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ステークホルダー・ダイアログ:株主総会とは別の役割

さまざまな形態で開催、意見を吸い上げる

  「ステークホルダー・ダイアログ」や「ステークホルダー・ミーティング」といった名称で、外部の人たちとの懇談会を開く企業が増えてきている。株主総会とは別に、消費者、株主、従業員、関連会社など幅広く事業関係者と対話・懇談し、提言を受ける場としている。

 

日本経営倫理士協会専務理事
千賀 瑛一

日本経営倫理士協会・千賀瑛一専務理事拡大千賀 瑛一(せんが・えいいち)
日本経営倫理士協会専務理事。東京都出身。1959年神奈川新聞入社。社会部、川崎支局長、論説委員、取締役(総務、労務、広報など担当)。1992年退社。1993年より東海大学(情報と世論、比較メディア論)、神奈川県立看護大学校(医療情報論)で講師。元神奈川労働審議会会長、神奈川労働局公共調達監視委員長、「経営倫理フォーラム」編集長。日本記者クラブ会員。

 ■女性応援活動などについて説明
   ――ポーラ・オルビスホールディングス

 ポーラ・オルビスホールディングス(以下、オルビス)は2011年9月2日に初めて「ステークホルダー・ダイアログ」を開催した。

 ステークホルダー側の有識者委員として、消費生活コンサルタント、関連業界役員ら3人が出席し、これに対し、オルビス側は代表取締役社長、CSR事務局長、カスタマーコミュニケーション部部長ら5人が出席した。

 姉妹会社であるポーラも11月9日に開催。ジャーナリストや関連会社役員ら3人がステークホルダー側として、常務取締役以下3人が会社側として参加した。

 オルビスは化粧品の訪問販売、通信販売が主力。一方、ポーラは店頭販売等を中心にする会社。両社とも、お客は女性中心であり、従業員もほとんど女性だ。

 討議されたテーマは、オルビスが「お客さまの満足の向上を目指して」、ポーラが「女性を応援する企業でありつづけるために」。いずれも消費者に深くかかわるテーマだけに、ステークホルダー側からの意見や指摘について、会社側は丁寧に回答したという。

 オルビスの担当者は「女性の社会進出で生き方や働き方も多様となり、女性応援活動も大きく変化している。ステークホルダー・ダイアログから得られた指摘について検討を加え、ポーラらしさを実感できる女性応援活動にしたい」と話している。

 ■インドネシアのゴム農園での人材育成も話題に
   ――ブリヂストン

 ブリヂストンの「CSR有識者ダイアログ」は今年で3回目。4月4日、約3時間余にわたって本社で開かれた。

 ステークホルダー側として消費生活アドバイザーやNGO代表ら5人が参加した。事前に、CSR経営への取り組みについて品質管理・環境対応などを5人に説明した。会社側はCEO、CCOはじめ環境や生産技術を担当する執行役員ら計6人が参加した。

 下準備をしてのダイアログだけに、議論は、かなり細かい部分にまで踏みこんだ。

 インドネシアのスマトラ島には、同社が保有する天然ゴム農園がある。この周辺には、生産能力が高くない小規模ゴム農園がある。同社は2001年からそれら小規模ゴム農園への支援活動を始めた。苗木育成、栽培技術指導などだ。この活動が評価され、2010年にはインドネシア産業省から表彰された。この活動について有識者側から踏み込んだ質問が出た。インドネシアでの小規模農園で働く人々やその家族、地域社会の状況などが質問され、同社の活動が評価された。そのほか、ラベリングによる消費者コミュニケーションなども話題にのぼった。タイヤなどの製品につけるラベルには、燃費と安全に関する表示があり、消費者の関心が高いようだ。

 ダイアログの事務局を担当した同社の川瀬暁CSR推進部長は「ダイアログの基本テーマはCSR全般に対するものと環境に対するものの二つだ。消費者と馴染みのない部分が多い製造業なので、下準備することも必要だろう。当日の議論の中身はトップが出席してくれただけに大胆な発言もでて、有識者側も納得してくれた。また専門的な個別テーマについても踏み込んだ質問も出てきた。今後はこのような実務的なテーマやグローバル化した企業活動などについてもダイアログのテーマとしていく必要があるだろう」と話した。

 ■分科会方式を導入、規模も大きく、内容ある論議に
   ――大和ハウス

 大和ハウスの「ステークホルダー・ミーティング」の特色は本会議、分科会の2段階方式が採られていること。2011年11月23日に開かれた第8回のミーティングには、顧客4人、取引先4人、従業員4人、NPOの4人、株主4人、地域社会から選ばれた5人が参加した。この25人は、所属する6つのグループに分かれて議論した。全体のテーマは「大和ハウス工業が優先的に取り組む社会的課題」。これに対して6分科会では「人財の育成」「地元地域発展のための投資」など事前に決められたテーマを討論した。各グループには司会兼書記役の同社社員2人が加わった。小山嚴也・関東学院大教授(日本経営倫理士協会講師)がファシリテータ―として全体をまとめた。

 この後、選出されたリーダー1人ずつが参加して本会議が開かれた。小山ファシリテータ―が意見を集約し、ステークホルダー全体の統一見解を決めた。グループリーダー以外の者はオブザーバーとして全体討議を傍聴し、状況に応じて意見を述べた。

 この本会議で決定した課題は▽社員など人材の育成▽地元地域発展のための積極的な関わりや連携▽地元地域発展のための投資▽差別の撤廃と平等な機会の提供▽安全かつ健康に働くことのできる職場づくりなどだった。開催日は祝日で、議論は午前10時半から午後5時までの長時間にわたった。

 本会議で決定した課題を後日、社内検討会で関係役員を中心に2度にわたり討論、最終決定した。

 ファシリテータ―の小山教授は、「ステークホルダー・ミーティングには株主総会とは違う間合いがある。まさに会社とステークホルダーが肌で接するような会話があり、テーマに対する意見も具体的で会社側も真剣に対応せざるを得ない。ステークホルダー・ミーティングやダイアログは株主総会とは違う役割を持ちつつあるように思う」と話している。

    ◇

 この1年間でこうしたステークホルダーと対話する会議を初めて開いた企業としては、ポーラ・オルビスホールディングス(2011年9月2日開催)のほかに、ベネッセグループ(同年7月25日開催)、伊藤園(同年9月6日)、大阪ガス(同年12月1日)、日立ソリュ―ションズ(2012年2月開催)などがある。このほかに、トヨタは第11回(2011年11月)、資生堂は第10回(2012年5月)、竹中工務店は第8回(2011年10月)を開いた。

 〈経営倫理士とは〉
 NPO法人日本経営倫理士協会が主催

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