川村元社長の渡航記録を見ると、平成16年10月7日から13日になっている。あなたが運んだのはいつか。

 平成16年10月13日です。

 ――5千万円の運搬の指示あった?

 10月10日、11日か12日か、功会長から携帯に連絡が入り、東京支店に小沢事務所に持って行く5千万円を運んでほしいと言われた。

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