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独立取締役に要求される善管注意義務の水準

城之内 太志

独立役員の責任
 ~ 独立取締役に要求される善管注意義務の水準 ~

 

株主の権利弁護団
弁護士 城之内 太志

城之内 太志(じょうのうち・たいし)
弁護士。森・吉村法律事務所(大阪弁護士会)所属。
大阪大学法学部,大阪大学大学院高等司法研究科卒。2010年9月司法試験合格。2011年大阪弁護士会登録(司法修習新64期)。
大阪弁護士会医療委員会に所属。現在,株主の権利弁護団で活動中。

 第1 はじめに

 東京証券取引所をはじめとする全国の取引所は、平成22年3月より独立役員制度を導入した。独立役員とは、一般株主と利益相反を生じるおそれのない社外役員(社外取締役又は社外監査役)をいう。独立役員制度の導入により、上場会社は、上場規則に基づいて、1名以上の独立役員を確保することが義務づけられている(東証有価証券上場規程436条の2)。

 以下では、独立役員制度の概要とともに、独立役員に期待される役割、その役割から導かれる独立役員(特に独立取締役)の責任について論じていくこととする。

 第2 独立役員制度の概説

 1 独立役員制度の意義

 そもそも、なぜ独立役員制度というものが導入されることとなったのか。

 それは、一言でいえば「一般株主の利益への配慮」である。

 上場会社の企業活動は、持続的に収益を上げ、企業価値を高めることを主要な目的とし、一方、一般株主も企業価値が高まることによってリターンを受けることから、一般株主の利益と上場会社の利益は一致するのが通常である。

 しかし、社内取締役の個々人の私的な利益と一般株主の利益、上場会社の利益が一致しない場合があり得ることも軽視してはならない。そのとき、社内取締役は社長の指揮のもと業務を遂行するという立場におり、取締役会に一般株主の立場に立った客観的視点をとり入れるということは期待しがたい状況にある。日本企業の場合は、従業員から社内取締役に選任されるというケースがほとんどであり、取締役になった後も上司・部下の関係が継続されるため、元上司である社長の意向に逆らうことができないといったことも起こりうる。オリンパス事件において、不正経理を追及しようとした代表取締役マイケル・ウッドフォード氏の解任劇などは、まさに日本企業の閉鎖的な体質を表した悪例といえるであろう。

 そこで、社内取締役ではなく社外取締役に、客観的視点を取締役会に持ち込む役割が期待されているのである。しかし、会社法における社外取締役は、現在、会社またはその子会社の一定の立場(使用人等)にはなく、かつ過去に一定の立場にいなかった者と定義されるのみであり(会社法2条15号)、それ以外に特に要件を課されているわけではない。そうであるとすると、重要な取引先などから社外取締役を登用することも可能であり、そのような社外取締役は、一般株主の利益よりも自身の所属する団体の利益を優先することが予想されるため、社外取締役であるからといって、常に一般株主の視点に立って行動することを期待することはできない。

 上場会社の一般株主は、個々の持分比率が少ないことから会社に対する影響力は弱く、会社の経営における多様な利害関係者との利害調整において、その利益に対する配慮がどうしても劣後してしまう構造にある。

 そこで、東証をはじめとする全国の取引所は、上場規則において、社外役員のうち1名は一般株主と利益相反のないもの(独立役員)を選任することを義務づけ、当該独立役員を一般株主の利益を代弁する係として位置づけたのである。

 2 独立役員に期待される役割

 経営陣の利益と一般株主の利益が共通する場面であれば、独立役員の存在意義というものはそれほど意識することはないであろう。

 問題は、経営陣と一般株主との利害の相違が顕在化する場面である。そのようなとき、独立役員は株主(特に少数株主)の視点で意見を言い、独立取締役であれば決議、独立監査役であれば監査を行うことが期待されている。独立役員は、(1)業務執行に係る決定等が、その会社の事業目的の遂行及び企業価値の向上という視点からみて合理的なものか(2)業務執行に係る決定等を独立役員として適切に評価するために必要な情報があらかじめ十分に提供されているか(3)業務執行に係る決定等の目的、内容及び企業価値に与える影響が、正確、適切に開示されるよう工夫されているか、などといった視点をもって適切な判断を行う必要がある。

 3 独立役員の存在意義が増す具体的場面

 (1) 現経営陣によるMBOが行われる場面

 MBOの場面を想定してみる。

 MBO(Management Buyout)とは、現経営陣が参画する自社の買収をいう。一般的に、MBOは、[1]経営陣とファンドが一体となって買収目的会社(SPC)を設立し、TOBを実施する、[2]対象会社は、当該TOBに対して賛同意見を表明する、[3]そのうえで、株式交換や全部取得条項付株式を利用するなどして残存する一般株主を締め出す(スクイーズアウト)――という一連の流れをたどる。

 MBOにおいては、企業価値を向上させ株価を上げることに努めなければならないという取締役としての責務と、できる限り安価で株式を買い取りたいという買収者としての心理との間でジレンマが起こり、必然的に利益相反構造が生じる。

 このような場面において、独立役員(独立役員自身が買収に参加していないことを前提とする)は、一般株主の視点に立って行動することが要求される。

 独立役員は、買収に参画しない役員や専門家、有識者による特別委員会を組織するよう促したり、その特別委員会の中で、そもそも現経営陣が何故MBOを行う必要があるのか、TOB価格の算定根拠は合理的か、それらの情報が株主に十分開示されているかなどについて適切に調査・検討がなされるようにしたりする役割が期待されているのである。

 買収に参画しない社内取締役がいる場合、その者は一般株主と利益相反関係にないため、一般株主の利益を代表することが可能であり、独立役員の存在意義が薄れるのではないかとも思える。しかし、社内役員では、買収に参画する役員の意向に影響を受けることも考えられる。また、社外役員であっても、主要な取引先やメインバンクからの出向者である場合には、社内役員の場合と同様の危険が想定される。

 したがって、MBOの場面でも、独立役員は存在意義を有するのである。

 (2) 企業不祥事への対応の場面

 企業不祥事が発覚した場合、社内役員では、同僚に対して責任追及を行うことになり手心を加えた措置をとる可能性がある。他方で、全くの第三者だけに解決を委ねることは情報や専門知識、経験が不足し、これまた十分な対応ができない可能性がある。そこで、独立役員が社内役員と社外者の中間に位置する者として、不祥事の規模や性質等に即した適切な体制の構築をすることが期待されている。また、不祥事が発覚した後の対応だけでなく、不祥事の防止及び早期発見のための枠組みの整備・構築という役割も独立役員は担っているのである。

 例えば、カルテルの場面を想定してみよう。

 カルテルが発覚した場合、独立役員は、いち早くカルテルの実態を調査し、公正取引委員会にリーニエンシー(課徴金減免)を申請する手続をとるように社内役員に働きかけを行う必要がある。もっとも、リーニエンシー制度の利用は、会社が課徴金を減免される結果につながることから、会社の利益と株主の利益は一致するといえる。したがって、社内役員においてもリーニエンシー制度の利用については期待することができ、独立役員独自の存在意義を見出すことはできない。

 むしろ、この場合、独立役員の存在意義は、カルテルの予防や早期発見の場面にあると考える。

 すなわち、価格カルテルなどは、そもそも会社の利益を保持するためになされるものであり、会社役員の間では、「必要悪」であるとすら考えられている風潮がある。そうであるとすると、社内役員は、カルテルの予防や早期発見に努めるどころか、むしろ、積極的に関与もしくは黙認する可能性がある。

 また、社外取締役であっても、当該社外取締役が親会社から出向してきているような場合には、社内役員と同様の危険がある。親会社が子会社を手足として利用し、カルテルを形成することも考えられるためである。そのような場面では、社外役員は、社内役員のブレーキ役になるどころか、カルテルを加速させるアクセルの役割を果たしてしまうのである。

 そこで、独立役員は、その独立性を生かし、社内にはびこるカルテルを炙り出す役割を担っているのである。

 具体的には、独立役員は、当該会社の市場においてカルテルが形成されやすい土壌があるか否かを把握し、もしカルテルの危険があるようなら、カルテルの防止及び早期発見に努める必要がある。たとえば、価格変動や取引先との交渉状況等の情報が独立役員である自分のもとに集まるような体制を整備するよう提言したり、社内リーニエンシーを導入するように働きかけたりすることなどが考えられるであろう。

 4 小括

 以上のように、独立役員といっても、何も特別なことを要求されているわけではないのである。本来なら、社内取締役や独立役員ではない社外取締役でもできることなのである。

 しかし、近年の企業不祥事の増加や株主をおざなりにしたような取締役会決議の増加といった背景を受けて、従前の制度ではコーポレート・ガバナンスの実効性が不十分であったため、一般株主の代弁者としての独立役員という存在を作り出し、その者にガバナンスの一端を担わせることを期待せざるをえなくなったのである。

 第3 独立役員の責任

 1 独立役員に要求される注意義務の水準

 これまで独立役員の意義および役割を述べてきたが、ここからは独立役員の責任、特に独立取締役の責任について論じていくこととする。

 独立取締役は、一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役であり、一般株主の視点に立った行動をすることが期待されていることは既に述べたとおりであるが、会社に損害が生じ取締役の責任が問題となった場合に、独立取締役という地位にあることによって善管注意義務の内容・水準が変わりうるのであろうか。

 (1) 否定説

 現在は、独立取締役という地位にあるということで善管注意義務の水準があがったり、責任が加重されたりするわけではないという否定説が通説のようである。

 東証が編著者となっている「ハンドブック独立役員の実務」のQ&Aでも、独立役員は、一般株主の利益保護のために発言し、行動するという役割を期待されているが、会社法上の地位は、あくまで社外取締役又は社外監査役であるため、法律上の権限や責任は一般の社外取締役又は社外監査役と同じである、と解説されている。

 否定説は、[1]証券取引所と上場会社の契約によって社外役員の責任が加重されることはありえないということや[2]一般株主の利益のために独立して職務を行うことは、役員全員に妥当するものであり、特に独立役員の善管注意義務の水準が高くなるものではないという。

 (2) 肯定説

 一方で、肯定説は、役員の注意義務の水準は、その地位・状況にある者に通常期待される程度のものとされ、特に専門的能力を買われて取締役に選任された者については、期待される水準が高くなる(東京高判昭和58・4・28判時1081号130頁)のであるから、一般株主の利益に配慮することが期待されて選任された独立取締役は、他の取締役に比して注意義務の水準は高くなると考える。

 また、肯定説の中には、上場会社は、独立役員を設置することによって、優良会社として有利に資金を調達できる可能性があるという利益を享受できるのであるから、その裏返しとして、独立役員について一定の責任が認められるのでなければバランスを失するのではないか、という論者もいる。

 (3) 私見

 私見としては、基本的には肯定説が妥当であると考える。もっとも、常に独立役員の注意義務が加重されるのではなく、独立役員という属性によって責任が加重される場合もあり得るという限度で、肯定説に同調するものである。

 ア まず、否定説の中に、上場規則というソフト・ローによって役員の責任を加重することはありえないと述べる見解(上記[1])があるが、これは失当である。肯定説であっても、上場規則によって独立役員が新たに責任を課されるものと解するのではない。独立取締役に対して、新たに法的責任を課すのであれば、法律(ハード・ロー)によることが原則であるのは当然である。

 肯定説は、あくまで、会社法によって取締役に課された善管注意義務の内容を図る指標として、上場規則によって規定された存在であるという事実を参考にすることができるというだけである。ガイドラインの整備などによって取締役の注意義務の水準が変わりうる現状に照らしても、ハード・ローに根拠を有するか、それともソフト・ローに根拠を有するのみかということは、本議論とはあまり関係がないように思える(もっとも、ハード・ローに根拠を有していることが、取締役の善管注意義務の水準をより高めるということは十分ありうる。ここで私が述べているのは、ソフト・ローにしか根拠がないから注意義務の水準が上がらないという考え方は違うのではないか、ということである)。

 イ 次に、否定説のうち、一般株主の利益のために独立して職務を行うことは、役員全員に妥当するものであり、特に独立役員の善管注意義務の水準が高くなるものではないという見解(上記[2])は、相応に的を射たものであり、これを全て否定するということはできない。

 しかし、全ての場面において、独立役員とその他の役員との注意義務を同列に考えてよいものであろうか。独立役員が導入された経緯、期待される役割に鑑みれば、独立役員に高度の注意義務が要求される場面もあるのではないだろうか。

 取締役の注意義務の内容・水準は、その取締役が、いかなる役割を果たすことが社会や株主から期待されているのか、ということによって決まるものであると考える。蛇の目ミシン事件最高裁判決(最判平成18年4月10日民集60巻40号1273頁)でも、取締役の過失判断に当たって、取締役に期待されるべき行動について言及されている。

 独立役員は、一般株主の利益の代弁者であり、常に一般株主の視点に立った行動が要求され、ときには経営陣に対する歯止めの役割が期待されているのである。そうであるとすると、経営陣の利益と一般株主の利益とが相反すること場面(例えば、MBOの場面等)では、独立役員は、経営陣に対する高度の監視義務を負うと考えるのが自然ではないだろうか。

 ウ さらに付言すると、独立役員の責任について、他の取締役と異ならないと解すれば、独立役員制度の導入自体が無意味なものとなってしまう。

 否定説論者は、独立役員制度のガバナンス上の位置づけを、独立役員の責任を加重するという行為規制ではなく、独立役員の存在を開示し、一般株主がその独立取締役の存在及び独立性を見ることで、投資活動や議決権行使に影響を及ぼさせるという開示規制にあると考えるのである。この考え方によれば、独立役員の行動のインセンティブは、会社の株価や次回の株主総会で再選されることにあるということとなる。

 しかし、独立役員は社外役員であり、他の仕事も兼務していることがほとんどである。そのような立場にある者にとって、会社の株価や次期再選がインセンティブとして機能するとは到底思えない。

 やはり、独立役員の注意義務は加重され得ると解さなければ、制度自体が絵に描いた餅となってしまうであろう。

 2 肯定説への批判に対して

 (1) 独立役員確保の問題

 独立役員の責任を加重してしまうと、現実問題として独立役員のなり手がいなくなるという事態も予測される。

 しかし、社外役員である独立役員と会社は、責任限定契約を締結することができるので(会社法427条)、会社としては、責任限定契約を持ちかけることで独立役員の確保に努めるべきである。会社役員賠償責任保険の積極的な活用も、独立役員のリスクを軽減することにつながるであろう。

 また、独立役員の報酬を他の社外役員の報酬よりも高く設定することで、責任加重のリスクに対するケアをすることも考えられる。

 (2) 独立役員の権限と責任の関係

 独立役員の権限は、他の社外役員と異ならないにもかかわらず、責任だけ加重することはおかしいのではないかという批判が肯定説にはなされる。

 確かに、権限と責任は表裏一体のものであり、広い権限を有する者には、重い責任が課されるという関係にある。しかし、権限の範囲のみで注意義務の内容や水準が決せられるものではない。会社法上の権限が同じであったとしても、会社内で当該取締役に何が期待されているのか、若しくは、当該取締役が有している専門性も、注意義務の水準の決定要素となるはずである。

 取締役の善管注意義務は、一般に、平均人が当該取締役らの地位に就いた場合に、はたすべきことが期待される客観的な注意深さをもって、当該職務を遂行すべき義務であり、この注意を欠いた場合には抽象的過失があるものと評価されている。しかし、取締役の中に弁護士・公認会計士など職業的専門家がいる場合、上記のように平均人を基準として考えると、手抜き仕事をしても許されることになってしまい妥当ではない。やはり、職業的専門家として期待される内容に応じて、注意義務の水準も変化すると考えるべきである。この論理は、職業的専門家が取締役になっている場面だけに限定されない。

 法律上は同じ社外取締役であっても、その独立性を買われて独立取締役に選任された以上、その属性が責任の内容・程度に影響を及ぼすと考えることは、決して論理破綻しているとはいえないであろう。

 (3) 加重される責任の具体的内容

 肯定説は、独立取締役の責任が加重されるとはいうものの、具体的にどのような内容の注意義務が課されるのかということが不明確である、との批判に晒される。

 この点、独立取締役に限らず、取締役の注意義務の内容や程度というものはケース・バイ・ケースであり、裁判上も、それぞれの事案において個別具体的に判断されるものであるため、一般化することは非常に難しい。したがって、独立役員と他の役員との間で、具体的に注意義務の差がどのように表れるのかということも、実際には事例の集積を待つより仕方がないであろう。

 以下では、私見ではあるが、社外取締役と独立取締役の注意義務に差が表れる場面を想定してみる。

 現在、社外取締役の役割としては、社内取締役から提供される情報に基づいて、その合理性を判断するということに留まっており、その役割を適切にこなしていれば注意義務違反はないと判断される傾向にある。したがって、社内取締役から適切に情報が提供されない場合には、社外取締役は判断の基礎を欠くことになり、社外取締役の判断が誤ったものであったとしても、裁判上、特に責を負わないと判断されることが予想される(この判断の適否に関しては、ひとまず置いておく)。

 他方、独立取締役は、一般株主の代弁者としての役割を果たすため、社内取締役から情報を提供してもらうことで満足するのではなく、自らも積極的に情報収集に努める、もしくは、自分のもとに情報が集約するようなシステムを構築するように意見具申する、といった行動が要求されている。いわば、「待ち」の姿勢でよかった社外取締役を、「攻め」の姿勢へと転換させることが、独立取締役制度の肝であるといってもよい。

 そうであるとすると、社内取締役から十分な情報が社外取締役に提供されずに決議がなされたような場面では、社外取締役の善管注意義務違反は認められずとも、独立役員に対しては、監視義務違反もしくは内部統制システム構築義務違反が認められ得ると考えられる。

 このように、社外取締役の責任が否定される場面でも、独立役員であることによって責任が課される場面は想定できる。

 第4 まとめ

 以上のとおり、私は、独立役員の責任が加重される場面があると考える。

 独立役員の責任にスポットを当てた裁判例というものは未だなく、今後、そのような裁判が提起されるかどうか、注目されるところである。

 最後に、独立役員も含めた社外役員の今後の展望を述べて、本稿を終えたい。

 平成23年12月に出された「会社法制の見直しに関する中間試案」によれば、社外取締役・監査役の要件を見直すことも議論の対象となっている。もっとも、上記中間試案では、社外取締役および社外監査役の要件に、株式会社の重要な取引先の関係者でないものであることを追加するものとするかどうかについては、なお検討すると注記されるに留まっている。

 確かに、現在、上場規則上の制度である独立役員制度を、会社法上の制度に移行することは、多大な困難があることは間違いない。法律面では、要件を充足しない社外取締役が参加した取締役会決議の効力がどうなるのかといった問題が生じ、また、そのような社外取締役の確保が困難であるという現実的な問題もある。

 しかし、証券取引所が独立役員制度を導入したことや、上記会社法改正の議論を見ると、社外役員の権限をいかに強化するかということが課題となっていることは疑いようがない。社外役員の権限を強化するということは、社外取締役

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