メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

CIAから「日本の政党」への資金提供で日米が口裏合わせ

奥山 俊宏

 米国の大手航空機メーカーから総理大臣・田中角栄ら日本の政治家に裏金が渡ったとされるロッキード事件。この連載『秘密解除・ロッキード事件』では新たな資料をもとに新たな視点からこの事件を見直していく。この第3部では、アメリカ政府の情報機関CIAとロッキード、日本の政治家、右翼の関係に焦点をあてる。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽敬称は略しました。

  ▽この連載の目次とリンク

  ▽この記事は岩波書店の月刊誌『世界』2011年3月号に掲載された原稿に加筆したものです。

 

 1976年5月6日午前、米国の駐日大使ジェームズ・ホジソンは日本の総理大臣・三木武夫に言った。

 「避けるべき問題が二つあります。その一つはCIAです」

 米政府の情報機関CIA(中央情報局)は1950年代、日本の政治家に資金を援助していた。つまり、日本の政治家にワイロを渡したのは航空機メーカーのロッキードだけではなく、ほかならぬ米政府自身もまた、カネで日本の政治を買収しようとしていた。しかも、同じ右翼のフィクサーがそのカネの流れにかかわり、暗躍していた。

 そうした事実が1976年春、ロッキード事件に関連する疑惑として浮上してきたとき、ホジソンは三木に直接「CIAの問題には近寄らないで」と要請した。三木は逡巡しながらも、それに応じ、ホジソンに口裏合わせを依頼した。そして、疑惑はうやむやにされた。

 ■NYタイムズの1面トップに

 1976年4月2日、米

・・・ログインして読む
(残り:約15683文字/本文:約16311文字)