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オリンパス元副社長「覚悟を決めて同僚を欺いた」《初公判詳録》

奥山 俊宏

 損失を隠す粉飾決算で証券取引法違反などの罪に問われたオリンパスと同社の菊川剛・元社長ら3人の初公判が9月25日、東京地裁刑事第104号法廷で開かれ、被告の全員が起訴内容を認めた。1987年のブラックマンデーの際の株価下落で100億円の損失を抱えたものの、当時の下山敏郎社長が指示してこれを「飛ばし」で隠したという損失隠しの発端が下山氏の供述調書などで明らかにされた。さらに膨れあがった損失の隠蔽を引き継いだ後任の岸本正寿社長が「乗っている飛行機が墜ちればいいのに」と「現実逃避」の心境だったと供述したという調書が証拠に採用された。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽関連資料: 菊川元社長の意見陳述

  ▽関連資料: 検察官冒頭陳述要旨

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 ■森元副社長、白髪を染めて別人のように

裁判所に入るオリンパスの菊川剛・元社長(中央)と弁護士たち=9月25日午前9時52分、東京都千代田区霞が関で

 東京都千代田区霞が関にある東京高裁庁舎の1階にある104号法廷。傍聴席はほぼ埋まっている。傍聴席から向かって左側の弁護人席には13人の男がいる。右側には1人の女、2人の男がいて、いずれも検察官のバッジをつけている。法廷入り口脇の掲示によれば、星景子、林享男、望月健司の3検事だ。午前9時58分、傍聴席から見て正面のドアから3人の男が入ってきて、裁判官席の前に立つ。今崎幸彦裁判長、岡部豪裁判官、中山登裁判官。全員が起立し、礼をする。テレビカメラによる撮影がしばし行われる。

 午前10時1分、法廷の右脇のドアから、4人の男が入ってくる。オリンパスの現社長である笹宏行氏を先頭に、その前々任者である菊川剛・元社長、山田秀雄・元副社長(元常勤監査役)、森久志・元副社長が続く。4人はともにダークグレーのスーツとワイシャツに身を包んでいる。笹社長は白髪で、目をしょぼつかせている。濃い群青色のネクタイをつけており、葬式用の身なりのように見える。菊川氏は、紫色がかった暗い色に細かいドットが入ったネクタイをつけている。右手首に数珠を巻き付けている。黒髪だが、おでこの生え際は後退し、頭頂部の髪は薄い。山田氏は、水色の地に淡い色の細かい柄の入ったネクタイ。頭頂部を中心に髪が薄くなっている。菊川氏と山田氏は、損失隠し疑惑が騒動になって以降では初めて公の場に姿を見せたが、以前の風貌や雰囲気を今も維持しているように見える。ただ一人、森氏だけは、昨年の記者会見の際とは別人であるかのような風貌となっている。青地に柄の入ったネクタイをつけ、スーツのグレーの色もほかの3人に比べるとやや明るい。何よりも、頭髪がやや栗色がかった黒色に変わっている。以前は白髪だったのだから、染めたのだと思われるが、茶髪っぽい色調で、風貌の雰囲気を大きく変えている。額の上の髪の量がやや少なくなっているようにも感じられる。

 午前10時2分、裁判長が「被告人は前に立ってください」と促す。裁判官たちと真っ正面から向かい合う格好で4人が並び立つ。

 「被告法人オリンパス株式会社代表者ですね。名前は何と言いますか?」と裁判長が尋ねると、笹社長は「笹宏行です」と答える。「本店の住所を言うことができますか」と裁判長が尋ねると、笹社長は、登記上のオリンパスの本店所在地である渋谷区幡ケ谷の住所をそらんじる。

 次の人定に移る。裁判長が「菊川被告ですか」と尋ねる。菊川氏が「はい」と答える。「きくかわが正しいんですか」と裁判長が発音を確かめ

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