メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

石川知裕議員が小沢一郎議員の公判で証言《一問一答詳録》

 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎被告の第3回公判が10月28日、東京地裁(大善文男裁判長)で開かれた。証人尋問を受けた元秘書・石川知裕衆院議員は、公判の争点である小沢氏との「虚偽記載の共謀」を明確に否定した。

石川知裕衆院議員の証言を聴く小沢一郎・民主党元代表=東京地裁、絵と構成・小柳景義

 石川議員は、問題となっている2004年分の政治資金収支報告書の作成者。東京地検特捜部の取り調べに対し、石川議員は「小沢氏から土地購入費として借りた4億円を記載しないことを、小沢氏に報告し、了承を得た」などとする内容の供述調書に署名した。しかし、石川議員はこの日、調書の内容を「間違いだ」と次々に否定。検察官役の指定弁護士にとって、石川議員は最大のキーマンだが、この日は有力な証言を得られなかった。

 この日は終日、検察官役の指定弁護士からの質問に答えた。

 指定弁護士の主張によると、石川議員は04年10月12日ごろに東京都内の土地の購入費として小沢氏から4億円を借り入れ、同月29日に総額約3億5千万円で購入したが、小沢氏の4億円は「表に出せない資金」と考えた。

 このため、関連団体の資金を集めて陸山会名義で4億円の定期預金を組んだうえで、これを担保に銀行から小沢氏名義で同額の融資を受け、陸山会に転貸する偽装工作をした。そのうえで石川議員は、銀行融資の4億円だけを借入金として記載し、小沢氏の4億円は書かなかったーーとみている。

 石川議員はまず、収支報告書にどちらの4億円を記載したのかを問われ、「小沢先生からお預かりした4億円をきちんと記載したつもりだ」と虚偽記載を改めて否定した。一方でこの点を繰り返し問われると、「小沢さんから預かった4億円を預金して担保にして、一つのスキームとしてすべて手続きしたので、どちらかと言われると困る」とあいまいな答えもした。

 石川議員は自身の公判では、「小沢氏からの4億円で土地を購入し、収支報告書にはこの4億円を借入金として記載した。銀行融資は記載する必要がない」と供述していた。

 しかし、小沢氏の弁護団は、小沢氏が石川議員に個人的に預けた4億円で定期預金が組まれ、銀行融資の担保になったと主張し、「陸山会が小沢氏から借りたのは銀行融資の分だけで、別に4億円の借入金が存在したことはない」と虚偽記載を否定している。

 この日の石川議員の証言は、小沢氏弁護団の主張に沿うように自身の主張を微調整したものとみられる。

 指定弁護士は次に、小沢氏への「報告・了承」を認めた調書について質問。内容は間違いかと問われた石川議員は「はい」と答え、「検事の取り調べでは、思ったことを調書にしてくれない」と不満を述べた。

 一方で、関連5団体の総収支の一覧表については「(04年)12月の忘年会に行く前に先生に報告したと思う」と答えた。さらに、秘書時代のノートに「(収支報告書の)全体を先生に見せる」という記載があることを示され、「まとめたものを小沢氏に見せるという意味ではないか」と聞かれると、「よく覚えていないが、そうかもしれない」とも述べた。

 小沢氏は、定期預金を担保にした銀行融資の書類に自ら署名した。石川議員は「これまでもやったことがある方法なので、先生は『わかった。サインすればいいんだな』と言っただけだ」と証言。「先生としてはお金を出して終わっている話」とも述べ、偽装工作の認識が小沢氏にあったとみる指定弁護士の見方に反論した。

 土地の登記を05年1月7日付にずらし、05年分に代金支出を記載した理由については、先輩秘書だった樋高剛・現衆院議員の名前を挙げて、「総選挙や代表選があるかもしれないので、時間的な余裕を持って延期した方がいいとアドバイスを受けた」と述べた。

 この登記の延期も、調書では小沢氏に報告したとされている。だが、石川議員は「そういう調書を書かされたが、報告していない」と否定。指定弁護士が「自分が出して4億円で買った物件に関心を持っているのでは」と繰り返し聞くと、「買わないなら報告するが、約2カ月遅らせるだけなので」と語った。

 小沢氏の4億円の原資についても、調書には「表に出せない簿外資金」とあるが、石川議員は「自分が言ったのではない。長い人生で蓄えたお金としか答えようがない」と述べた。この現金4億円を陸山会の口座に分散して入金した点については「あまり大きな金を政治家が持っていると分かると芳しくない。一度に持ち込むと銀行にせんさくされると思った」と答えた。

 指定弁護士は、「師」と仰ぐ小沢氏に無断で石川議員が物事を進めることはないとみており、両者の絶対的な主従関係を際立たせるための質問も目立った。

 石川議員は小沢氏の書生になった理由を「『日本改造計画』を当時出版されて話題になっていた。変革期にある日本の政治の現状を打開してくれる政治家だと思った」と述懐。「節約する時に節約し、使う時に使う」という田中角栄元首相の考え方にならって「コピー用紙には裏紙を使うように言われた」、小沢氏の携帯電話を管理していた時は「余計なことは取り次ぐなと叱られた」などというエピソードを語った。

石川知裕議員に対する証人尋問の一問一答のポイントを記者のメモで再現する。

 ■指定弁護士と石川知裕証人のやりとり

 ーー小沢被告はどういう事実で起訴されたか理解している?

 すいません。正式な罪状や法廷にどうかというところまでは理解していない。

 ーー大くくりでは理解している?

 私ども3人との共謀ということは理解している。

 ーー一つは平成16年の陸山会の政治資金収支報告書に、小沢被告からの4億円を記載していない、二つは深沢8丁目の土地について16年収支報告書に資産や取得費用を記載せず、17年の収支報告書に記載したという内容。お分かり?

 はい。

 ーー強制起訴の前に話を聞けず、証人テストにも応じてもらえなかったので、確かめながら聞いていく。

 はい。

 ーー平成16年の土地取引問題。小沢被告が交付した本件4億円と、もう一つは10月29日にりそな銀行から借り受けた4億円。甲13号証の16年の収支報告書の借入金の欄を示す。「小澤一郎 4億円」とあり、備考欄に「平成16年10月29日」とある。この4億円は二つのうちどちらを書いた?

 (弁護団:異議。弁護団は二つあること自体を争っている)

 ーーどちらを書いた?

 小沢先生からお預かりした4億円です。

 ーー16年の収支報告書にうその記載をしたり、間違った記載をしたりしたことは。

 控訴中ですので・・・。自分としてはきちんと記載したつもりです。

 ーー控訴中というのはどういう意味?

 控訴しておりますので。

 (裁判長:事実としては、きちんと記載したということでいい?)

 はい。

 

 ーー甲222号証を示す。私が作った資料で、16年の収支について、左から5団体間の収入、5団体間の支出、それ以外の収入、それ以外の支出となっている。

 (弁護団:書面を示す意味が明らかにされていない。書面による誤導にあたる)

 ーー16年の5団体からの資金移動として。小沢一郎政経研究会から9500万円の収入があった?

 すいません。政経研究会から陸山会にということですか?

 ーーはい。

 えー・・・移動を・・・一審でも述べたが、右のポケットから左のポケットと表現したが、戻すのを忘れたことはある。

 ーー戻すのを忘れたかどうかではなく、まず9500万円の移動はあったか?

 現金の移動?

 ーーはい。

 あったと思う。

 ーーその移動は記載したか。

 しなかったと思う。

 ーー誠山会から2千万円の移動は。

 あったと思う。

 ーー民主党岩手県第4区総支部から7千万円は。

 あったと思うが、すべて細部までは覚えていない。

 ーーりそな4億円は収支報告書に記載した?

 私としては小沢さんから預かった4億円を記載した。

 ーーだから、りそな4億円は書いた?

 どちらと言われると困るが、小沢さんからの4億円で預金担保して、一つのスキームとしてやっていたので、どちらかと言われると困るが、小沢さんから預かった4億円ですべて手続きしている。

 ーーりそな4億円は書いたのか。

 どちらかと言われると困るが、小沢さんの4億円ですべて手続きしたので、どっちを書いた書いてないと言われるとお答えが難しいです。

 ーー小沢さんの書生は平成7年夏から17年7月まで?

 8年2月からです。

 ーー終わりは17年7月。

 はい。

 ーー書生を10年以上。

 10年弱です。

 ーー書生になったのは、政治サークルに入って紹介されたから?

 はい。

 ーー誰から?

 現在衆院議員の樋高剛さんと、小沢一郎先生の元秘書の南裕史さんです。

 ーー後任の池田秘書も同じサークルに?

 はい。

 ーー南さんも樋高さんも小沢さんの秘書だったことが?

 はい。

 ーー小沢被告をどう評価して小沢事務所にはいった?

 日本改造計画を当時出版されて話題となっていたので。また紹介などもあったので事務所に入ることを希望した。

 ーー小沢さんの特質などについては。

 ちょうど日本の政治が変革期にあるので、現状を打開してくれる政治家だと思った。

 ーー姿勢がぶれないことも評価した?

 入る前よりも入った後、そう感じることがあったと思う。

 ーー最初は書生で小沢被告の私邸に住まいが?

 はい。

 ーー運転手も?

 時折。

 ーーその後、チュリスに入って深沢に戻り、またチュリスに。その時に秘書寮に住まいが?

 はい。

 ーー戻った後のチュリスではどういう仕事を?

 経理の仕事。

 ーー経理の知識は。

 詳しくはなかった。

 ーーあなたの前はだれが経理を?

 樋高さんと近藤さんです。

 ーー経理の仕事とは金の出入を。

 はい。

 ーー金庫番という役割?

 金庫番の定義が難しいんですが。

 ーー前任者からの引き継ぎは。

 きちんとは受けていない。樋高さんは議員になっていたので、近藤さんと見よう見まねでやっていた。

 ーー甲180号証を示す。これはあなたの字?

 はい。

 ーーどういうもの?

 私が仕事についてまとめていたノートです。その都度メモしたものをまとめた。

 ーー前任者から教えてもらったことを?

 まぁそういうことになります。

 ーー教えてもらったことに、収支報告書についての指示は。

 特に記憶には浮かばない。

 ーー甲180号証18ページの「収支報告書の注意事項」を示す。【モニターに「・3月31日までに期日厳守 ・先生が個人で出すもの(会館の理髪代、誰かとの会合、駐車違反など) ・マスコミからの質問に対して収支報告書の通りであると答える。一切答える義務はなし」と映し出される】「マスコミからの質問に対して収支報告書の通りであると答える」とあるが、これも前任者の引き継ぎ?

 記憶にない。

 ーー「全体、先生、先生に見せるもの」とあるのは?

 だいぶ前のことなので…。

 ーーまとめたものを先生に見せるという趣旨では?

 そうかもしれない。

 ーー小沢事務所に入る前から政治家になりたいと思っていた?

 できればとは思っていた。一度は平成12年の時に。

 ーー国政?

 はい。

 ーー小沢さんは秘書にとっては雇い主。小沢さんは秘書にどう接する?

 口数は少ない。

 ーーああしろ、こうしろというのは?細かい?おおざっぱ?

 ケースバイケース。

 ーー小沢さんが日ごろから言ってたことはある?

 どういう点?

 ーー目上の者に対する礼儀とか。

 それは礼儀正しくと。普通のこと。先輩議員への対応で言われたことある?小沢先生より目上の人に。

 ーー小沢辰男議員については叱責されたことある?

 あります。

 ーー電話の取り次ぎでは?

 あります。

 ーー小沢さんの携帯電話を管理したことある?

 あります。余計なことは取り次ぐなと。

 ーー取り次いで叱責されたことは。

 あります。

 ーー被告人の機嫌を損ねないようにしていた?

 それはだれでもある。

 ーー小沢さんがあなたのミスについてねちねち責められたことは。

 ケースバイケース。

 ーー節約については。

 節約を心がけるようにと。でも、使うときには使う。

 ーーコピー用紙について言われたことは。

 裏紙を使うように言われた。

 ーー田中角栄さんと対比したことは。

 節約するときには節約し、使うときには使う。

 ーーそれが田中角栄さんのやりかたと。

 はい。

 ーーあなたは「悪党」という本を書いてますね。

 はい。

 ーー使うときに使うということで比喩をつかったことは。

 今回の4億円。

 ーーその結果どうなった。

 捕まった。

 ーー秘書は毎朝打ち合わせしてた?

 私がいたときは。

 ーーいつ?

 8時前後に小沢先生のいる部屋。

 ーー具体的には。

 私邸の中の茶の間。

 ーーリビング?

 表現は同じ。

 ーーどれくらい?

 15分から20分。秘書が入ったり出たりするが。

 ーー秘書が集まって報告することもある?

 そういうことはある。

 ーー入れ替わって個々に話すことも。

 ケースバイケース。

ーー内容はその日の予定?

 そのときによって。

 ーー小沢さんの方で秘書の行動を把握しようとは。

 ない。

 ーー何人くらいの参加?

 4、5人と思う。

 ーー秘書はどこに勤務する?

 議員会館と経理をしている事務所。

 ーーチュリス?

 はい。

 ーー4、5人が議員会館とチュリスに勤務している。

 はい。

 ーー小沢先生の私邸から分かれて移動する。

 はい。

 ーー経理の仕事は5団体についてすべて行う。

 ほぼそう。

 ーー岩手県4区支部は向こうがやる。

 その通り。

 ーー5団体とは、陸山会と民主党岩手県4区支部、誠山会、小沢一郎政経研究会、小沢一郎東京後援会。

 はい。

 ーーあなたは5団体の経理処理、収支報告書を作成していた。

 はい。

 ーー5団体は独立した組織の実態はある?

 岩手県4区支部は水沢にあったが、ほかの4団体の所在地は港区赤坂のチュリス赤坂にある。

 ーー構成員は区別されずに勤務していた。

 4団体については。

 ーーあなたはどこから給与をもらっていた。

 私は主に東京後援会からもらっていた。

 ーー5団体あるいは4団体が独立した実態はないということですが、役割分担、経理上の役割分担はありましたか。

 はい。

 ーー5団体のうち、団体間の移転ではない実質的収入があったのは?

 三つあります。陸山会と小沢一郎政経研と政党は途中で変わりましたが、私のときは自由党岩手県第4区総支部、途中から民主党岩手県第4区総支部です。

 ーー陸山会は何の収入があった?

 個人献金とその他の団体からの寄付です。

 ーーその他の団体とは。

 政治団体です。

 ーー小沢一郎政経研の収入は?

 主に政治資金パーティーを開催し、そのときパーティー券を購入していただいた方のお金です。

 ーー民主党岩手県第4区総支部の収入は?

 主に企業・団体献金です。

 ーー誠山会、小沢一郎東京後援会はないと。

 私の担当当時ではない。

 ーーそれぞれの経費支出を聞きます。陸山会は主に何に支出していた?

 恒常的な政治活動費の中で、不動産にかかわるもの、あとはちょっとはっきりと覚えていない。

 ーー不動産が多かったと。毎年の支出の金額は?陸山会の。

 はっきりと覚えてないが、だいたい数千万円はあった。

 ーー不動産の支出入れて、数千万円で?

 買った場合は増減あるが、管理費、ローン入れるとそのぐらい。

 ーー収支報告書見れば思い出しますな。

 見れば。

 ーーあとの4団体の支出は。

 見せていただければ。7、8年前のことなので。

 ーー甲222号証示します。私でまとめたもので、あなたの記憶と違うかもしれません。平成16年の分ですが、一番左が陸山会、民主党岩手県第4区総支部が3500万、誠山会が・・・円、小沢一郎政経研が・・・円。小沢一郎東京後援会が2000万円。私が計算したらそうなったが、あなたの記憶とはどう?

 だいたいそのぐらい。

 ーーこの5団体について、借り入れをのぞいた実収入、純支出の資料は作っていた?

 はい。

 ーー甲24号証を示します。平成13年分の純収支。この表はあなたが作った?

 平成13年のは私だと思う。

 ーー目的は?

 ある程度把握しておこうと思った。

 ーー不動産の購入、借り入れの返済があったので、不動産を抜いて計算しようということでは?

 これが収支報告書載せてるもので、不動産だけじゃなくていろいろ把握しようと。

 ーー5団体間の移転とかを除いて、純収支を計算して確認したと。

 そうかもしれません。

 ーーこれ、結果的にマイナスになっていますね。

 はい。

 ーー平成14年もあなたが。

 私がやったと思う。

 ーーやはりマイナス。

 はい。

 ーー2900万円程度のマイナスですね。

 はい。

 ーー平成17年収支概算はあなたが作った?

 これは記憶にない。

 ーー平成17年は池田さんの可能性がある?

 はい。

 ーー昨年収入というのは平成16年のことですよね。

 そうかもしれません。

 ーー平成16年はあなたが作った?

 はい。

 ーー平成15年は作った?というのは発見できなかったので。

 はっきりと覚えてません。

 ーー平成17年、平成16年は作ってた。平成15年も作っていた可能性はありますね。

 そうだと思うが、わかりません。

 ーー平成13年、平成14年は少なくともマイナス。

 はい。

 ーーもう一度、甲24号証を示します。平成14年の収入欄には2億5千万円と。

 はい。

 ーーあ、撤回します。当時5団体の収入というのは徐々に増えていた?横ばい?マイナス?どう考えてた?

 そんなに変わらなかったかと。

 ーーマイナス気味という認識は?

 パーティー券が増減したので、そういうことは感じなかった。

 ーー甲225号証示す。あなたがいないときの数字について聞く。一番右がすべての合計。平成19年の収入で団体間の移転を除くと、1億4千万円。これは少ない方?

 1億4千万というのは?

 ーー実質的収入。

 減っていたと思う。

 ーーあなたが秘書をされていた当時、不動産の支出は5団体のどのくらいの割合を占めていた?

 買うときは大きな金額だったので。

 ーー平均は?何割ぐらいとか。

 それは難しいですわ。

 ーー私が計算して、60%ぐらいだった。認識は?

 そういう計算をしたことがないので。

 ーー陸山会の分。陸山会は昭和44年に設立され、平成7年に小沢被告の資金管理団体になった。わかりますか?

 昭和48年生まれなので。

 ーー平成7年に資金管理団体になったことは?

 法改正があったと思います。

 ーー陸山会は紙ベースの帳簿は作っていた?

 帳簿は作っていた。

 ーーそれは紙ベース?

 前任者までは。私は少なくとも、コンピューターを使ったことが多かった。

 ーー電子ファイル以外で記帳したことは?

 なかったと思います。

 ーー甲17号示す。陸山会抄録。平成15年から21年までのもの。見覚えは?

 ない。表も記憶ない。

 ーーこういう形態の資料に見覚えはない?紙で帳簿を打ち出したもの。

 収支報告書を作るときはプリントアウトするけれど。

 ーー陸山会が取得した不動産について。関連5団体のなかで、不動産を取得してるのは陸山会だけ?

 記憶しているのは陸山会のみ。

 ーーあなたが秘書をしていたときの取引で、カーラ赤坂という物件を取得した?

 はい。

 ーーどこからの融資?

 りそな銀行だと思う。

 ーー名義は、陸山会代表小沢一郎の時と、衆院議員小沢一郎のときがあるが、どっちだった?

 陸山会代表小沢一郎だったと思う。

 ーー担保は?

 預金担保。

 ーーどこの預金?

 陸山会の預金を担保にした。

 ーー外から入った誰かのお金で組んだ預金でなく、陸山会の預金。

 はい。

 ーー買うのを決めたのは誰?

 最終決定は小沢先生。

 ーーこの物件が必要だと決めたのは?

 私の提案だった。

 ーーなぜ必要だった?

 当時、外国人の秘書が多くて、もう一つ必要だった。

 ーーあなたたち、深沢に住んでいる人たちのではなくて、外国人の秘書のために。

 はい。

 ーー○○南青山という物件がある。これは?

 これは小沢先生が決めた。

 ーー何に使うため?

 お子さんが住むためと聞いた。

 ーーだれが、何を担保に?

 小沢先生個人の売買だった。

 ーー小沢さんが住宅ローンで買った?

 そんなに深くは覚えてない。手伝いくらいだったので。

 ーーどんな手伝い?

 小沢さんが子どものために買うということで、銀行とのやりとりをした。

 ーー小沢さん個人のものだったけど、その後、陸山会のものになったことはある?

 はい。

 ーーなぜ?

 お子さんが住まなくなった。

 ーー陸山会はその物件が必要だったの?

 もう1人、女性の秘書が住めるように。

 ーー事務所勤務の秘書?

 はい。

 ーー実際に住んだ?

 はい。

 ーー仙台と盛岡の物件は?陸山会が購入?

 はい。

 ーー担保は?

 陸山会の預金。

 ーーどう使われたの?それぞれ。

 仙台も盛岡も、政治活動のために使った。大久保さんが仙台や盛岡に行ったときに。

 ーー平成15年に購入されている。その説明でいい?

 はい。

 ーー大久保さんは世田谷に当時住んでいる。仙台や盛岡に行くときに使ったと?

 頻繁にいっていた。

 ーー他にも不動産の購入に関わった?

 平成12年に平岡さんの手伝いをしたことがある。クレアール赤坂という物件。

 ーー陸山会が購入した?

 はい。

 ーー平成11年にクレアール赤坂の手伝いをした。小沢被告の奥さんから買った水沢事務所については?平成11年11月に購入されているけど。

 したかもしれません。でも、当時は水沢にいた。手続きは東京でされてたと思う。

 ーーなぜ必要だった?

 記憶ない。

 ーー平成12年以降関与した物件、南青山以外はみんな預金担保融資だった。

 はい。

 ーー平成14年に、不動産借り入れについて一括返済した?

 わからない。

 ーーりそなからの、不動産についての借り入れについて。

 はっきりしない。

 ーー収支報告書甲11号証を示します。資産等内訳書の借入金の欄です。小沢一郎、126,349,813円とありますね。

 はい。

 ーー平成14年末の決算です。借入金として小沢一郎とあって、2つの借入金がありますね。大和銀行というか、りそな銀行の記載はありませんね。前年まではりそな銀行の借り入れという記載がありましたので、こういう質問をするのですが。一括して返済したことはありますか。

 ちょっとわかりません。担当でしたが、記憶にありません。あのー、前年までは銀行の記載があったとおっしゃったのですが、それもよくわからない。

 ーー見せましょうか。

 ちょっとわからないので。

 ーー平成15年甲10号証、資産等項目別内訳書の借入金の欄です。大和銀行衆院議員支店、小沢一郎と書かれていますね。それで、返済を・・・。

 いやぁ、ちょっとわかりません。

(10分間の休廷)

 ーーあなたは経理担当をされていた時の収支報告書について聞きます。引き継ぎじゃ受けましたか。

 教えてもらいました。

 ーーさっきノートを見てもらいましたが、備考のために、記録したことはありますね。

 あったと思います。

 ーー甲180号証の34枚目です。【ローン記載という題名の手書きの書類】。大和銀行やさくら銀行のローン返済とありますが、引き継ぎを受けましたか。

 そうだったと思います。

 ーー大和が1億3千万円、元赤坂タワーズなどと書いていますね。

 はい。

 ーーこのうち小沢一郎個人の名義で買ったものはどれですか。

 陸山会で使用したものだと思います。

 ーーいや、そうではなくて、陸山会の名義のものか小沢さん個人のものか、という意味です。

 おそらく陸山会のみだと思います。

 ーーチュリス赤坂とかグランアクス麴町とか書いてありますが、これも全部陸山会のものですか。下の欄に書いてあるここを言っているんですよ。

 はい、わかっていますが・・・・。

 ーー甲44、45号証を示す。佐藤哲雄から小沢一郎に登記変更されている。佐藤から小沢に名義変更したのは代表がかわったから?

 記載を見る限りそう。

 ーー移転の際に課税された?

 わかりません。当時、事務所にいなかった。

 ーー政治団体の代表者がかわる時に、課税されるかどうか検討されたことは。

 記憶にない。

 ーー知識はありますか。

 十分とは言えない。課税といいますか。

 ーー贈与とか。

 かかる時はあると思う。

 ーー甲174号証示す【本件土地の確認書】。見たことありますか。

 はい。

 ーーいつ。

 作成されたとき。

 ーー平成17年1月7日に作成されたとき。

 だと思うが、記憶がはっきりしない。

 ーーそれまでに陸山会が物件を買うときにつくった?

 作ったことはあったと思う。

 ーーあなたが作って管理したことも?

 あったと思う。

 ーー小沢和子さんに5団体から賃料を払ってますね。いくらですか。

 はっきりとしない。

 ーー私邸部分は?

 100万円を超えてた。

 ーー資料をみると334万円。

 秘書寮は2つの団体に分けていたので金額まで覆えていない。

 ーー年間4千万円を超えるが、5団体から払ってる?

 払った記憶はある。

 ーー負担では?

 それぞれの団体でいくらか覚えてない。

 ーー私邸はどう使ってる。

 私たちの住居と駐車場。

 ーー書生と駐車場の対価。

 だったと思う。

 ーー平成16年に本件土地を買ってる。平成17年にかけて、本件土地以外に不動産を購入する希望を持っていた?

 覚えてない。

 ーー池田秘書に引き継いだことは。

 覚えてない。

 ーー引き継いでないわけではない。

 わからない。

 ーー甲179の32枚目を示す。これは池田秘書がつくったノート。「先生が買いたいところ ホテルニューオータニ テナント6億円 現在パイオニア創業者と大門建設が折衝中」とあるが。

 あったかもしれない。

 ーーどこで買うの。

 わからない。

 ーー不動産取得にかかわる借り入れなどは収支報告書にきちんと記載していた?

 私はしていた。

 ーー5団体からの収支一覧表をエクセルでつくった?

 作ってた。

 ーーいつ?

 12月に入ってから。

 ーー何のために。

 自分の把握と収支報告書作成の際の目安として。

 ーーそれだけ?

 小沢先生に聞かれたときに答えられるように。

 ーー小沢先生は毎年聞いてた。

 忘年会に行く前に報告するようにはしていた。

 ーー毎年?

 私の記憶ではしてたとおもう。

 ーー池田秘書にも引き継いだ。

 できたらですけど。

 ーー弁2号。収支一覧。こういうのを毎年作られていた。

 はい。

 ーー平成16年もつくった。

 つくってたと思う。

 ーー甲18示す。5団体の収支一覧。検察官の取り調べでも示されたはず。あなたが作った?

 はい。

 ーー右の欄外の数字は?

 ちょっとわからない。

 ーーあなたがつくったのでは。

 だいぶ前なので。

 ーー検事にも聞かれたのでは。

 それもだいぶ前なので。

 ーー公判では示されていない?

 示されたと思うが。

 ーー今の表については小沢さんに報告した?

 入りについては関心高かったので。

 ーー入りとは寄付?

 はい。

 ーーもう一度甲18号証示します。平成16年の収入ですけど。撤回します。数字見ただけではわからないですね。収支報告書について聞きます。作成しましたね?

 はい。

 ーー平成12年から平成16年まで、5団体の。

 はい。

 ーー収支報告書の計算や書き方を間違えると、総務省が指摘しますか。

 はい。

 ーー訂正することはある?

 はい。

 ーー平成12年から平成15年までに大きな間違いは。

 なかったと思います。

 ーー架空の資金移動や実際にあった資金移動を書かなかったことは。

 なかった。

 ーー平成16年について、訂正したほうがいいという話はなかった?

 誰から?

 ーー小沢事務所の中で、先輩の秘書や小沢被告人本人から言われたり。

 私が担当していなかったので。

 ーー秘書を辞任したあと、平成16年の収支報告書を訂正したほうがいいか問いあわせは。

 なかったと思います。

 ーー小沢事務所からなかったか。

 はい。

 ーー話変わります。甲20号証示します。この表に記憶は?

 平成15年3月31日なので、私が作った。

 ーー銀行通帳の残高ですね。これは5団体の通帳を書いたもの。

 そうだと思う。

 ーー年末などの時点の金額を記載したもの。

 はい。

 ーーもう一つある。2の方を示す。これは記憶は?

 ありません。

 ーーこれ見ると、平成17年12月末からのが出てる。これは池田さんが作った?

 私はいなかった。

 ーー平成16年末まであなた、平成17年から池田さんがまとめた。

 彼が残っていたものを利用して作ったのでは。

 ーーあなたは正確に記載していた。

 やったと思う。

 ーー平成15年末に合計が7億900万円。

 はい。

 ーー平成16年末に約11億6千万円になってるのはわかる?

 はい。

 ーー4億5千万円増えてる。

 はい。

 ーーなぜ5団体の預金総額が4億5千万円増えてるかわかる?

 一番下の定期。

 ーーいやいや、総額よ。なぜ4億5千万円ぐらい増えてるかわかる?

 定期預金が増えたから。

 ーーだから収入があったからでは。どうして総額4億5千万円増えたんでしょうか。

 小沢さんからの4億円です。

 ーー小沢さんからの4億円があったから、4億5千万円増えたと。

 そうだと思います。

 ーー平成16年中に不動産購入資金として3億5千万円出してる。

 はい。

 ーー預金現金3億5千万円が不動産に変わった。

 はい。

 ーーそうすると小沢さんからの4億円だけじゃ説明がつかない。

 そうかもしれません。

 ーーじゃあ、あと何が増えた?

 小沢さんからの4億円を元にして定期預金があった。

 ーーそれがご説明ですか?

 はい。

 ーー平成16年に外から入ってきた大きな金は小沢さんからの4億円だけですか?

 まあ、結果として2つの4億円があることになったが、私は小沢さんからの4億円を元に手続きした。

 ーー手続きじゃなくて、小沢さんからの4億円、りそな銀行からの4億円、不動産支出が3億5千万円だから4億5千万円増えたということでしょう。

 そうかもしれません。

 ーー平成19年12月末、2億8千万円。平成15年末が7億1千万円。4億ちょっと減ってるんですけど、なぜ現金が減った?

(弁護団:異議。証人が経験していないことを聞いています)

 ーーじゃあ、あなたは池田さんが平成19年に虚偽の記載をしていると・・・。

(弁護団:異議。証人の意見を聞いています)

(裁判長:池田さんが・・・意見を聞いてますんで、質問を変えてください)

 ーーええと、うーん。じゃあ結構です。ええと、もう一つ聞きます。同じ号証の資料3を示します。「外貨預金について」とあります。これはあなたが作成した?

 私だと思います。

 ーー陸山会や4団体は外貨預金をしていた?

 はい。

 ーー何のために?

 外貨については、始まった当時と状況が違っているかもしれませんが、利息の運用のためだと思います。

 ーー要するに、余剰金を集めていたと。

 そうですね。

 ーーいつでも使っていいお金?

 すぐ手続きできました。

 ーー一定額を5団体で年にこのぐらい継続して確保しようという趣旨ではない?

 もう一度お願いします。

 ーー外貨預金を蓄えていたのは、いざというときのためにとっておこうということでは。

 何か使うときのためにストックするというのは考えとしてあった。

 ーーあなたは陸山会では政治とカネと言われる問題で、気を付けてることはあった?

 政治とカネ?

 ーーあるいはカネの入り。献金とか、気を付けていたことは。

 まあ、経理はきちんとやろうと。

 ーー小沢さんから注意は?

 きちんとやれよと。

 ーー政治資金規正法という法律はご存じですか?

 はい。

 ーー政治資金規正法に関して、総務省主催の講習会などに出たことは?

 ありません。

 ーー寄付の規制などは理解してた?

 手引きを買った。

 ーー政治家個人も寄付はできる?

 はい。

 ーー無制限に?

 違う。

 ーーどんな規制が?試してるわけじゃないけど。

 ええと・・・特定寄付が・・・どうだったか。

 ーー特定寄付?

 資金管理団体に政治家個人が寄付するときで、ただ、いくらまでだったかは、ちょっと。

 ーー新しい質問を聞きます。本件土地について。476平米、分譲地の4区画分。広い。

 はい。

 ーー私邸からはどれぐらい離れている?

 300~500メートルぐらいだと思う。

 ーー購入はあなたの思いつき?

 違う。大久保さん。

 ーー大久保さんから購入の意思を、いつ、どのように聞いた?

 9月ごろ、秘書寮を建てるのにいい土地があると。

 ーー他には?

 まず、「見つけてきた」と言っていたと思う。

 ーー前から必要だと言っていたの?

 はい。

 ーー大久保さんは小沢被告にも話したと言っていた?

 報告したと言っていたと思う。

 ーー大久保さんはあなたには?

 小沢先生も知ってると説明したんじゃないでしょうか。

 ーー大久保さんが小沢被告にどう言ったと?

 「話したから」と言っていたと思う。

 ーーその結果がどうなったと言っていた?

 聞いてないです。

 ーー大久保さんはあなたには「小沢先生には言った」とだけ伝えたということ?

 確かそうだと思う。

 ーー秘書の寮なら、秘書みんなで探せばいいと思うけど、大久保さんだけが探した。

 そういう立場にあったのは大久保さんだった。

 ーー深沢の近くを探してた?

 みんな深沢6丁目に車を取りに行って、打ち合わせをして、そこから、議員会館や事務所に行っていたから、深沢の近くということだったと思う。

 ーー大久保さんは釜石出身で、土地勘ないと思うが。

 そんなこと言ったら、みんな田舎出身ですから。

 ーー大久保さんの立場というのは。

 統括的立場だった。

 ーーあなたとの関係は?

 正直、微妙なものがあった。

 ーー年齢は向こうが上だが、小沢被告の秘書としてはあなたの方が古いから?

 はい。

 ーー本件土地について、具体的には聞いてた?場所、金額、広さは?

 聞いてた。

 ーー秘書寮としては相当なものとは?

 何平米と言われても、イメージ湧くものではないが、金額も大きいなと。

 ーー悪影響があるとは思わなかった?

 なかった。

 ーー秘書寮の対象となる秘書は5、6人?

 それぐらいだったと思う。

 ーーそれまでのでは足りなかった?

 家族持ちが増えたり、独り者の分も足りなかった。

 ーー男性秘書が結婚したり?

 予定してたり、適齢者もいた。

 ーー政治家になろうとしてた人も多いのでは。

 いると思う。

 ーーずっと秘書でいようという人もいたの?

 はい。

 ーー誰?

 それは難しい。私はたまたま、立候補する機会がめぐってきたが、なければずっと秘書としていようと思った。

 ーー議員は、国政ばかりでない。市議や県議などもある。それでもずっと秘書だという人もいた?

 はい。

 ーー何人も?

 本人の状況による。

 ーー3億5千万円かけるほどの需要があったの?

 はい。

 ーー第三者にも言える?

 はい。

 ーー平成17年に建てた部分もあった。

 家がたったとき、そのときは自分はもういなかった。建てているときもいなかったと思う。

 ーー最初、単身用の建物を建てて、あとに家族寮を建てたのは知ってる?

 覚えてない。

 ーー秘書寮を建てることによって、賃料の負担は?

 大きくなった。

 ーーいや、賃料について。和子さんから借りている部分の。私たちの計算では約4千万円になる。これはどうなった?

 どう答えればいい。

 ーー負担は減ることになる?そういうことについて検討は?

 借りているところから、新しく建てるところに移る検討ということ?それはしてない。

 ーー実際に賃料は減った?

(裁判長:いつの時点の話ですか)

 ーー石川さんが秘書だった、平成17年6月まで。

(弁護団:まず、そのときに建物があったのかの確認が先でしょう)

 ーー謄本を示します。甲・・・【あちこち紙をぱらぱらやるが出てこない】出てこないのでやめます。次の話。大久保秘書から土地購入資金について相談受けた?

 政治団体で買えるかと。

 ーーいくらくらい必要だった?

 土地建物合わせて4億円。

 ーーどう答えた。

 5団体の政治資金をかき集めれば、そろえることはできるかもしれないが、運転資金が心許なくなると思うと答えた。

 ーー甲20示す。平成15年7月には7億1千万円あるが、これでは出せないと。

 かき集めればなんとかなるかもしれないが、運転資金が心許なくなると。

 ーー7億1千万円から4億円を引くと、3億残るが。

 そのときはざっと考えた。

 ーー3億円では日々の資金繰りできない?

 出て行く金や定期でそう判断したと思う。

 ーー5団体の4億円を使わないとなると、本件4億円の土地を買うにはどういう方法がある

 預金担保で買っていた。

 ーー5億円の預金を担保にして、毎年返済するということ?

 そういうことかも。

 ーー毎年返済する場合、過去に平成6年に借りた3億円をいつまでに返済した?

 10年くらいだと思う。

 ーー4億円かりるとどれくらいかかる。

 わからない。

 ーー今の購入資金を小沢先生に話したことある?

 買うときに。

 ーー大久保秘書から「5団体で4億円出せるか」と聞かれて。

 自分としては定期もあってそういう判断をした。

 ーーそういうことでなくて、大久保秘書からきいて、小沢さんに何と言った?

 大久保秘書から話を聞いて、政治資金でかき集めればできないことはないが、運転資金が心許なくなると大久保秘書にいい、先生のところに行って、借りれるかどうか聞いてみようと。

 ーー被告人には何と言った。「借りる」という言葉で?

 はい。

 ーー被告人の反応は。

 用立てる。

 ーーいくら?

 4億円。

 ーー用立てるというのは、陸山会が借りるということ?

 そうですね。

 ーー小沢先生から4億円を返せという話はあった?

 預かるときにあった。ちゃんと戻せと。

 ーー利息は。

 話ない。

 ーー小沢先生から借りた4億円について、陸山会としてどう返済しようと思っていた?金を受け取ったときに。

 いつか戻さないといけないと思っていた。

 ーー・・・。

 なかったと思う。私も立候補の準備で忙しくしていたので考えなかった。

 ーー小沢先生から借りた4億円を戻す方法は。

(弁護団:異議。・・・。)

 ーーわかりました。客観的に、陸山会に返す方法はあったのですか。

 政治団体で収入が増えて、そこで余剰金で返す方法はあると思っていました。

 ーー政治団体の収入はあって、先ほど言っていた企業献金などで返せると。

 大きくはその3つがあげられると思います。

 ーー余剰金が陸山会から小沢被告人に、4億円を返すことができると見通していたのですか。

 はい。

 ーー実際の返済計画は立てましたか。

 立てていませんでした。

 ーー被告人とその話、あなたが秘書をやめるまでの間ですが、つまり、4億円の返済について話をしたことはありますか。

 借りた時だけです。

 ーーさっきの話の通りですね。

 はい。

 ーーわかりました。小沢被告人に話した時、4億円はいつ用意できると言われたのですか。

 連絡すると。

 ーーいつ、実行されたのですか。

 10月12日だったと記憶しております。

 ーー小沢さんのところにとりにいったのですか。

 はい。

 ーー4億円が現金で用意されていたのですか。

 はい。

 ーー場所はどこですか。

 港区の小沢先生が個人事務所として使用されている元赤坂タワーズのマンションです。

 ーー4億円がどういうお金でどう用意されたのか、考えたことはありましたか。

 わかりません。

 ーーあなたは検察に対して、何か供述したことはありますか。

 あの、調書には色々言われて書かせられましたが。

 ーー過去の政治活動の結果、蓄えてこられたお金などと記載されたことはありますか。

 あの・・。

 ーー記載されたのか、されなかったのかどうかです。

 はい。

 ーー貸し出される時の話はしましたか。

 あの・・検察官と問答にはなりました。長い人生の中で蓄えたお金ということしか答えようがありません。

 ーー法廷で、田代検事がでてきて、どう言っていましたか?

 はっきりと記憶はありません。

 ーーでは記憶を喚起しましょう。あなたは、小沢さんが政治活動の中で、何らかの形で蓄えた簿外資金で、表に出せない資金と言ったことはありませんか。田代検事が法廷で言いましたよね。

 はい。

 ーーあなたが取り調べの時に言ったのではありませんか。

 ありません。

 ーー法廷に出された新聞記事で9月10日付けの読売新聞の「旧自由党の残った金が資金団体に流れた」という記事があります。小沢さんが用意する金がこういう金だと思いましたか。

 思いません。

(昼の休廷)

 ーー本件土地の購入について。大久保さんと一緒に○○コーポレーションに打ち合わせには行った?

 はい。

 ーー日付までは覚えていない?

 前に確認したら、10月1日だった。

 ーー代金をいつ払うというのは決まった?

 決まってないと思う。

 ーー手付金をいつに払って、残代金をいつにというのは?

 それは決まった。

 ーー結果的に29日になった。

 はい。

 ーー小沢被告の了承は?

 得た。

 ーーどうやって?

 はっきりとは覚えてない。

 ーーこの日のことは報告した?10月1日のこと。

 覚えてない。

 ーー10月5日に契約が締結された。この日に手付金を払った?

 はい。

 ーーこの日のことは小沢被告に報告した?

 したと思う。

 ーーこの後、4億円を小沢被告から受領した。

 預かりに行った。

 ーー陸山会の口座に分散入金した?

 はい。

 ーー本件土地の売買契約を10月29日ではなく、翌年回しにしようと思った?

 はい。

 ーー代金支払いも?登記だけ?

 契約の実行を翌年回しにできないかと考えた。

 ーー契約の実行とは?具体的に。代金支払いや登記などすべて?

 そういうことになる。

 ーー誰が決めた?

 私。

 ーー誰が思いついた?

 相談した人はいる。

 ーー誰?

 小沢事務所にかつていた、樋高剛さん。

 ーーどちらから話をした?

 私から相談した?

 ーーその前に誰かから指示を受けた?

 いいえ。

 ーー翌年に回すというのを思いついたのは?

 私。でもアドバイスは受けた。

 ーー誰?

 樋高さん。

 ーー決済の先送りをしようと思いついたのは?あなた?

 樋高さんからアドバイスを受けた。

 ーーうーん、まあいいです。それはいつ?

 契約した、もうちょっと後です。

 ーー○○コーポレーションに、大久保さんに連絡してもらったことはある?

 ある。10月20日過ぎごろだと思う。

 ーー10月20日過ぎごろ、決済を延ばした方がいいという話に?

 はい。

 ーー大久保さんから○○コーポレーションに連絡した?

 はい。

 ーー売り主は了解した?

 検討してくれた。所有権の移動は希望を受け入れてくれたけれど、代金は先に払ってと。

 ーーそのとき、文書は作った?

 はい。

 ーーいつ作成した?

 交渉して、受けてくれた後。

 ーーいつ?

 27~28日ごろだと思う。はっきり覚えていない。

 ーー甲26号証。合意書。これのこと?

 はい。

 ーー売り主と陸山会の合意内容が書かれている。所有権移転はこちらの希望を聞いたと。それはこのどこに書いてある?

 みてもいい?【見る】第1条だと思う。

 ーー第1条のどこ?

 第1条の2行目から3行目のところだと思う。

(裁判長:読んでみて)

 ーー原契約代金の支払いとともに行われる所有権の移転は、平成16年10月29日から、平成17年1月7日に行うものとする。ここ?

 はい。

 ーー誰が言い出したこと?

 ○○コーポレーションに相談して、先方の司法書士の先生が考えた。

 ーー仮登記と本登記の違いは理解している?

 というと?

(裁判長:質問を変えて)

 ーー10月29日、所有権移転の仮登記をした原因は何?

 どういうこと?わからない。

 ーー売買予約というのは聞いたことある?

 ない。

 ーー言葉も?

 申し訳ない。

 ーー予約完結権を陸山会は行使したことある?

 わからない。

 ーーわからないのなら、行使してないのでは。

 わからない。

 ーー10月29日、決済、仮登記された日。わりと忙しい日だった。

 はい。

 ーー資金の移動について、検察官から調べは受けた?

 拘置所にいるときに受けた。

 ーー通帳を見せられながら?

 通帳はみてないと思う。

 ーー移動を示すチャート図のようなものは?

 そういうのはあったかもしれない。

 ーーそれは記憶とあってた?

 覚えてない。

 ーーどういう移動をしたのか、今覚えている?

 すべては覚えてない。

 ーー甲36号証。こういうチャートをみたことは?

 みた。でも一つ一つ確認はしなかった。

 ーー決済は10時?

 はい。

 ーーその前に資金移動した?

 はい。

 ーー何のために?

 りそな銀行衆院支店に集約するため。

 ーー29日当日に移動したのはなんのため?

 その日、支払いや預金担保の実行しなければいけないから、そのため。

 ーー移動の結果、売り主への支払いや仲介業者への支払いはすべてできた?

 ○○○○○○(土地売り主)には払った。仲介業者には29日だったか覚えていない。銀行の手続きは終わった。

 ーー不動産の引き渡しについての書類はつくった?

 つくったと思う。

 ーー甲26号証。引き渡し完了確認書。

 覚えてない。見て、こういうのあったなと思い出した。

 ーー29日の後、売り主に対してしなきゃいけない手続きはあった?

 覚えてない。

 ーーそれ以後、本件土地は誰が利用していいことになった?

 仮なので・・・考えたことない。

 ーー立ち入っていいとかは?

 考えたことなかった。

 ーー10月29日、りそな4億円ついての書類。約束手形や融資申し込み書など、受け取った?

 前日かもしれない。

 ーー小沢被告に持って行った?署名は?

 持って行った。署名ももらった。

 ーー小沢被告はどうだった?

 どうって・・・「わかった。サインすればいいんだな」と。

 ーー分散入金について。小沢被告から4億円受け取って、その後どうした?

 チュリス赤坂に持って行った。

 ーーそれをどうした?

 銀行に預けた。

 ーーどれぐらいの口座に?

 メインの三つか四つに。

 ーー4億円の入金はすべて陸山会の口座に?

 多分そう。

 ーー入金されたのを足すと、3億8千○万円。1508万円入金されていない。

 はい。

 ーーなぜ?

 10月5日に払ったお金。

 ーーどこから払った。

 チュリスの金庫から。

 ーー1508万円はそこに充当した?

 はい。

 ーー1千万忘れたということはあった?

 あったかもしれない。

 ーー分散してから集約するというのは、入金するときから考えてた?

 はい。

 ーー何のため?

 あまり大きな金を政治家が持っているとわかると、あまり芳しくない。わけて入金の方がいいと思った。

 ーーこれまでの説明と同じですか?

 もともとはそう思った。

 ーー大金を政治家が持ってるとよくないと。

 なんとなく。

 ーー分散入金するとわからなくなると。

 銀行に一度に持ち込むと詮索されると思った。

 ーーむしろ、銀行に一度に持ち込むのが嫌だった?

 それもある。

 ーーあなたがやった方法では、りそな衆院支店にいろんなところから入金された跡が残る。そういう外形をつくろうとしたのではないか?

 違う。

 ーー陸山会の他の口座から、衆院支店の口座にお金が来てるようにみえる。そういう形を整えることが目的だったのでは。

 どういう意味?

(裁判長:もう一度質問してください)

 ーー分散入金して集散入金するのは、通帳を見ると、ほとんど陸山会から入っていますよね。かき集めて買ったんだなという外形事実をつくるためにしたのではないのですか。

 それはありません。

 ーー平成17年5月に4億円を分散して陸山会の口座に出金したことは覚えていますか。

 はい。

 ーー平成17年5月に出金しましたね。

 はい。

 ーー本件口座から4億円を出金しましたね。

 はい。

 ーーどこで受け取ったのですか?平成17年5月2日に本件口座から4億円が出金されていますが、どこで受け取ったのですか。

 私が受け取りました。

 ーーどこで。

 チュリスです。

 ーー届けてもらったのですね。銀行の人に。

 はい。

 ーーこの4億円はどうしたのですか?

 小沢先生の指示で渡しました。

 ーー本人がいるところに持って行ったと言うのは、どこですか。

 紀尾井町の改革国民会議のビルです。

 ーー元々の4億円はどういうものでどこから調達したものですか。

 中身はわかりません。

 ーー4億円の原資は5団体から集められたものですかね。

 わたしは5団体からひきだしていません。

 ーーこの4億円については、5団体それ以外の口座に入金したものではないのですか?4億円は最初から陸山会の衆院支店に入金したのではなく、他団体に入金されたのではないですか。

 はい

 ーー入金前の4億円はどのように調達したのですか。

 小沢先生の指示で紀尾井町に取りに行きました。

 ーー紀尾井町に取りに行って、紀尾井町に戻したという記憶ですか。

 はい。

 ーーなぜか?記憶はあるのですか?

 なぜというと・・・。

 ーーいったん、様々な団体の口座に分散入金して、陸山会の口座に集約したのはなぜですか。

 先ほどと同じ理由です。少し分けて入れた方が、いいと、なんとなく思いました。

 ーーそもそもどうしてその4億円は陸山会の口座に入れようと思ったのですか。

 特に陸山会の口座でなくても良かったです。

 ーーそもそも何のためにそんなことをしたか、理解をしていますか?

 何のためにと言いますと?

 ーー4億円を分散し、集約し、出金した。何のためですか。

 「預かっておけ」ということだったので、金庫に入れておくよりは分けて入れておいた方がいいと思い、そういう行動をとりました。

 ーー銀行からみれば、マネーロンダリングの疑いを受けませんか。

 それは銀行が感じることですから。

 ーー4億円の移動は、平成17年3月~5月ですね。本件4億円の移動と関係無いのに、あなたはなぜ・・

 関係の無いという意味がわかりません。

 ーー関連してこういう行動をとったのではないですか?

 そうかもしれませんが、関連の意味がわかりません。

 ーー土地の登記の手続きですが、あなたは平成17年1月7日にしました。なぜそういうことをしようと思ったのですか。

 10月29日に取得すると、平成16年分の収支報告書の記載になるので、契約の実施は翌年に延期して、翌年の収支報告書の記載になるのであれば、そうした方がいいかなと思って行動をとりました。

 ーー平成17年の収支報告書に記載すれば良いと思ったのはなぜか。

 平成17年分でなければならないと思ったわけじゃないです。

 ーー平成16年に記載するものを平成17年にしたのはなぜですか。

 本登記の日を記載するのが正しいと思ったからです。

 ーーなぜ、1月7日にしたのですか。

 10月29日の契約事項だったが、延期を申し出ると、先方から延期できるということだったので、1月7日にしました。

 ーーなぜ延期を申し入れたのですか。

 平成16年の収支報告書の記載よりも、翌年の購入にすれば、翌年の収支報告書の記載となるからです。

 ーー堂々巡りの議論のようになっていますが、原因は何なのですか。

 アドバイスをもらって、私も契約の事項を延期した方がいいと思って、延期をしました。

 ーー端的に答えてもらえませんか?

 樋高さんからアドバイスを受けました。

 ーーどういうアドバイスですか。

 10月29日に契約の実行があるといったら、翌年に延ばした方がいいのではというアドバイスを受けました。

 ーーなぜですか?

 樋高さんから、総選挙や代表選挙がもしかしたらあるかもしれないし、時間的な余裕を持っておいた方が良いと言われました。

 ーーあなたは自分の公判ではどう説明しましたか。

 当時の政治状況を見て、先ほどと同じ理由を考えて延期をしました。

 ーー樋高さんのアドバイスで、変わったということですか。

 変わったというより、色々な人に相談してという中の一人が、樋高さんでした。

 ーー端的にその中からなぜ、平成17年に遅らせた方がいいと言われたのですか。

 樋高さんから政治状況が変化するから、収支報告書の記載を遅らせた方が余裕ができるんじゃないかと言われました。

 ーー平成21年12月27日に検察官から取り調べをされた時はどういいましたか。

 今、申し上げたことはお伝えできていなかったのかもしれません。

 ーー今の話は平成17年の民主党の代表選、平成18年の民主党の代表選と関係ないのですか。

 結果として、代表戦は行われました。

 ーー政治状況の変化の中で、その中にはこういうことがあるから1年先に延ばした方がいいということではなかったのですか。

 小泉さんが首相になって、その後郵政解散になりましたが、樋高さんからそういう答えを受けました。

 ーーそういう説明をしてきましたか。

 樋高さんの名前を出すのははばかられました。

 ーー平成17年の民主党の代表選あるからのばした、とおっしゃっていませんでしたか。

 これについては、検察官には拘置所の中でそういう調書をとられました。ただ、定例の代表選の年をまちがえただけなのですぐに訂正を求めました。

 ーー定例の代表選を臨時の訂正にしたということですか。

 はい。

 ーー代表選のためにそういう説明をしたのですか。

 拘置所の中で説明しました。

 ーー平成17年の代表選を慮って、と言いましたが、定例選挙と思ったが、実は臨時だったので訂正した、ということですか。

 政治状況は刻々と変わります。たまたま代表選が定例の代表選の年と言いまちがえた、ということです。

 ーーこの登記延期の判断は平成16年10月にしましたね。民主党の定時選挙で代表選挙が決まったのはいつですか。

 すみません。思い出しません。

 ーー平成16年9月では?

 そうだったかもしれません。

 ーー民主党が参院選で自民党に初めて勝利した年ですね。

 はい。

 ーー平成16年10月に登記を延期した方がいいと判断したその理由は。

 樋高さんから政治的に日程的に余裕をもっておいた方がいいというアドバイスでした。

 ーーあなたにとっては平成17年9月が代表選ですかね。

 ですから、たまたま拘置所の中で年を間違えて・・・。

 ーー平成16年の収支報告書にでるといつ公表されるのですか

 平成17年の収支報告書です。

 ーー平成17年の収支報告書に載せると、いつ公表されるのですか。

 平成18年の秋です。

 ーー収支報告書がでるのは具体的にはいつですか。

 9月か10月です。

 ーー9月上旬ではないですか?

 はっきり記憶はありません。

 ーー平成18年9月か10月以降に記載を延期をして良いと思ったんですね。

 最終的には私が決めましたが、私より政治経験のある方のアドバイスがそうだったんです。

 ーー小沢被告が平成18年9月か10月に政治活動をおやめになる予定だったのですか。

 私はわかりません。

 ーー平成18年9月まで公表するのが困るのは。

(弁護団:困るとは言っていません、証人は)

 ーー9月以降だと公表は良いのか。

 時期はいつでもよく、大きな問題ではありません。年度をまたげば1年間余裕ができるから、そうかなと思い、私が決断しました。

 ーー動機は理解できていないのかもしれませんが、どうしてあなたは本件を公表するのをためらったのですか。

 まあ、そういう政治的な判

・・・ログインして読む
(残り:約10319文字/本文:約33797文字)