水谷建設からの5千万円も動機と認定
2011年09月26日
判決によれば、東北地方では、大手ゼネコン「鹿島」の談合担当者が仕切り役となって公共工事の受注業者を談合で決めており、なかでも岩手県や秋田県では「小沢事務所の意向」が受注業者の選定に決定的な影響力を持っていた。そのため、小沢議員の秘書から発せられる「本命業者とすることの了解」は、ゼネコン各社にとっては、いわば「天の声」と受け止められていた。このような強い影響力を背景に、小沢事務所は、受注を希望する企業に多額の献金を行わせていた。政治資金規正法が改正されて企業献金が原則禁止となった後は、小沢事務所は引き続き企業から多額の献金を得るために、他人名義の寄附を受け、政治資金収支報告書には虚偽の記入をした(西松建設事件)。
水谷建設の元社長の法廷での証言によれば、同社長はダム工事に参入したいと大久保元秘書に陳情していたが、大久保元秘書から「1億円を納めていただきたい」と要求され、2004年10月15日、東京都内のホテルで、大久保元秘書の同僚秘書だった石川知裕・衆院議員(38)に5千万円を手渡し、2005年4月19日、大久保元秘書に残りの5千万円を渡した、という。判決はこの証言について「他の水谷建設関係者の証言とも符合し、ホテルにおけるレシートなど客観的証拠とも合致しており、信用できる」と判断した。
1回目の5千万円の授受があったとされる2004年10月、陸山会は小沢議員から4億円(本件4億円)を借り入れた。この4億円について、判決は「用立てた小沢自身ですら、本件4億円の原資について明快な説明ができていない」と指摘し、「本件4億円は、その原資を明快に説明することが困難なもの」と認定した。こうした背景事情を前提に、判決は「本件4億円の原資などを巡ってマスコミから厳しい追及・せん策を受け、その原資や水谷建設からの5千万円などの事実が明るみに出る可能性があったため、かかる事態をおそれて本件4億円を隠ぺいしようとしたことが合理的に推認できる」と判断した(陸山会事件)。
■陸山会事件で大久保元秘書の共謀を認定
さらに、この4億円を陸山会の収支報告書(2004年分)に記載しなかったことについて、判決は、大久保元秘書が石川議員らと共謀した事実をも認定した。
収支報告書を作成したのは石川議員であり、大久保元秘書が直接、その作成にかかわっていたわけではなかった。また、地裁は判決前の決定で、石川議員と大久保元秘書の共謀を直接裏付ける証拠となりうる検事調書を証拠から排除していた。このため、この共謀の部分については、大久保元秘書は一部無罪になるのではないかとの予想もあった。
しかし、判決は、大久保
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