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企業統治に関する会社法制の見直しの現状と今後の見通し

 企業不祥事の続発により日本企業の企業統治に対する信頼が急速に失墜しつつあるのを受け、法制審会社法制部会はこのほど、会社法制見直しの中間試案をまとめた。社外取締役選任の義務付け、監査・監督委員会設置会社制度の導入など企業統治に関する企業実務に大きな影響を与えそうな提案も多く盛り込まれている。日本取締役協会会社法制委員会によるパブリック・コメントの作成にかかわった大井悠紀弁護士が、中間試案の論点をわかりやすく解説する。

 

コーポレート・ガバナンスに関する会社法制の見直しの現状と今後の見通し

西村あさひ法律事務所
弁護士・NY州弁護士
大 井 悠 紀

大井 悠紀(おおい・ゆうき)
 2001年東京大学法学部卒業、2008年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)、2010年ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院卒業(MBA with Distinction)。2002年弁護士登録、2009年ニューヨーク州弁護士登録。
 西村あさひ法律事務所パートナー弁護士。主として国内外のM&A、組織再編、事業提携等を担当するとともに、一般企業法務、独禁法対応、危機管理対応等も担当。

 ■はじめに

 会社法制の見直しに関しては、2010年2月に千葉景子法務大臣(当時)が法務大臣の諮問機関である法制審議会に対して諮問を行ったことを受け、同年4月以降、法制審議会会社法制部会(部会長・岩原紳作東京大学教授。以下「会社法制部会」)において審議が進められている。会社法制部会は

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