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オリンパス第三者委 記者会見一問一答全文「腐った経営中枢」

 オリンパスの損失隠しの実態を調べていた第三者委員会(甲斐中辰夫委員長)は6日、調査報告書を同社に提出した。損失隠しは歴代社長ら「トップ主導で秘密裏に行われた」として、隠蔽(いんぺい)体質を厳しく批判。問題を見過ごした経営陣の一新や関係者に対する法的責任の追及を求めた。

損失隠し問題の調査結果について記者会見する甲斐中辰夫委員長(右から3人目)らオリンパス第三者委員会の委員=12月6日午後4時6分、東京都千代田区、金子淳撮影

 報告書によると、一連の損失隠しは時価会計導入直前の1998年ごろ、財務部門担当だった山田秀雄・前常勤監査役と森久志・前副社長が主導して計画。2001年まで8年間在任した岸本正寿元社長と後任の菊川剛前社長も定期的に報告を受け了承していた。海外ファンドに損失を移す「飛ばし」で隠した損失は03年に1177億円に上り、巨額の買収資金など計1348億円がその穴埋めに使われた。

 報告書はオリンパスの経営について次のような指摘を連ねた。

 「経営中心部分が腐っており、その周辺部分も汚染され、悪い意味でのサラリーマン根性の集大成ともいうべき状態であった」

 「会社トップが長期間にわたってワンマン体制を敷き、正しいことでも異論を唱えれば外に出される覚悟が必要であった(そのことはウッドフォードの処遇を見ても明らかである)」

 「役員の間には、会社を私物視する意識が蔓延し、株主に対する忠実義務などの意識が希薄であった」

 「取締役にはイエスマンが多く、取締役会は形骸化していた」

 「公正であるべき人事が歪められ、秘密を共有する者、隠蔽等に加担した者が優遇される体制が維持されたことは重大な欠陥である」

 問題を見過ごした監査役、監査法人のチェック機能についても、第三者委の報告書は「あまりに不十分」と批判。再発防止策では、損失隠しの加担者の法的責任の追及に加え、「監査役は一新。当時の取締役もしかるべき時期に交代すべきだ」と断じた。当時の取締役には高山修一・現社長も含まれる。

 ■記者会見でのやりとり

 甲斐中委員長ら第三者委の委員は6日午後3時から、東京・大手町の貸会議室で記者会見を開いた。冒頭の30分は甲斐中委員長が報告書の概要を紹介し、後半の30分余で記者の質疑に応じた。そのやりとりは以下の通り。

 司会:お時間が過ぎておりますのでこれより始めたいと思います。これより、オリンパス株式会社第三者委員会による記者会見を始めたいと思います。わたくし当委員会の補助を務めております、弁護士の藤川と申します。えー本日の司会進行を務めさせて頂きますので、ご協力のほどよろしくお願いします。本日の進行につきましてですが、まず、当委員会より、調査報告の概要を30分弱、ご説明した後、皆さまからのご質問を受け付けたいと存じます。なお、会場の関係上、本日の記者会見ですが、16時にて終了させていただく予定となっております。えーそれでは、当委員会委員長の甲斐中弁護士よりご説明を申し上げます。よろしくお願い致します。

会見するオリンパス第三者委員会の甲斐中辰夫弁護士=6日午後3時40分、東京都千代田区、金子淳撮影

 甲斐中弁護士:えー委員長の甲斐中です。11月1日から当委員会は、オリンパスの一連の疑惑をもたれた取引について調査致しました。当委員会のメンバーはここにおります委員長以下6名の委員と、それを含む合計51名で調査しました。調査の概要は、お手元の報告書にまとめた通りですが、これから、調査の経過と判明した事項、それから私どもが本件の一連の不祥事の原因と考えられる事項に対する提言を申しあげます。

 お手元の資料をご覧になりながら、お聞き頂きたいと思います。

 本件の調査の目的は、ご案内の通り、ジャイラス、および、本件国内3社の買収に関する検討。これの開始から取引の実行にいたる一切の取引、および関連する取引についてオリンパスに不正ないし不適切な行為等があったかなかったか。オリンパスのガバナンス体制に関する提言・強化に関する提言、改善すべき点があればその指摘と改善策、ということでありまして、これらを調査することでした。われわれは第三者委員会として、あくまでも中立公正の立場からこの委嘱事項について調査しました。

 ただ、本委員会はあくまで強制権限をもたない任意の調査しかできません。その限りでは我々の調査にも一定の限界があることは認めざるを得ません。あわせて申しあげておきますが、以上の調査目的ですから、オリンパスの関係者の個々人の法的責任をここで確定して追及するものではありません。それはまた別の委員会なり機関なりが行うものであります。

 11月1日にわたしどもは調査を開始しました。その時点では、会社側の本件に関する関係者はすべて、「いっさい不正はない。正当な取引である」と、こういう態度でありまして、そういう意味では、関係者は一様にそういうことを供述していました。わたしたちは、委員会を開始して、早々に、全員で、事件の主たる関係者と思われる山田氏、森氏から一連の経過について、約半日を費やして虚心坦懐に事実をお聞きしました。

 その結果、どう考えても、この取引には矛盾あり疑問点があまりにも多いと、いうふうに感じて、以後、連日ヒアリングを行いました。ただ、本件は、ごく一部の限られた人間による秘密裏の取引ですから、客観的な証拠物は会社にはまったくありませんでした。

 えー、ま、そのなかで、11月7日に森、山田氏が、一連の不正取引について、本当のことを話すようになりました。

 そして、いろいろ調査を進めていくうちに、例えば個人で仕事を持ち帰って、個人のパソコンの中に入っていた記録の中に本件に関する重要な記録があることを発見しました。ま、そのほか、会社を通じてもろもろの銀行取引の照会をしたり、あわせて、各方面から協力いただき、契約書等の当時の書類も入手して、調査を進めました。その結果、ほぼ概要は解明できたと思います。

 しかしあくまでも任意の調査権限しかありませんので、具体的なところでは必ずしも、すべてが分かったわけではありません。そこに本調査の一定の限界があることはご承知をいただきたいと思います。

 それでは、調査の結果判明した事項について説明します。要約版の5ページ以下をご覧いただきたいと思います。

 1990年にバブル経済が崩壊して、それまで財テクを広範囲にやっていたオリンパスは、大変な損害を被りました。そしてそれを取り戻すためにさらにハイリスク・ハイリターンの商品に手を出して金融資産の運用損は飛躍的に大きくなりました。

 ところが、2000年の3月に会計基準が変更になり、いままでのようにある程度、簿価である程度評価できた金融資産が、時価で評価しないといけないということになりました。そうすると当然のことながら、一挙にたいへんな金融資産の損失を会計上、計上しなければいけないという事態になりました。そこで、2000年3月の直前の金融資産の損失額が、報告書の14ページの真ん中にあるのですが、1999年から2000年の段階で960億円の損失がございました。この960という数字はその前に1999年の9月期に一部、特損を160億あまり計上しておりますので、それを除いてまだ処理しきれなかった金額をいいます。2003年では1177億円という数字が出てまいりました。これが、先ほど申しあげたパソコンに入っていた数字です。ですから、いわゆる裏帳簿というものがございません。関係者の供述だけでは具体的な数字は出てきませんから、このへんの時点ではパソコンに入っていた数字が出てまいりましたので、このへんの数字は正確なものであると考えております。

 そしてこれを何とか処理しなければいけないというところで始めたのが損失分離スキームというものです。まぁ、詳しいことをご説明しますと時間かかりますので概略だけ申し上げますが、

 森、山田、この人たちはずっと金融資産の運用をやっていました。ですからその責任者でもあるんですけど、この人たちが、アクシーズ・ジャパン証券の中川、アクシーズ・アメリカの佐川、グローバル・カンパニーの横尾、こういう人たちと相談をして、損失を分離する――要するに連結対象になっていないファンドに損失を移す――ということを始めたわけであります。

 その方法は、まず連結対象外の受け皿ファンドをつくらないといけない。それを作る作業から始めた。そこにお金を流して、流したお金で受け皿ファンドが、オリンパスがもっている毀損した金融商品を簿価で買い取るということにいたします。そうすると、形の上では、オリンパスは、毀損した金融商品を簿価で売ったことになりますから、損失が会計上、帳簿上、消えるということになります。

 しかし、そのカネを流す過程で、例えば、外国の銀行に預金をして、そして、その預金を担保に、受け皿ファンドが融資を受ける。で、その受け皿ファンドが融資を受けるときに、オリンパスがその預金に包括的根担保権設定契約をする、ということで、結局は、オリンパスがその担保を提供していますから、その預けた預金などは自由に引き出せない、そういうものしか残っていない、という形になります。

 ですから、損失は分離したものの、銀行から受けた融資などは形を変えて一種の債務として残る、こういうかたちになります。一つの例をあげるとそういうやり方でオリンパスが自分たちで金を流して帳簿上損失を隠したということになります。

 そのルートは、3つのルートがありまして、ヨーロッパルート、シンガポールルート、国内ルート。この三つがありました。

 ヨーロッパルートは、リヒテンシュタインの銀行を通じて、いま申し上げたような預金担保の融資をリヒテンシュタインの銀行から受けて、それを受け皿ファンドに流す、というやり方。

 シンガポールルートは、シンガポールのコメルツ銀行から同じ方法でやはり預金を担保にして融資を受けさせて、そして金を流す、というようなやり方。で、オリンパスの毀損した金融商品を簿価で買い取ってもらう、というようなやり方をしています。

 それから国内ルートは、これは投資事業ファンドを立ち上げて、そしてそこへ出資金を流して、そしてベンチャー、受け皿ファンドにやはり約300億、カネを流す。

 こんなようなやりかたで、2000年3月の会計基準変更時にはきれいに損失は分離いたしました。

 しかし、損失分離をしてもオリンパスの不良資産がなくなったわけではありません。形を変えて、銀行の担保に入っている一種の受け皿ファンドに対する融資であるとか、そういう形で残っておりますし、それを維持していくにはやはり常に金がいるという状態で、いずれかは表に出さなきゃいけないという状態でありました。

 そこで、それをなんとか解消して、表帳簿に出そうとしたのが、今回の国内3社の株式取得とジャイラスのFA報酬であります。やはり、取引を装って、カネを捻出して、そのカネで表帳簿に出さなきゃいけませんから、どうやって金を捻出するかというので、2つの方法があって、一つは、もともと安い国内3社の株式を高く買い取ってファンドに流す。そして、そのファンドから最終的には銀行等に金を流して、担保を解いてもらう。こういうやり方がひとつあります。それから、ジャイラス社のFA報酬も、いろいろ理屈をつけて極めて高額なFA報酬を払ったことにして、その金をファンドに流したりして、結局、それで、やはりいままで預けていた定期等の担保を解いてもらうというようなやり方をしていました。

 で、まぁ、そうこうして結局、2006年ごろからかかって、最後は2010年3月までかかって、損失解消といいますか、表帳簿に損失を「のれん」の形で計上するという作業をした。これが今回いろいろと問題となったところであります。

 えー、まぁ、最終的にどういうふうになったかといいますと、14ページに書いてございますが、はっきりしているのは、先ほど申し上げた損失分離をしたときの損失額が、1177億円(2003年)でありますが、今度、それを解消するために要した金が1348億円ということになります。で、その間、いろいろと経費もかかったり、それから、このファンドづくりとかいろいろなことに協力した人たちの報酬だとかそういうものに相当額かかっていますので、差額がそういうものに消えていったということになります。

 あと、いろいろと調べる過程で、私どもがみていた範囲で申しあげますと、いわゆる報道でしきりにとりあげられていた反社会勢力の関与というものは私どもの調査では認められませんでした。

 それから、この今回問題になった以外の簿外債務とか、毀損された資産というものも見あたりませんでした。

 そこで、なぜこのようなことがおこなわれて長い間発覚しなかったのか、今後どうすべきか、というお話をしたいと思います。

 実は、その今回は、ウッドフォード氏が、皆さんご存じのようにこの問題を取り上げたことがきっかけとなって、本件が発覚したわけですけれども、その前に2009年3月に、あずさ監査法人がオリンパスに対して、この2つの取引に合理性がないんだと言って文書で指摘したことありました。2008年12月ごろから(2009年)5月ごろにかけて、非常に厳しいやりとりがございました。そこで、最終的にはあずさ監査法人が無限定適正意見を書くんですけれども、ただやはり、国内3社については多額の減損処理をしたり、それからFA報酬で、配当優先株の買い戻しというのがありまして、それが非常に多額の金でオリンパスがアクシーズ・アメリカから配当優先株を買い戻すという契約になっていて、それはおかしいんじゃないかと、強硬にいって取締役会でいったん是認したのを取り消させているんですね。そういうこともあって、それでも必ずしも納得してなかったのですけれども、外部専門委員会の報告書などを会社が提出して、それが「違法とまでは言いきれない」という、もろもろの留保条件がついてますけど、そういう意見ついたものですから、監査役会も監査法人も適正意見をだした、ということになりました。で、ただ、その経過は取締役会にまったく報告されていないという状況でした。もしこの時点で、取締役会にこの非常に問題の多いやりとりが報告されていれば、事態はかわったかもしれないと思われます。で、結局はウッドフォード氏が指摘したことによって大騒ぎになって今回のような事態になったということになります。

 私どもが調べて、なぜこうなったのか、という、原因なのですけれども、結局はその、トップによる不正取引ですから、いわゆるふつうの不正が行われ、それをどう管理・監督するのか、ということは必ずしも通用しないんですね。トップ主導のごく一部の幹部によって秘密裏に行われた取引ですから、これを発見するというのは実はなかなか簡単ではないのですけれども、しかし、そこにこそ問題があったと思う次第です。

 結局、そういう場合に、まわりの監督機関、そういうものがまったく機能していなかった、ということ。要するに、ワンマン体制が長く続いて、会社で異論をのべることがはばかられるような状況、正論を言えば外に出されることを覚悟しないといけないというような状態が続いていた。そうするとイエスマンがまわりに増えて、だれも本当のことを言わなくなる、というような状態があって、同時に、非常に隠蔽方法が巧妙で、ごく少数の人間が情報を持っていて遮断してますから。多くの人は知らないというようなこともありました。そういう事態でしたので、発見しにくかったということはいえるんですが、それにしても、取締役会、監査役会等は十分な機能を果たしていなかったんじゃないか。

 それから何回かの場面で出てきますが、外部専門家による意見書なるものが、非常に真相発見のさまたげになっていた、ということも結果として出てきています。

 あと、いろいろありますけれども、これは要約版を見て頂ければわかると思います。いずれにしても、こういう不祥事が長期間にわたって発見できなかったということはまことに残念なことだと思います。

 ここで再発防止策ですが、21ページです。

 まず第一に旧経営陣の一新。すでに菊川、山田、森氏らはすでに辞任しましたけれども、そのほかにも不正経理に多少なりとも加担した役員、監査法人から2008から09年にかけて指摘を受けつつ何ら適正な対応ができなかった監査役、こういう人たちは一新すべきだと思います。そのほか、事情は知らなかったんですが、短時間の会議で、問題案件を看過して処理してしまったという取締役もしかるべき時期には交代すべきであると思います。

 それから、関係者の法的責任の追及。やはり、不法行為に加担した関係者は、その法的責任が追及されて然るべきだと思います。

 ガバナンス刷新委員会の設置。ガバナンスのありかたに根本的に問題あったわけです。第三者を中心としたガバナンス刷新委員会を早急に設置して、オリンパスのガバナンスはどうあるべきということを徹底的に検討していただきたいと思います。

 それから長期にわたってトップ主導による不祥事が行われたという特有の事象ですから、経営監視委員会または監視役のようなものを設置して一定期間、そういうものに監視してもらうということも一つの方法だろう思います。ただ、こういうことは他に方法があれば別の方法でもいいんですが。いずれにしてもそれなりの対策が必要だと思います。

 つぎは、社外取締役、社外監査役の充実。新しい経営陣の意識改革、監査役、監査役会の意識改革等々、ここに書いてあるとおりです。こういうことはあまりにも当然のことであると思います。

 結局は、こういうことで一番大事なのは取締役、監査役等、関係者の個人の自覚と真剣な責務の実行というものが必要だろうと思います。

 最後に、私どもが調査をした結果、考えていることを申しあげたいと思います。

 今回のトップ主導による長年の不正経理の発覚、これによってオリンパスの信用は失墜しました。そして、本件不祥事とその発覚に至る極めて異常な事態は多くの株主や善良な投資家、取引先等、ステークホルダーに衝撃を与えて、まじめな経営をやっている日本企業の信用にも少なからず影響を与えました。ただ、そうではありますが、オリンパスは、もともとまじめな従業員と高い技術力を有する健全な企業です。企業ぐるみの不祥事がおこなわれたわけではありません。オリンパスは、このさい、旧経営陣を中心とする病巣を剔抉(てっけつ)して文字通り人心をいっしんして再生を目指すべきだと思います。

 私からは以上です。

会見する甲斐中辰夫弁護士らオリンパス第三者委員会のメンバー=6日午後3時48分、東京都千代田区、金子淳撮影

 司会:ではこれより、ご質問をお受けしたいと存じます。質問のあるかた、その場で挙手をお願いいたします。私が指名いたしましたらマイクをお持ちいたしますので、その場でご起立頂きまして、会社名とお名前を名乗って頂いたうえで、お願いいたします。なお、お一人ご一問ということでお願いできれば思っております。ご協力お願いいたします。それでは挙手をお願いいたします。

 ――男性記者:毎日新聞の鈴木と申します。この概要版をちょっと読みこむ時間がないので、もし記載されていたら申し訳ありません。6ページの飛ばす方策について、山田さん、森さんが検討を開始することになった、ところなんですけれども。ここの指示の関係について教えてください。山田さん、森さんが忖度(そんたく)して自ら行ったのか、それとも当時社長の岸本さん、会長の下山さんの指示なのか。これはどなたが検討を始めるように指示したのか。

 甲斐中弁護士:特定の誰かに指示を受けて検討を始めたわけではありません。

 ――男性記者:ということは山田さん、森さんは自らこのお二人で相談して具体的な検討を始めたということですか。

 甲斐中弁護士:中川とかこういう人たちと相談してですね。

 ――男性記者:そこに岸本さんなり、菊川さんなり、下山さんとかの関与だったり、指示というのはないのですかね? それとも第三者委員会の調査ではそこまで具体的に認定できなかったという判断…

 甲斐中弁護士:命令して検討を開始したというわけではありませんが、自分たちがこういうアイデアを出してこういうことをするということは、上司にきちんと報告しています。

 ――男性記者:ちょっと重ねた質問になるのですけれども、報道でもありますし、弊社の取材でも岸本さんはですね「損失隠しを知らなかった」というようなご認識のようなんですけれども、この報告書では岸本さんに報告し了承した認定しているのですけれども、その根拠についてお教えください。

 甲斐中弁護士:いま捜査が始まってますのであまり具体的なことは申しあげにくいんですが、とうぜん、山田、森両名は「了承を得た」ということは話しておりますし、客観的な証拠もじゃっかんございますので、岸本、それから菊川、この両名が十分認識して一緒に共謀したといいますかね、話し合ってやったということは認定できるはずです。

 ――男性記者:客観的な証拠というのは、ちょっと例を具体的に挙げて頂くと……

 甲斐中弁護士:例えばですね、外国銀行と損失分離スキームを作ってファンドに流すカネを捻出するにはいろいろな契約をしなければいけませんね。それは裏契約ですね、一種の。その契約に署名している。

 ――男性記者:岸本さんが?

 甲斐中弁護士:両方ともです

 ――男性記者:岸本さんとどなたが?

 甲斐中弁護士:菊川です。

 ――男性記者:それはどこから?

 甲斐中弁護士:もうあなたばっかりでなくて

 司会:よろしいでしょうか? ほかのかた、挙手をお願いできますでしょうか?

 ――男性記者:読売新

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