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米国における再生可能エネルギー発電事業に関する契約実務

 クリーンで安全な電力、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が7月に始まる。脱原発依存、エネルギー安定供給への貢献が期待される一方、ビジネスチャンスの期待も膨らむ。再生可能エネルギー分野への新規事業者の参入で先行している米国の契約実務について松平定之弁護士が詳しく解説する。

 

米国における再生可能エネルギー発電事業に関する契約実務

西村あさひ法律事務所
弁護士・ニューヨーク州弁護士
松平 定之

松平 定之(まつだいら・さだゆき)
 2001年東京大学法学部卒業。2002年弁護士登録。2008年-2010年みずほ証券株式会社法務部出向。2011年ミシガン大学ロースクール卒業(LL.M.)。2012年ニューヨーク州弁護士登録。現在、ニューヨークのDebevoise & Plimpton法律事務所に勤務。

 ■はじめに

 わが国においては再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定価格買取制度(FIT)が本年7月1日に導入される予定であり、再生可能エネルギー発電事業の更なる発展が期待されている。

 米国でも、同事業は未だ発展途上であるものの、1990年代に進められた発送電分離により発電事業への新規参入が進み、また、米国西部を中心に風力などの自然エネルギーに恵まれていることや当該事業への優遇政策の実施により、当該事業への新規参入とそれに関わる契約実務に関して相対的により多くの蓄積があると思われる。

 当該事業への優遇政策として、現在、全米50州の過半数の州において、再生可能ポートフォリオ基準(RPS)が導入されている。これは、電力事業者に一定割合の再生可能エネルギーの利用を義務付けるものである。その他、税務上の優遇(生産税控除、投資税控除)、財務上の優遇(加速償却、債務保証、助成金)などが連邦又は州レベルで実施されている。

 発電事業者を取り巻く契約関係については、以下の表を参照されたい。

 【米国における発電事業者と関連事業者の契約関係の例】

 本稿では、これらの関連契約のうち、(1)電力購入契約、(2)相互接続契約及び送電サービス契約、(3)敷地利用権に関する契約、(4)資金調達に関する契約、(5)EPC契約及び発電設備供給契約、(6)O&M契約について説明を行う。なお、一口に再生可能エネルギーといっても様々なエネルギー源があり、それぞれに異なる留意点が存するが、紙幅の都合上、本稿では風力と太陽光を中心に検討を行う。

 ■電力購入契約(Power Purchase Agreement)

 電力購入契約(PPA)は、発電事業者と電力購入者との間の電力の売買に関する契約である。再生可能エネルギー電力の購入者は、上記のRPSなどの州規制を遵守する必要がある電力事業者(Utility)である場合が多い。

 PPAは、多くの場合において発電事業者の実質的に唯一の収益源であり、その価格及び契約期間は、少なくとも事業運営に必要な経費を賄いつつプロジェクトの債務を返済するのに十分である必要がある。

 価格はRPSの下では基本的に当事者間の交渉に委ねられており、契約期間を通して定額(インフレ調整は付される場合が多い)の場合のほか、営業運転開始から一定期間の経過後に価格を上昇させる例、電力使用のピーク時に高い価格を適用する例、電力小売価格に一定程度連動させる例もある。また、購入者が発電事業者から供給される電力量に関するより正確な見通しを立てられるように、契約時に想定供給電力量を発電事業者に明示させ、それを一定割合以上超過する電力については、低い価格を適用する例もある。

 契約の効力発生時期については、発電事業者及び資金の提供者(レンダー)は、プロジェクトの建設開始前にPPAが締結され、直ちに購入者に対する拘束力を生ずることを望むのが通常である。また、契約期間については、金融機関などからの借入れによりプロジェクトの資金調達を行う場合には、その返済に十分な期間(例えば資金の返済期間が20年である場合にはPPAの期間はそれより長い25年など)を確保する必要がある。具体的な定め方としては「営業運転開始日」から一定の期間が経過した日を契約の終了日とする例が多い。「営業運転開始日」には、この他に、一定の日までに営業運転を開始する旨の発電事業者の義務が履行されたか否か(違反の場合には違約金支払義務が生じうる)の判断や、(試験運転期間中の売電価格を、営業運転期間の価格よりも低く定める場合には)売電価格の「試験価格」から「運転価格」への移行に関するメルクマールとしての意味がある。したがって、「営業運転開始日」の定義は重要であり、(1)「設備の設置と検査の完了」と(2)「電力供給が可能になること」の2要素を軸に定義されるのが一般的である。発電設備供給業者の作動確認に関する証明書発行や、独立した技術者の確認を必要とする例もある。一定の日までに、事業に関する州当局の許認可が得られない場合、送電事業者との相互接続契約が締結できない場合、営業運転開始ができない場合などにおいては、営業運転開始日前の契約解除が認められる場合が多いが、発電事業者による解除権行使については、当該事業者がこれらを実現するための合理的な努力を尽くした場合に限るなどの制約が課されるのが通常である。

 電力の引渡点(Delivery Point)は、発電事業者の義務履行の有無(引渡点に電力を供給することが発電事業者の義務であり、引渡点以降の送電は購入者の責任となるのが原則である)や、供給される電力に関する権限と危険負担の移転(例えば、引渡点以降の送電ロスについては、購入者がその危険を負担し、購入者は引渡点に供給された電力量を基準に発電事業者に対価を支払う必要がある)のポイントとなるため、これをどこに置くかも重要な交渉事項となる。実務上は、これを発電事業者の施設内に定める場合と同施設外に定める場合の双方がある。

 実際の供給電力量が購入者の想定を下回る場合には、購入者には代替電力や再生可能エネルギー・クレジット(REC)の購入に伴う損害が生ずるため、購入者が、発電事業者に対して、一定期間に実際に供給される電力量に関する保証(Output Guarantee)又は発電設備の稼動可能割合の保証(不可抗力や定期メンテナンスによる停止時間を除いた時間のうち、実際に設備が稼動可能な状態にある時間の割合に関する保証。Availability Guarantee)を求める場合がある。このうち、Output Guaranteeについては、特に風力や太陽光などの気象条件に左右される発電においては、発電事業者が難色を示す場合が多い。違反の場合には違約金支払義務が生ずるほか、違反状況が一定期間継続した場合には購入者に契約解除権が発生するとの定めがなされる場合がある。発電事業者は、これらの保証に基づく責任の全部又は一部をカバーするために、後述のとおり発電設備供給業者(又はEPC業者)に対し同様の保証を求める必要が生じる。

 供給電力の抑制(Curtailment)について、それが不可抗力による場合(自然災害のほか、送電施設運用者の判断による抑制が含まれる場合もある)には、発電事業者はOutput Guarantee違反を問われず、購入者も抑制された電力の対価の支払義務を負わない。また、購入者に対してその任意の判断による供給電力の抑制を認める場合があるが、この場合には、抑制された電力についても購入者は対価を支払う義務を負うのが通常である。

 発電事業者には、通常、適切な事業運営のプラクティスに沿って事業を運営すること(定期的な設備の検査及び保守の実施などが含まれる)が義務づけられる。請求価格の算定やOutput Guaranteeの遵守状況を確認するために、電力供給量の把握が重要であり、主メーター及び確認用メーターの設置、検査及びその費用負担などについて定めがなされる。

 上記のとおり、PPAは発電事業にとって実質的に唯一の投資回収手段であり、事業資金を提供するレンダーにとって、担保実行時にPPAを承継できることを確保することは融資実行の前提となる。従って、かかる発電事業者及びレンダー側のニーズに基づき、レンダーによる担保実行に伴うPPAの譲渡は許容される(又は担保実行による発電事業者の支配権の移動がPPAの有効性に影響を及ぼさない旨が定められる)のが通常である(敷地の賃貸借契約などその他の関連契約についても同様である)。

 ■相互接続契約・送電サービス契約

 相互接続契約は、発電事業者と、当該発電事業と接続する送電施設を保有する送電事業者との間の、相互接続に関する契約である。米国では、FERC(連邦エネルギー規制委員会)の命令により、送電事業者に対し発電事業者からの相互接続の要請に応ずる義務が課されている。送電施設の運用者が所有者と異なる場合(ISO(独立系統運用機関)などが運用者である場合)には、両者ともに本契約の当事者となる必要がある。近時、多くの地域において、送電施設の効率的な運営の観点に基づき、複数の発電事業者から相互接続の申込みがなされた場合の優先順位は、申込順ではなく事業開始準備の完了順とされ、また、不真面目な発電事業者の相互接続の申込みに伴う送電事業者のコストを低減する観点から、発電事業者に対して従来よりも多額の調査預託金(返金されない場合がある)の拠出が予め求められる傾向にある。本契約で特に問題となるのは相互接続のスケジュールと相互接続のために設置される設備の費用負担である。後者に関し、相互接続に必要な設備の設置とアップグレードの費用は発電事業者の負担であるが、相互接続点を越えた送電システムのアップグレード(ネットワーク・アップグレード)の費用は、地域によってはその全部又は一部が実質的に送電事業者の負担になる場合があり、この場合には、相互接続点をどこに置くかが当事者にとって重要なポイントとなる。特に、再生可能エネルギー発電事業の設備は、既存の送電網から離れた場所に設置される場合が少なくないため、この点は重要な問題となりやすい。このほかに、発電事業者の責務(事業の運営に関して、NERC(北米電力信頼度協議会)の電力信頼度に関する基準を充たすことなど)、送電事業者が相互接続を切断又は縮小できる事由、緊急時の対応、関連設備の検査に関する定めなどがなされる。

 送電サービス契約は、発電事業者と送電事業者との間の送電サービスの提供に関する契約である。相互接続に関する契約は、当然には送電サービスの提供を含まないため、このような契約を別途締結する必要がある。なお、米国ではFERCの命令により送電事業者は予め定めた約款(Tariff)に基づき送電サービスを提供することが義務づけられている。電力購入者に供給するために複数の送電事業者の送電設備を経由する場合には、複数の送電事業者との間で本契約を締結する必要がある。送電事業者の約款には、同時同量の維持の観点から、予想発電量からのブレを補正するためのインバランスサービス(例えば、実際の発電量が予想発電量を下回った場合に、送電事業者からそれをカバーする電力の補給を受ける代わりに発電事業者はそのコストの110%を支払い、逆に上回った場合には当該電力の価値の90%相当を受け取る。実際の発電量と予想発電量の差が一定基準を超える場合には、実質的なペナルティが課される場合もある)を発電事業者が購入しなければならないことが定められ、発電量が不安定な再生可能エネルギー発電事業者にとっては、その負担は小さくない。このため、再生可能エネルギー発電事業者については、インバランスが一定基準以内に収まる場合には月単位で相殺を認め、また、インバランスが拡大した場合に課される実質的なペナルティの幅を限定するなど、その負担を軽減する傾向にあるが、この点に関しては、個々の送電事業者の約款の定めを確認する必要がある。

 ■敷地利用権に関する契約

 敷地利用権に関しては、税務上の考慮などから、所有権取得よりも賃貸借契約(又は建物の屋上などに設置される小規模太陽光発電などでは地役権設定契約)によることが多い。発電事業の運営において敷地の確保は当然重要であるが、特に風力や太陽光については、発電に十分な風力や太陽光を確保するために、周辺に障害となる建物の建設などを防止する必要がある。このため、敷地利用権を賃貸借契約(又は地役権設定契約)により取得する場合には、対象となる敷地の範囲が重要になるとともに、隣接する土地の所有者との間で、風ないし日照を遮らないことに関する地役権設定契約を締結する場合もある。例えば太陽光の場合には、地役権の空間的範囲、設備に到達する日照の想定量、許容される日照の遮断とその想定量、対価の額、違反の場合の措置などが合意される。

 契約の期間に関し、風力発電では、立地の適切性の検証の観点から、3年から7年程度の検証期間を設定した上で、その期間で立地の適切性が確認できた場合に、長期(30年程度)の延長を行う選択権を事業者が持つ事例がある。このような期間延長に関する選択権の付与に対し、事業者が土地所有者にアップフロントで一定の対価を支払う例もある。

 なお、賃貸借契約などを締結する前提として、専門家を通じて敷地の権利関係を事前に確認しておく(Title Review)ことが重要である。具体的には、敷地利用権(所有権)の保有者、担保権設定の有無、第三者への用益権の設定の有無などを事前に確認することになる。また、権原保険(Title Insurance)を取得するほか、事業遂行に支障を来たすおそれのある問題が発見された場合には、担保権者、用益権者などとの協議・合意を通じてそれを治癒する必要がある。

 ■資金調達に関する契約

 再生可能エネルギー発電は、比較的小規模な事業者により営まれる場合が少なくない。このような場合には、ファイナンスの返済原資は、実質的に、プロジェクト資産とプロジェクトから生まれる収益に限られることになる(いわゆるプロジェクト・ファイナンス)。それゆえ、資金のレンダーは、プロジェクトのあらゆる側面(風力であれば、敷地上の風力の状況、導入される設備の性能、土地利用権の内容、送電の確保の状況、電力購入者やEPC業者などのプロジェクト関係者の法的義務や資力など)について(即ち、プロジェクトが十分な収益を生み出すことができるかについて)十分な審査をすることになる。レンダーが、風力や気象の審査のため、独立の専門家を雇用する場合も少なくない。

 レンダーは、発電事業者のデフォルト時に担保であるプロジェクトを承継できるよう、重要な契約(PPA、相互接続契約、敷地利用契約、EPC契約、O&M契約など)と許認可を第一順位で承継する権利を求めるのが通常である。なお、許認可の承継については通常容易でないことから、許認可を保有する事業体のエクイティ持分の承継が合意されるのが通常である。また、レンダーは、事業所有者に上記の重要な契約の写しを事前に提出させた上で審査し、一定の事項(担保実行時にレンダーが各契約を承継すること、各契約について発電事業者にデフォルトがあった場合に各契約の相手方がレンダーにこれを通知し治癒の機会を与えること、各契約に基づく発電事業者への支払いが下記の所定の口座に振り込まれることなど)に関する合意が確保されることを求めるのが通常である。

 PPAなどに基づく事業者への支払いについては、レンダー自身に開設された口座か、レンダーが契約に基づき管理可能な口座に入金されることが求められる。入金された収入は、典型的には、(1)一定期間(例えば6か月)の設備の運営及び保守(O&M)に要する費用の準備金、(2)一定期間(例えば6か月)の貸付金の返済のための準備金、(3)大規模保守に要する費用の準備金、という順番で割り当てられ、(4)事業所有者への配当は、上記(1)から(3)が全て賄われた後にのみ行うことが認められる。事業所有者への配当については、デッドサービスカバレッジレイシオが一定の基準を下回らないことや、回数(四半期ごとなど)に関する制限が加えられることも多い。

 また、事業所有者に求められる誓約事項(Covenants)の例としては、施設の運営・保守(O&M)に要する経費が予算を一定以上超過する場合にはレンダーの承認を得ること、一定の保険契約を維持すること、レンダーの指名するエンジニアによる調査を許容すること、対象発電事業以外の事業に従事しないことなどがある。

 ■EPC契約・発電設備供給契約

 EPC契約(Engineering, Procurement and Construction Agreement:設計調達建設契約)とは、発電事業の開発事業者(Developer)が、専門性を有する建設業者に対して、発電施設の設計、資材の調達及び建設を委託する契約である。具体的には、発電設備の調達を含めてEPC業者に委託する例と、発電設備の調達は開発事業者自身が別途行い、建設その他の業務のみをEPC業者に委託する例とがある。風力発電については、後者の例が比較的多い。後者の場合には、発電設備の建設に関する契約が二重になる(開発事業者が発電設備の供給業者との契約とEPC業者との契約の2つを行う)ので、両契約のサービスの内容に漏れや重複がないか(例えば、発電設備の輸送を供給業者とEPC業者のどちらが行うのかなどの明確化)に留意が必要である。

 多くのEPC契約では、報酬の支払いは、工事の各工程の完了を基準に複数回に分けて行われるものとされ、最終の支払いは工事の完了を条件になされる。「工事の完了」とは、仕様書に従った工事が完了し、かつ作動テストをクリアした段階である。また、EPC業者は、自らの行った工事の適切性に関する保証(設置された施設に重大な瑕疵や法令違反がなく、開発事業者の承認した仕様書に合致していることなどに関する保証)、自らの採用したシステムが第三者の知的財産権を侵害していないことに関する保証などを求められることが少なくなく、違反がある場合には損害賠償義務を負う。また、EPC業者は、工事進捗の報告、検査、適切な保険への加入などの義務を負う。開発事業者は、EPC業者に対し、金融機関作成の履行保証書(Performance Bond)の交付を求める場合が多い。

 発電設備供給契約については、通常の動産売買契約と共通する点が多い。供給事業者による供給設備の性能に関する表明保証のうち主なものは、次の2つである。第一に、発電効率(各種の条件下で(例えば一定の風速で)一定量の電力を発電できること)に関する表明保証(Power Curve Warranty)である。第二に、前述した発電設備の稼動可能割合に関する表明保証(Availability Warranty)である。表明保証違反の場合には、供給業者は損害賠償義務を負う。これらの表明保証を確保することにはレンダーも強い関心を持つことが多い。この他、風力発電などにおいてタービンから生ずる騒音が一定レベル以下であることに関する表明保証などが求められる場合もある。

 ■運営保守契約(O&M Agreement)

 発電事業を開始する者(事業所有者)は、必ずしも発電事業の日常的な運営保守のノウハウを有する者であるとは限らない。この場合には、事業所有者は当該ノウハウを有する第三者(受託者)との間で事業の運営保守の委託に関するO&M契約(Operation & Maintenance Agreement:運営保守契約)を締結することになる。

 本契約に基づき委託されるサービスの内容は、発電施設の継続的な運営(発電設備、相互接続設備その他の関連設備の管理及び維持、EPC業者など外部サービス業者との協働及び監督、従業員らの安全・環境規制などの遵守の確保などを含む)、設備の継続的な保守(関連設備の定期検査、補修を含む)、事業所有者への報告などの実施などが挙げられる。サービスの内容は多岐にわたることから、別表にまとめて列記される場合もある。列記されないサービスについては、追加料金を求められる可能性があることから、事業所有者の立場からは、必要な業務が網羅されているかの確認が重要である。

 事業所有者は、受託者への報酬及び経費の支払いのほか、施設に関する情報、施設へのアクセス、予備部品の提供などの義務を負う場合がある。

 経費の支払いについては2つの定め方がある。1つは、事業所有者から受託者への支払いが固定額であり、運営及び保守に係る経費の増減リスクを受託者が負担する契約である。この場合には、事業所有者は経費の変動リスクを抑えられる一方で、受託者はそれに見合うプレミアムが加味された額の報酬を求めることになる。もう1つは、一定の報酬以外に、受託者が運営及び保守の経費を事業所有者に償還請求でき、当該経費の増減リスクを事業所有者が負担する契約である。後者の場合には、経費の拡大を防ぐために、毎年、受託者が予算と事業計画(主要なオーバーホール及び保守プログラムを含む)を策定し、事業所有者の承認を得た上でこれを確定させるプロセスを規定しておく必要性が高い。

 ■終わりに - 日本への示唆

 わが国と米国では、電力事

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