2012年06月30日
岩波ブックレットから『避難する権利、それぞれの選択―被曝の時代を生きる』が出版された。「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」の河崎健一郎弁護士(東京駿河台法律事務所)らが執筆した。
昨年3月に原発事故が発生して以降、長年親しんだ住まいを放射線被曝への不安から退去せざるを得なくなった「国内避難民」たちを対象に、「避難する権利」を認めるべきだと著者らは提言する。
著者らが問題視するのは、自主的に避難をした人々への支援が不足している点だ。国の線引きによって、強制退去の対象地域とそうでない地域が分けられた。しかし、強制退去の対象ではない地域に住む人々の間でも被曝被害への不安は強い。そのため、一部は自主的に避難するが、彼ら自主避難住民は経済、社会的支援の対象外となりがちだ。そこで、著者らは彼らにも「避難する権利」を認め、避難に必要な各種支援を受けられるように制度を整備すべきだと主張する。
「避難する権利」のもとでは、避難決断のために必要な放射線被曝の影響に関する適切な情報の提供が不可欠だとしている。なぜならば、適切な情報と、家族の健康と生命を守りたいという気持ちに基づく避難は、人権の観点から見
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