(3)「会社の危機管理が問題なのに私は週刊誌から誹謗された」
2012年01月27日
▽構成:週刊朝日・山本朋史、朝日新聞・村山 治
▽この記事は2012年1月24日発売の週刊朝日に掲載されたものです。
▽この連載の1回目: 「社外取締役の私に途中まで対策をすべて任せた」
▽この連載の2回目: 「対策案を出したのに突然『玉井外し』が始まった」
▽関連資料: 2009年2月3日の村上ファンド事件控訴審判決(裁判所ウェブサイトへのリンク)
▽関連資料: 2007年7月19日の村上ファンド事件一審判決要旨
■村上氏から「取締役推薦リストに入れたい」と電話
2006年4月末の取締役会で阪急との経営統合の決議がなされてからは、もう暇になったし、くたびれたので、ゆっくり山で過ごそうと八ケ岳へ向かった。その途中、村上氏から私の携帯に電話があった。村上氏は阪神側から、私を従来の予定どおり6月の株主総会で退任させると聞いたようでした。
「私としては、玉井さんがいなくなると、交渉相手を失ってしまう。これから阪神と非常にギスギスした敵対関係になるのは好ましくない。あくまでも玉井さんは阪神側の人間としてフェアな形で私たちの提案を聞いていただきたい」
「もし阪神が玉井さんを取締役として再選・留任しないということであれば、やむを得ないから私のほうの取締役の枠で玉井さんに留任というか、新任してもらいたいと思います。それでよろしいですか」
村上氏からのお願いでした。この時点では、まだ統合以外の道もあきらめていなかったようです。私は、
「もうやめようと思っていたのに。再任というのは、ごめんだけども、今までお世話になった阪神のことだから、会社の役に立つんなら、それでいいよ。それは会社のために残るんであって、あなたの便宜を図るためだったら嫌ですよ」
「それは当然のことですよ」
村上氏もはっきり言っていた。
村上氏は、最初からずっと私を交渉相手と思って信頼してくれていたようでした。村上氏は、
「私のところが47.5%持ったままで株主総会に突入するということになっても、自分は取締役にならない。自分の命令を受けた人間を取締役に入れるけども、その人間がファンド側の提案として会社にもの申すときには、重大な問題については事前に玉井さんに相談します」
とまで言っていた。
「しかし、それは玉井さんが取締役会のなかにいて、はじめてできることであって、今の阪神のメンバーだけだったら、私はそれをやらない。私が、自分が信じて、『これはやってくれ』ということをあくまで追求する」
と言うのです。それで、村上氏は私を取締役に推薦する提案書を出すと思いました。
■すぐ社長秘書に「村上氏から来簡物があれば、社長から連絡を」と連絡。しかし…。
そのときに私のほうから西川社長らにその旨、連絡をとるやり方もあると思いましたが、すでに「玉井外し」は極まっていたから、自分から連絡すると、あらぬ誤解をされてもかなわんと考え、正式に会社へ
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