メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

虚偽記載の責任 急増する証券訴訟、企業情報開示で

勝部 純

 金融商品取引法は、虚偽情報を開示した企業の無過失責任を定めている。ライブドア事件のような意図的な粉飾決算でなく、無過失による虚偽記載でも、それが原因で株価が下がれば、突然、株主から巨額の証券訴訟を起こされるリスクがあるのだ。「損害」に対する裁判所の判断も分かれている。企業経営者や法務担当者は、適時開示を遵守するのは当然だが、いざ虚偽情報を開示してしまったとき、どう対処すべきか。勝部純弁護士が解説する。

虚偽記載の責任
~急増する証券訴訟~

西村あさひ法律事務所
弁護士 勝部 純

勝部 純(かつべ・じゅん)
 2004年、一橋大学法学部卒業、2006年に弁護士登録(司法修習59期、第二東京弁護士会)、一般企業法務、企業危機管理(コンプライアンス)の他、国内の大規模紛争案件、クロスボーダーの紛争案件などを担当。

 ■ はじめに

 不正な会計処理を行って架空の利益を計上するなどの粉飾決算を行い、財務内容を良く見せかけた虚偽の有価証券報告書などの開示書類を提出する事例は後を絶たず、「粉飾決算」や「虚偽記載」という見出しを新聞の紙面で見掛けることも多い。

 しかし、一般の読者は「証券訴訟」という言葉には余り馴染みがないのではないだろうか。上場会社において

・・・ログインして読む
(残り:約6843文字/本文:約7256文字)