基準明確化図るも情報開示や審査制度に根強い不満
2012年02月07日
■都道府県ごとの認定率に大きな差
厚生労働省は「脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況」を毎年公表している。この発表で、「申請」「決定」「支給決定」の各件数が都道府県ごとに明らかにされるようになったのは2009年度からだ。筆者は公表済みの2009、2010年度のデータを集計して、精神障害と脳血管・心臓疾患の労災認定にどの程度の差があるか、都道府県ごとの認定率がどのくらい異なるか調べた。
この2年間における精神障害の労災申請件数は計2317件で、同じ期間中に労基署が決定を下した件数は計1913件だった。審査には平均8.6カ月かかるので、決定件数の中には2008年度以前に申請されたものが含まれるし、2009~2010年度の申請分のうち2010年度末中に決定まで至らなかったものもある。この2年間で労災支給が認められたのは542件(うち自殺128件)で、決定件数1913件に対する割合(認定率)は28%だった。
一方、この2年間における脳血管・心臓疾患の労災申請件数は1569件。同じ期間内の決定件数は1405件で、このうち労災支給が認められたのは578件だった。認定率は41%で、精神障害に比べ13ポイント高い。
精神障害の都道府県ごとの認定率にはどの程度の差があるのか。
2年間の決定件数が「10件未満」と少ない9県(青森、栃木、富山、石川、鳥取、島根、山口、香川、高知)を除いた38都道府県の認定率は以下の通りで、かなりのばらつきがあることがわかった。最高は宮城県の54%、最低は愛知県の14%だった。
50%台 宮城、新潟、群馬、長野、熊本
40%台 北海道、秋田、茨城、千葉、静岡、奈良
30%台 岩手、山形、福島、福井、岐阜、兵庫、岡山、徳島、福岡、佐賀、大分、宮崎、沖縄
20%台 埼玉、東京、神奈川、山梨、滋賀、京都、和歌山、愛媛、長崎、鹿児島
10%台 愛知、三重、大阪、広島
都道府県による認定率の差が何に起因す
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