2012年07月21日
鉛カバー装着を指示したビルドアップ社役員と拒否した作業員らの話し合いの全容は次の通り。2011年12月2日夜、福島県いわき市の旅館の一室で録音された。会社側、作業員側からそれぞれ3人ずつ出席した。
■「線量累積、仕事できなくなる」
会社側:わかりやすいように説明すると、年間50ミリシーベルトまでいいですよっていうのは、原発やってる人はみんな知ってるんだわな。で、これは、50ミリシーベルトっていうのは各個人の線量。で、俺らみたいな年間通して原発で働く人は、50ミリっていうのは50ミリだから。いっぱい線量浴びちゃうと、年間なんてもたないわけよ、はっきり言って。3カ月、4カ月でなくなっちゃうのよ、50ミリなんて。
だから、自分で自分の線量を守んないと、1年間原発で生活していけないのよ。原発の仕事でぎねがったら、もうその場でどっかで働くかっていうわけにはいかねえんだから。俺ら何十年もやってっから、原発ばっかり。だから、自分の線量を守るためにどうするっていうごどでやってるわけ、ね。
別に、あのー、なんて言うの、誰かに言われてやってるとかなんとかじゃなくって、自分の線量を残さないと、どっかの原発に入るにしても線量なかったらだめだよって言われんのよ。それが個人の線量の話。
で、今回、部分的に線量が高いエリアがあるわけよ。全部が全部じゃなくて。あのー、低いとこはコンマいくらで、まー、最初やったところの●●●でしょ? で、●●●現場見にいった所なんてのは、ちょっと部分的に高いだよね。だから、そういったとこの作業は、おれらは今までね、自分の線量を1年間守らにゃいかん。飯の食いあげになっちゃうわけよ。だから、こういうふうにしようかって話をこの間したわけでしょ。
で、まあ、そういうことやりたくないと、ね。それはやっぱ、ほら、今まで原発にさ、やって来てなかったわげでしょ。今回初めてでしょ、ね。だから、悪いことじゃねえかって思うわけよ。だけど、俺らにしてみれば、その線量がなくなったら生活していけねえんだよね。わかる? ん? 自分の持ち金と一緒で、50ミリがどんどんどんどん目減りしていくわけだから。ここの現場終わってみて違う原発に入るかって時に「あんた、もう食い過ぎてっからだめだよ」って言われたら、もうその状況で仕事はなくなっちゃうんだ。まず、そこを理解してもらいたい。まず第一にね。
だから、よそでやれる人はいいよ。別にそんなことしなくったって。でしょ? ちょこっと来てやって。あと原発の仕事なんかする必要ねえと思ってる人、ね? だけど、俺らは年間通してずっとやってる。1年、2年、3年と継続してやってるわけだから、ドンドン累積されっちゃうと、原発の仕事できなくなっちゃうよ。だから、個人の線量を守るために、こういうふうにしてんだけどもって、まあ、最初にね、話をしたと思うんだけど。まあ、初めてだから、そういうことが全然わからなくて、まあ、びっくりしたんじゃねえかと思うだよね。
●●●は今、12名か? で、みんなで一緒に動くから、線量の低いとこだけ、じゃあやって下さいっていうわけにもいかないわけさ、ね。みんなで一緒に動いてるから。で、日々の予定が決まってて、今日はここの場所でこういうふうに、明日はこの場でこういうふうにやるっていうふうに、そういう予定に基づいてやっていかなくちゃなんねえから、まあ、12名いるときは12名一緒に動いていく。高い時もあれば低い時もある。
ただ、俺らは原発でこれから先もやっていかなくちゃなんねえから、高いエリアに行く時は自分で自分のことを守んなくちゃなんねえ、ね。そういう状況下の中で私ら、やってるわけ。だから、誰かがそういうことをやりなさいと、ね、言ってるわけじゃない。
まあ、一番最初にそれも説明したと思うんだけど、やりたくなかったら仕方がないよね。みんなで一緒に動いてんだから、その中で●●●一緒に動けなかったら、それはそこの現場として成り立たないわげよ。たった12名しかいねえんだから。●●●だって一緒でしょ。行ったところの親方が今日はこういう仕事やるよって、ね、俺はその仕事やりだくないがらって言われたら、●●●だってじゃあダメだなっていう話されるでしょ。原発に限らず。なんか、言ってること違う? 私がいま説明してる内容は。
■「やってはいけない、百も承知」
作業員:原発みたいなのは特殊な仕事なので一般の仕事をとったときとは話は違ってくるとは思うんですよ。原発では基本的に扱っているものが、見えない放射能ということで、一般の……。
会社側:ただ、私がいま言ったのは、その仕事をやってるチームとして、グループとして、そこの責任者の人が、今日はうちらはこういうことやるよって、●●●でもやるでしょ、現場で、朝さあ、その時に、いやあ、俺はその仕事はやれねえからだめだって言われっと、●●●だって、同じ結論が出てくんだね。できねんだったらだめだべって、勝手にそっちにいってやらせるわけにいかねえもんよ。でしょ?
そういう考えっていうのは、まあ、仕事は別にしても、グループで動く以上は、●●●だろうが、原発だろうが、一緒じゃないんかな。違う? 今まで動いてきたときに、まあそのグループの親方が今日はこれやるよって、今日はこうするよって言うでしょ? そういうときに、いや俺それできねえって、じゃあ、お前たちはこっちでなんかやってろって話になる?
作業員:いえ、なりませんけど。そりゃ、確かに■■さんが言われていることは分かります。でも今回の場合は、俺はやってはいけないことを……。
会社側:違う。だから、やってはいけないってのは百も承知。俺、自分の体守ってんだから。それをやんないと、俺らは1年間やれないよって、さっき説明したよねえ。それは、自分のために俺はやってるわけよ。でしょう? だから、一番最初に言ったよね。やりたくない人は別に、無理してやらなくたっていいんだよって。
作業員:その最初がですね、あの(12月)1日の話だったですよね。安全教育を受けて、入構手続きをしている時に、そこで言うのが最初だと、僕は思うんですよ。こういうことをやると。それ前提でいいかということを承諾を得るべきだと思うんですよ。その時に。
会社側:あのー、俺らも一緒に教育を受けたよな。それで現場に行きました。で、こういう場所だよと。こういう場所あるよと。お客さんに連れられて現場調査へ行ったよね、一緒にね。ここは線量が高いよねって、初めて分かったよね。
作業員:データだけはありましたね、あっこは。
会社側:事前にそういうふうな、高いエリアの所をやるよっていうのは、私にわかってれば、そりゃあいくらでも説明してますよ。こういうエリアがあるよ、線量が高いけど、どうするって。行って、現場調査して初めて、ここは高い、ここはそうでもないっていうのが分かって。じゃ、高いエリアをやるときにどうするかというのを自分で考えた時に、自分の線量を守んなきゃなんないという判断のもとで、こうするよという話をしたわけね、この間の。●●●。そのときに、やっぱりみんな一緒だから。やれない人は仕方がないよねって。
これはあくまでも、私は無理にやれという問題じゃないから。私は自分で自分の線量を守るためにやってるだけなんだけど。だから、やれなかったら、それは仕方ないごとだから、無理にやらなくったっていいんだよって。そういう説明したと思うんだけど。それでほら、■■さんとか■■さんとかね、■■さんはやれないっていうなら、じゃあ、仕方ねえからということで上がってもらうっていうことに。そんで、これから先もそんなごどあんだもん。やっていくうえで。
それが分かったのが1日の現場調査だから。このラインは高いよ、こごのエリアは高いよ、こごは低いよと。当然われわれがこれから1年間やっていくのに、自分の線量を守んねえと、あそこの現場で全部使い果たすわけにはいかねえ。日本全国、一緒だからね、これは。まあ、手順に入ってるからな。そういうことも、まあ理解してもらうと、まあ私らは助かるんだけど、逆にね。自分の線量を守るためにやってるごどだから。
作業員:自分はいままで、民間から公共から県から市から、いろんな仕事をずっとやってきて、あのー、何て言うんですかね、まあ、いろいろありますけど、これって犯罪に近いと僕は思うんですよ。早かれ遅かれ、これはばれることだと思うんですよ。
会社側:あのね、だから、犯罪とかばれるどがって、これは自分のためにやってることだから。なっ、人のためにやってるわげじゃない。私、無理押しした? やれって。言ってないでしょ? やれない人はいいよと俺、言ったよね。でしょ?
作業員:言いましたね、はい。
会社側:それはやっぱり、自分のために納得してやってもらえるんだったらやってくださいよっていうごどなの。おれは自分の線量を守りたいからやるよ。だから、悪いことだどがさ、犯罪だどがって、自分のためにやってることだから、俺は自分が嫌だったらやんねえさ。自分が自分の線量守るためにやってるごどだから。人にとやかく言われだぐないさ。だって、自分の線量だもん。1年間働ぐためにはその線量を残さないっきゃなんねえの。でしょ? だから、俺はあくまでも、本人の意思を尊重して、行かれなきゃいいんだよっていう説明をしたんだ。
■「原発しかねえ人間ゾロゾロいる」
作業員:まあ、線量という決められた基準の中で、自分は働きたかったですね。
会社側:だから、そういうときは、違う現場に入って1回やってみればいい。うぢじゃなくて。現場なんていっぱいあるんだから。原発なんて。でしょ? よりによって1F(福島第一原発)に来てさ、うぢの仕事をやりながら、ね、自分だけこうふうにやるよって言われても、うちだって困るよ。じゃあ、みんな(線量を)食うだけ食って、ね、終わるがってみんなに言ったら、みんなさあ、「仕事、どうすっぺ」って話になるよ。できねえんだもん、あと。なぐなったら。
作業員:原発ではな。
会社側:そのね、原発しかやってねえ人間がゾロゾロいるわけだ。■■さんみたくさ、他の仕事いっぱいできる人はいいよ。でしょ? 原発なんて、どうでも。うちら原発しかやってねえがら、原発以外の仕事っていうのは、ながながねえわげだ。
作業員:私らも初めて入って来たんで、まあ不安もあるわけでね。線量がどうのこうのって言われても、ちょっとピンとこないんですよ。
会社側:それは初めてだから。俺もな、■■の社長を怒ったんだ。ちゃんと事前にそういう教育をして、線量は高い●●●食らってるときは。ね、説明してよこさなかったら、来た本人だってかわいそうだべって。でしょう? 初めて登録して、初めて籍を作って、1Fでしょ、来る所が。だったら地元の原発かなんかで、2、3年やらして、線量ってどんなもんなのっていうのを自分で理解しなくちゃ。でしょ? やってるから原発のごどわかるでしょう?
俺だって、やりたくない人は無理にやらなくっていいよって話をしたんだから。ただ、私らは1年間こうやって生活してるから、ここで線量をなぐすわげにいかないのは、それは理解してもらわないと。誰のためにやってるんじゃなくて、自分のためにやってる。そうやって生活していがないと、生活できないがらね。原発専門にやってる人はみんな。やっぱり、自分の線量ってのは大切なんだから。それが飯のタネだもん。なぐなってしまったら、どこの原発にも入れねえ。みんな生活かがってやってるわげだがらな。
作業員:それはわかります。原発一本で食べられてるってのは。原発にかかわらず、みんな生活がかかってるから。
会社側:私も事前にそういう場所があって、さっき●●●ように、高い所があって、どうしてもそこをやりくりすんのには、事前にみんなに、そういう場所わがってれば説明したよ。隠すつもりもないし、でしょう? こういう現場で、まどもにやったらこうなっちゃうよって。事前に私に分かってれば、みんなに話ししますけど。教育終わって中に入って、お客さんの説明で、現場見た時に、こりゃあ高いなっていうのは、今まで何十年ってやってるわげだから、すぐに分がったから、じゃあ、あのエリアやるときはこうしようって、で、それに納得でぎなかったら仕方がないと。私は私なりの判断でそういうふうに決めだ。無理にやれということではなくて。話が全然違うから。そんな気持ちはなかったし。
作業員:信用問題になると思うんですよ。この先何年かこれをかかわってきて、明るみになったとき、迷惑かかる全部がみんな信用問題になると思うんですよ。それで自分はそういうことをしたくないなと。
会社側:だから、それでいいど思うよ。私は全然、それに対してどうのこうのって言うつもりもないし。まあ、健全な原発でちゃんとやっていけるんだから。初めてでも、なんでも。ただ、来た所が1Fだから、ね、そういうエリアもあるのは当然のごど。高い所が。だから■■■の社長にはね、ちゃんと事前に教育して、どういう場所に送り込ん●●●ら、いきなりさあどうぞってね、よこされでも困るでしょって。本人だって右も左もわがんねんだから。原発初めてで。でしょう? そういう話なんだ。分かってもらえた? ■■さん。
■「生き方間違い、言われたぐねえ」
会社側:僕は40年。●●●からね。40年、うん。分かりました?
作業員:はい。
作業員:なんせ私ら、もう初めてですから。
会社側:もう心配だわな。
作業員:ああ、そうなんすよ。■■さんが言うことも■■さんが言うことも、十分分かるんですよ。さっきも言われたように、その給料がなかったら、明日飯のタネの食い上げだと。給料がなかったら、もう食えんじゃないですか。しまいに極端な話、首でもくくらないといけない。家族もおりますからね、当然、みな。分かるんですよ、言うことは。
会社側:だから、自分の線量は自分で守るために、今まで、そうやったごどもある、はっきり言って。だけど、それは自分の線量だから。一つの現場でさ、何カ月ぐらいでその線量の3分の2まで切ってみな。もう入られなぐなるから、よその現場に。それを嫌だから。自分で自分の線量は守んなきゃならないっていうのが、今言っている話よ。それが、他人から見ればさあ、あんたは悪いごどやってるよって、俺は言われたくない。
作業員:まあまあ、そういうふうに映ったんかもわからないです。
会社側:自分の飯の食い上げになるんだから。
作業員:まあ、そうですよねえ。
会社側:だめだったらだめで、自分本人の意思だもん。■■さんはいろいろ今までやってきてんだから、そういうとこでやってた方がいいよ。原発なんかに好き好んで入って来たら、だめだわ。なんて言われで来たが知んねえけど、もどもどの仕事やってだ方がいいよ。俺はもう何十年もやってっから、原発ばっかり。敦賀だって行ったごどもあるし。●●●も行ったごどあるし。全国どこの原発も入ったごどあんだから。
線量の高いとぎはそれなりにいろいろやってきてんの、でねがったら、どごの現場でも●●●、仕事ねんだがら。どごにも入れねし。そんなの何回もくぐり抜げで、生きてきたわげだ。それがさ、あんたの生き方間違ってるって、俺は言われたぐねえんだあ。
まあ、■■さんなんかは、今までやってきたやつをやった方がいいよ。ほんとに、原発なんか入んねえ方がいいよ。
作業員:ぶっちゃけ、隠すこと嫌いですから。結構いま、忙しかったすよ。すっごい忙しい中で無理して、今回、こういう形で来たんですけど、年内までということだったから、こういう意見の食い違いと考え方の違いで終わるということになっても、僕は年内までということになってたんで、正直言って困るというのがある。
会社側:いまの雇用形態ってどうなってんの? 失業保険とか、入ってないの?
作業員:自分はもう一人親方でずっとやってますんで。
会社側:じゃ、自分の所属してる会社からは自分は請負でやってるわけだ。
作業員:はい。
会社側:そういうことね。じゃ、どっから声掛けられてこの原発にやってきたの?
作業員:■■。で、■■さんは■■さんで別で、■■さんは■■さんでまた別なんですけど。と思うんですけど。どうすればいいですかね。年始からはビッチリ詰まってるんですよ。
会社側:いま現在、現場に入ったがら分かると思うけど、みんなで一斉に動いて、決めてかなきゃなんねえんだから、こっちやってくれないっていう現場がねえわけよ、うぢは。●●●てるし。地元に帰って、■■に●●●かなんかの仕事を段取りしてもらったら? 年内って言ってるわげだから。
作業員:まあ、今回は原発の関係で■■の方から声かかったんですけど。
会社側:■■にだって、何か●●●の仕事やってんじゃないの? やってないの?
作業員 まあ、はっきりはわからないんですけど。
会社側:地元の火力とかさ、地元の原発とか、そういうのを含めで、■■の方で段取りしてもらったら? そういう話はしてないの? ■■さんと。
作業員 はい、してない。とにかくこっちの方にいることにしたんで、年内はっていうんでしたんで。
会社側:まあ、私の方は■■の■■さんにはもう1回電話をして、地元でなんか別な仕事を年内はちゃんと面倒をみてやってという話はするよ。私の方がらは。
作業員:意見の食い違いでだめでしたと、帰れって言われても困るんすよね。
会社側:けど、ここに残ったってやれることないもん。そうでしょ? ●●●。
作業員:なんかおかしいすね、話が。
作業員:まあ、要は、それなら、もう明日で帰れっていうことですね。
会社側:明日、ホールボディー(内部被曝(ひばく)の測定装置)を受けて、その後に電離健診を受けて、それで日曜日、移動っていうことだな。
作業員:もう、それは決定してるわけですね。
会社側:だから、まあ、要するにね、やらせられるような仕事があればいいんだけど、ああいう現場だから、みんな一緒に動かないと他に仕事ないしねえ。
作業員:●●●。
会社側:1日は現場にいたでしょ。
作業員:はい。
会社側:2日●●●は待機だよね。待機だから休みだわけでしょ。だから、それは現場に出てないから、出勤扱いではないよね。宿で待機してだわけだから。で、明日(3日)はホールボディー受けて、電離健診を受けるから、出勤扱いだね。あさっての移動は、これは移動でちゃんと出す。
作業員:ここのホテル代は。
会社側:ホテルはうちが払ってるからいい。
作業員:ああ、いいんですか。
作業員:で、考え方をはっきりしないと。私ら、帰れって言われたから帰るわけで。
作業員:そのね、帰る理由なんですよ、お互いの納得いかないですよ、僕は。はっきり言って。だって、自分は、暇なやついっぱいいるんすよ。今回これで僕がご縁ができたわけですよ。たくさん呼ぼうって思ってましたよ。そんなの金額●●●じゃなくて。みんな助かるって思ってましたよ。期待してる人間、星の数ほどいますよ。
■「普通の原発じゃないでしょ」
会社側:まあ、さっき話したようにね、原発やりだい気持ちがあるんだったら、1Fなんかじゃなくて、地元の原発あるでしょ。そういったどごに1回入って。いきなりこんなどごに来て、作業なんていったって、右も左もわがんねんだがら、無理。それは俺は■■さんに言ったよ。社内教育、事前に説明した人間を送ってもらわないとうぢも困るよね。場所が場所なんだがら。普通の当だり前の原発じゃないでしょ。
作業員:納得いかんなあ、俺。
作業員:線量高いのは分かりました。●●●。ただその中で、いまひっかかっているのは、やり方によって、たとえば短時間で交代とか、いろんな方法があったと思うんですよ。
作業員:うんうん、それだけの予算ももらってるんやろし。極端に言うと、人間いっぱい立ててドワーッとやるとか、よそはやってましたもんね。
会社側:それは、私らが決める問題じゃないでしょう。お客さんがこの仕事は何人で、何日で終わらせるっていうことを決めで、それにのっとって私は動いてるわけ。
作業員:いや、お客さんが、この人数でと言われるじゃないですか、その中で、お客さんは多分、事前に線量が高いっていうのは十分承知だと思うんですよ。その中で、線量は50ミリをオーバーしたらだめだよって知っておられるわけじゃないですか。その中で、じゃあ、どうして最少人数でということを決められたのか、そこがちょっとわからない。でも、線量が高いとわかっていれば、やり方はいくらでも。
会社側:うん、そこを教えるからね。原発は今言ったみたいに、●●●な仕事じゃないがら。はっきり言うげど。よその原発でも、高線量の仕事やって、たとえば自分の線量をもってでもね、もうぎりぎりまできたわげ。上がっていいよって。俺らはもう上がっていいよ、あんたはもう現場に入れないがらって。お客さんていうのは個人で雇ってないから。なになに会社として雇ってるわげ。代わりの人出して、線量ある人。そんなのどこのメーカーだって一緒だよ。■■さんずっと残ってでいいよなんていうメーカーさんいないがらね。
自分のことは自分で守りなさいよ。線量高いっていったでしょ。もっとたち悪いのは、50で、10ミリ弱ももう残ってない、その状態でそこで終わり。いくらか残ってるでしょ。他の原発に行きなさいって。人を代えてちょうだいって、会社に言うでしょ。そしたら■■さんは他の人間と入れ替わり。■■さんは自分の所属してる会社に次はどこに行けばいいんですかねと、相談に行く。それが、だって、この業界の決まり。
だから私らは自分の線量を守れって。そういうごど。自分でもって自分の線量を守ってないど、なぐなってしまってからだとさ、会社だってさ、●●●ってこと、言われる? 言われないでしょ? んじゃ、●●●の仕事でもやったらって、所属してる会社からそういうふうに言われたら、明日からおまんまの食いあげになっちゃうわげよ。そういうふうな現状だよ。どごの会社だって。
なら、俺らだって、会社から、線量なぐなったら、■■さんよ、休んでいいよ、言われだら今日で終わりだもん。んだべ。だがら自分で自分の線量を守ってる。そりゃ、自分のためなんだな、この世界で生きてぐには。誰も面倒みてくれないよ。●●●みてくれる人いないよ。だから、自分の線量を残しておかなきゃなんねって言うの。今まで生きてきた経験から。
作業員:そういう方法でしか守れない?
会社側:そうだよ。線量高い仕事やんなきゃ、いいんだ。そういう現場に入んなきゃ、いいんだ。仮に入ったとしたら、すぐに抜けりゃいい。線量高いって分かったら。
作業員:もういいっすよ。僕明日、(東京)エネシスに行きます。聞いてきます。
会社側:俺らのこと、どういうふうに考えてんの?
作業員:いや、どういうふうにも、こういうふうにも、もう嫌ですもん、こんなの。
会社側:自分が、年内(まで)と来て……。
作業員:そうですよ!
会社側:このあと生活に困るから、今、俺らがそういうふうなごどをやってるってことを言いに行くって言ってんでしょ?
作業員:何を言おうが、僕の勝手じゃないですか。
会社側:そごは、ね、私らの生活、じゃ、どうすんの?
作業員:どうすんのもこうすんのも、知ったことじゃないですよ。
会社側:おかしいでしょ、それ。
作業員:言ってることがおかしいですよ。
会社側:どこがおかしいの?
作業員:ごまかしてることがおかしいじゃないですか。鉛の箱をつくって中に入れるっていうのがおかしいじゃないですか。いいすっよ、もう全部。いいっすよ。僕、失うものは何もないですから。いいっすよ。ビルドアップも営業停止ですね。
会社側:なんでそごまで、うぢに何か恨みでもあるの?
作業員:ないですよ何も。
会社側:じゃあ、どういうふうにしてもらいたいの?
■「無理にやれとは言ってないよ」
作業員:どういうふうにもちゃんと、面倒みてほしいっすよね。
会社側:要するに(予定されていた残りの)1カ月の補償をするっていう意味なんでしょ?
作業員:そういうことですよ。そういうことですよ。
会社側:ああ、そういうごどね。じゃあ、最初からそう言えばいいじゃねえの。俺、■■さんと話するから。
作業員:僕はですよ。■■さんは■■さん、■■さんは■■さん。
作業員:そりゃあ、私らもしてもらいたいですよね、できればね。
会社側:さっきから話、聞いてれば、この1カ月の補償をしてほしいって。
会社側:(■■へ電話をかけて)ビルドの■■ですけども。
会社側:感じ取ったけどね、俺は。
会社側:ちょっと待ってね、声、聞こえないがら。あのね、いま3人ど話したんだけど、要は3人は12月の25日まで。
作業員:僕は、ですよ。
会社側:3人で来たんだから、ここで現場をあがるど、残りの分の補償がほしいっていうわげよ。でないと生活できないでしょ? 本人たちは。どうすんの、■■さん。でなかったら、■■さんはお客さんのとごに行って、うちのことも自分の会社のことも全部、こういうふうにやれって言われだと、という話をしてんだ。どうすんの?
(しばし相手の話を聞いている)
会社側:ま、これにしたって、うちと■■さんとそういう話で、3人が来たわけでしょ? で、うぢも今回は線量高い●●●から、●●●現場どして、自分の線量を個人として守んないとなんないがら、いま説明したがらね、本人たちに。自分の線量を守るのに、こういうふうにしてんだよって。でないと、俺らも、この世界で1年間、通してやっていくのは無理だがら。個人が自分の線量を守るしかねえんだ。
いや、それはさ、50ミリっていう決まりがあって、1年間に浴びる線量のね。それは個人の線量の目安なわげよ。50ミリ超えたらやっていげないからね、原発で。1年間だよ。そごはわがるよね。で、私らは、個人がもってる50ミリを守っていがなきゃなんねえわげよ、自分として。生活できなくなるがら。なくなっちゃうど、原発に入れないでしょう? それで、ね、自分の線量を守りたいんだけど、って本人たちに説明したわげ。
で、その話はわがってくれだんだけど、ただ、問題は、今回の契約は(12月)25日までって来てもらってっから、今帰っても生活できないよっていうごどなんだよね。でしょう? あの、■■さん、原発やったことある? でしょう? だから、知らない人は、いま■■さんが言ったように話しても別におかしくはねえよな。だけど、俺は、1年間通してこの商売やってるから、いまみたいな考えだど、1年間もたないんだ。よその原発には入れなくなっちゃうわげよ。そうそう、そういうごど。なぐしてしまったらもう、仕事できないの。生活できないんだよ、直結してっから。●●●。
それはね、わだしは無理にやれとはひとごども言ってないよ、本人たちに。だから、あくまでも理解した人はやってちょうだいって。でしょう? うん、それは仕方ないよね。だってみんなで一緒に動いでんだもん。同じ現場にいるんだから。うん、それはね、さっきも言ったように、個人の線量を守りだいから、そういうふうにしてるわげね。高いエリアの場所に行ぐには。
当然そんなに、やったらゼロ(ミリシーベルト)になるってわけじゃねえげどさ。多少なりとも下がるわげよ。俺らとしてみればその下がるっていうのが大切なわげ。1年間生活していぐのに。自分のごどだから。でしょう? 自分のごどだよね、俺が言ってる話は。
無理に●●●こと、やれとも言ってないし。だがら、来てもらった3人に関しては、2人は原発初めてだし、1人は経験してるみたいなんだけど、一緒の現場で動いでるがら、自分たちは自分たちのやり方でってやられるのも、俺らにしてみれば困るわげだよ。だから、無理にやんなくたっていいよっていう話は、本人たちには一番最初に話したんだ。で、やらないって言うがら、他にやらせるような仕事が現場にあればいいげどさ、みんな一緒になって動いてるがら、他にやらせるような仕事がないわげよ。そういうのがあれば、別に残すのはやぶさがじゃねんだけど。加工場かなんかでな、全然そういうの関係なくやらせられるものがあればいいんだけどさ、そんな現場じゃないがら。
それはいろんな現場があるでしょ。その現場、現場によってさ。うぢらの予定では、いまの現場ではね、12月の25日までにやってあがるっていうのがいまの現状なんだよ。わがってくれた? うん、だがら一番いいのは、■■さんで、地元に戻った3人が、ちゃんと生活できる現場を提供してやるのが一番いいんじゃないの? うん、はいよ、はいはい。(電話おわり)
作業員:別に●●●です。
会社側:11月のやつは、これは、待機っていうのは、現場に行ってないげど、手続き上の待機だから、こごはね、うぢの方では出すつもりで、今のところはお客さんと話してますよ。ただ、12月の2日、3日に関しては、これは休み扱いになる。だから●●●。それ以外に関しては■■さんと私の方で、待機は待機で書けっていう話をしましたので、それにのっとって、そういうふうに休みって書いであるのは出ないけど、休み以外に関しては給料は払うつもりで、そういう内容を書いて出してくださいって。
作業員:話をまとめさせてもらいますけど、たぶん3人違うんですよ。■■さんと■■さんは一人親方。僕は会社員。仕事がないから、福島の方に原発の仕事あるからということで、来させてもらいました。今言う補償問題ですけど、僕は基本的に、正直にやったもんに関しては賃金をもらいますけど、それ以外については請求するつもりは全くありません。僕は。当然会社に帰ったら、なんらかの仕事はあるんで、保障はされてるわけです。ないといっても。
でも■■さんたちは、もう完全に一人で、他の現場がない状態で来られてますんで、当然に補償という問題になりますよね、生活がかかってますから。ただ僕に関しては、最初から派遣されて来てますんで、やった分に関してはいただくんですけど、それ以外に関しては、請求するつもりもないし、そういう考えです。
会社側:まだ■■さんから電話がかかってこないから。まあ確かに、俺だって帰って仕事なかったら生活できないわけだから、そこはやっぱりね、はっきりしないとな。
作業員:ただ、帰ってあるかっていう保障はないですねけどね。●●●。あるかどうかわからない。ただ、このことは社長にこういうことでという報告は電話で●●●。わかりません。帰ってみないと。
会社側:なんで1Fに来たの? 地元の原発に仕事はなかったの?
作業員:いや、ないですよ。(録音終了)
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください