2011年08月30日
東京高裁刑事717号法廷。裁判所職員によって事件名が読み上げられているとき、法廷にある時計の針が10時半へと進む。
裁判長に促されて自席を立つとき、東郷元頭取がつまずいて、転びそうになる。岩城元副頭取がその身体を支える。2人は並んで、裁判長に正面から向かい合って、証言席の前に立つ。もう一人の被告、窪田元会長の姿はない。病と闘っているからだ。
裁判長が「本日出廷していない窪田被告」も含め被告3人の名前を口に出して確認する。
「東京地方裁判所が言い渡した判決に対し、各被告人からそれぞれ控訴の申し立てがあったので、当裁判所は、次のとおり判決する」
一瞬の間を空ける。
「原判決を破棄する。被告人らはいずれも無罪」
東郷元頭取と岩城副頭取は会釈するように軽く頭を下げる。
裁判長から「元の席に戻ってください」と言われて、東郷元頭取は改めて深く一礼する。
裁判官席の脇にホワイトボードが用意される。その一番上には
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください