2012年08月02日
▽筆者:奥山俊宏
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この社員は、東京・西新宿にあるオリンパス本社で勤務する浜田正晴さん(51)。浜田さんはもともと、鉄鋼製品の傷を探知する特殊な非破壊検査装置(NDTシステム)を販売するための営業チームのチームリーダーだったが、2007年6月11日、企業倫理に反すると思われた上司の行動について、会社の「コンプライアンスヘルプライン」に電話し、コンプライアンス室長と会って、経緯を説明し、「顧客である取引先からの信頼失墜を招くことを防ぎたいと考えている」と相談した。ところが、浜田さんは同年10月1日付で畑違いの部署の部長付に異動させられ、さらに2010年1月からは品質保証部の部長付とされ、その年の10月1日からは同部のシステム品質グループでの勤務を命じられていた。
昨年8月31日の東京高裁判決は浜田さん側の主張を全面的に認め、3回の異動をすべて無効とし、システム品質グループでの勤務の義務のないことを確認した。高裁は判決理由の中で、異動について「浜田さんの内部通報等の行為に反感を抱いて、本来の業務上の必要性とは無関係にしたものであって、その動機において不当なもので、内部通報による不利益取扱を禁止したコンプライアンスヘルプライン運用規定にも反する」と指摘した。オリンパスはこの判決を不服として上告したが、最高裁第一小法廷は6月28日、上告を棄却する決定をした。
オリンパスの笹社長は8月1日夕、全社員が読むことができる社内の電子掲示板に「司法判断に対する当社の対応」と題するメッセージを掲載。訴訟の経過に触れた上で、「会社は、裁判所による司法判断を厳粛に受け止め、当時のコンプライアンス体制に甘さがあったことを素直に認め、反省
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