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冤罪弁護士が語る真実 今村核著「冤罪と裁判」

『冤罪と裁判』
 2012年5月20日発売
 著者:今村核
 講談社現代新書

 今村核弁護士が2012年5月、『冤罪と裁判』を講談社新書から出版した。

 著者は弁護士登録から20年間、数多くの民事、労働、刑事事件に携わってきたが、なかでも冤罪事件を多く担当してきた。

 日本の起訴事件の有罪率は99.9パーセントと非常に高く、著者はこの数字の中に多くの無実の人々が入ってきたのではないかと疑問視してきた。

 取り調べの際、自分に不利なウソをつき、それを真実のように見せる「虚偽自白」という行為を著者は深く取り上げている。実はこの「虚偽自白」は、被疑者の間では珍しくないようだ。著者が見てきた過去の事例によると、無実の被疑者が虚偽自白に至るまで、それほど長い時間は必要ないという。

 多くの場合、そこには警察による肉体的苦痛も拷問も存在しない。しかし、被疑者が捜査官に対して、必死に自分の無罪を訴えようとしても、彼らの言葉はまるで「岩」に一方的に話しかけるように虚しく響くだけでなく、「岩」は頻繁に入れ替わり、それにより、被疑者は孤立感を強め、絶望感を味わっていくという。

 本書では、「下高井戸放火事件」、「足利事件」、「大阪母子殺害放火事件」などの14の事

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