2011年12月01日
▽筆者:奥山俊宏
ウッドフォード氏は4月にオリンパスの社長に就任し、6月の株主総会で取締役に選任された。7月下旬以降、過去の企業買収の際に巨額の金が不明朗に社外に流れた問題を社内で追及し、10月12日夜、菊川剛会長(当時)と森久志副社長(同)に辞任を求めた。ところが同月14日の取締役会で「経営の方向性・手法に大きな乖離(かいり)が生じた」という理由で解任された。その後は各国の報道機関や捜査機関に疑惑を告発し、オリンパスは11月8日になって1990年代からの巨額の「損失隠し」を認めた。ウッドフォード氏は社長解任後も、執行権限のない非常勤取締役の地位にとどまっており、先月25日の取締役会にも出席していた。
ウッドフォード氏の側の話によると、1日午前7時、会社側の代理人に電子メールで辞表を送り、この意思表示によって同氏はオリンパスの取締役を辞任したという。ウッドフォード氏は「オリンパス:再生への道」と題した声明を日本語と英語でそれぞれ発表し、その中で、「過去の過ちに関与していない新たな経営陣への早期刷新を促すこと」が辞任の目的で、「オリンパスを去るために辞任をするわけではありません」としている。「オリンパスに復帰し、そこでリーダーシップを発揮することを、私は切に望んでいます」とも強調し、会社側に臨時株主総会の開催を求める考えを示した。
ウッドフォード氏の声明によると、11月29日に会社が発表した「『経営体制の刷新』と『将来ビジョンの提示』の検討体制の構築」を読んで、辞意を固めたという。会社の発表によれば、高山修一・現社長が「総責任者」となって「社会から認められる経営体制の刷新」の検討を進めていく、とされている。ウッドフォード氏はこれについて声明のなかで「過去の過ちに関与した現経営陣の面々が、オリンパスの新たな経営陣の選定に関わるなどということは、極めて不適切」「高山社長及び現経営陣がいくらオリンパスの改革及び再生を約束しても、かかる約束は、極めて信頼性に乏しいものであり、オリンパス及びその将来にさらなる害を及ぼす」と批判している。
同氏の側は1日午前、「株主が新しい経営陣に関する決断を下すことができるようにするため」として、「できるだけ早く臨時株主総会を招集すること」を同社に要請した。
関係者によると、ウッドフォード氏には二つの選択肢があった。一つは、取締役に
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