2013年07月03日
▽筆者:奥山俊宏
▽この記事は 2013年7月3日の朝日新聞夕刊に掲載された原稿に加筆したものです。
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専務だった高山修一氏の公判証言によれば、取締役たちの議論の中で「混乱を収拾するためには菊川さんに辞任していただかざるを得ない」という結論となり、同月26日、高山氏が後任社長に就いた。その際に損失隠しについて引き継ぎはなく、高山社長は記者会見で「不正はない」と述べた。11月1日に第三者委員会を設置し、疑惑に関する「徹底的な調査」を依頼したが、その時点で高山社長は「調べれば、おそらく『問題ない』という結論が出るだろう」と思っていたという。
社長は辞任したものの取締役として会社に残った菊川被告は週末の11月5日、財務担当の副社長だった森久志被告(56)、元副社長で常勤監査役だった山田秀雄被告(68)と東京都千代田区内幸町の帝国ホテルで落ち合った。3人は長年にわたって損失隠しを主導し、秘密を共有する間柄だった。世間や同僚を欺くことに苦しみ、山田被告は、オートバイに乗って民家の壁に突っ込み、自殺を図ったこともあった。
山田被告の法廷での供述によれば、山田被告は帝国ホテルで「もうこれ以上は隠し通すことは無理です」と菊川被告を説得したという。
菊川被告 「このまま開示しないでもうしばらく行けることはないだろうか。何とかならないだろうか?」
山田被告 「もうそれはこの期に及んで絶対できません。ほっとけば、ますます会社が混乱します。社会も混乱します。もうここまで来たら、きちんと皆様に公表してその真実で審判をあおぐべきです」
菊川被告はしばらく考え込
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