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水漏れを疑いながら「満水」を報告 東電が福島第一原発1号機で

奥山 俊宏

 福島第一原発で事故が発生して間もない2011年3月13日未明、東京電力が、同原発1号機の原子炉圧力容器について、注入した水が溜まらずに漏れ出ている疑いが強いことを分かっていながら、「3時に満水となると考える」と政府に報告していたことがテレビ会議でのやりとりや資料の分析で分かった。これを受ける形で同日朝、政府の枝野幸男官房長官は「燃料は水で覆われている」との見方を記者会見で明らかにし、報道の一部では実際よりも1号機の事故を小さく見せる結果となった。

2011年3月13日午前零時54分ごろの東電テレビ会議=東京電力が2013年3月29日に公開したビデオ「本2-1」から

 福島第一原発は2011年3月11日に地震と津波に襲われ、1号機は、同原発で運転中だった3つの原子炉の中で真っ先に冷却不能に陥った。原子炉を冷やすために、翌12日から、原子炉に通じる配管に消防車のポンプで水を送り込み始めた。

 東電が同年4月以降になって公表した圧力の計測値によると、12日から13日未明にかけて、圧力容器の内部も、格納容器の内部も、大気圧の5倍前後の圧力で推移していた。東電の本店と福島第一原発が3月13日未明にテレビ会議システムを通じて話し合っている場面を録画したビデオによると、本店の社員はその中で、圧力容器と格納容器について「均圧(きんあつ)」と指摘し、その要因について「どっかでたぶんバイパスしている」と推測。福島第一原発の所員も「今、圧力容器と格納容器の水が流れるラインが形成されている可能性が高い」と述べた。

 海水注入を続けているにもかかわらず、水位計の値は、燃料棒の上端から1700ミリ低い位置でほとんど変わらなかった。このため、本店の原子炉安全技術グループの幹部は「マイナス1700の位置に何かリー

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