『アジア・新興国の会社法実務戦略Q&A』 2013年4月26日発行
編者:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
商事法務
アンダーソン・毛利・友常法律事務所が、商事法務より『アジア・新興国の会社法実務戦略Q&A』を出版した。
あらゆる分野でグローバル化が進む昨今、企業のグローバル化は大企業だけではなく「あまねく、中小企業も、個人の企業人ですらも直面している課題」だ。海外進出を計画する企業が、はじめに手にとって概要を理解するための「ファースト・リファレンス・ブック」として書かれた。
登場するのは中国、シンガポール、韓国などのアジアの国・地域をはじめ、経済成長の著しいブラジルやトルコ、ロシアなどの計13カ国。企業運営に関する法制度を、設立から撤退までを国別にQ&A形式で解説する。40名以上の弁護士が執筆にあたった。
各国の解説は19問のクエスチョンに沿って行われる。たとえば、「トルコの法制度はどのようになっていますか」という質問には「トルコはシビルロー(大陸法)国家です。イスラム教国ですが、憲法上政教分離が採用されており、トルコ法にイスラム法の側面は存在しません。」と説明が続く。
特徴的なのは、同じクエスチョンを用いて13カ国の会社設立、運営についての解説を行うところだ。クエスチョンは「法制度の概要に関するQ&A」「現地法人の設立など直接投資を行う場合のQ&A」「合弁会社運営に関するQ&A」「M&A、撤退、紛争に関するQ&A」の4つの部門に分かれる。文化的なバックグラウンドから各国独自の会社種別や企業設立要件など、実務に関係する多岐にわたった設問がされている。
どの解説を読んでも、難しい法律条文の羅列などは一切ない。法律に関する知識が少ない初心者でも、簡単に理解することができるだろう。同じ設問に対しても、国が違えば異なる問題点や注意点が解説される。立地する国によって企業運営の形態が多様であるということに気付く。
「アジア・新興国(地域)は、当然ながら、それぞれの文化、宗教、言語に裏付けられた異なる法制度を有して」いる状況で、「アジア・新興国進出の目的に最も合致し、かつ、リスクを最小限に低減できるような法務戦略を構築することは、チャレンジングであり、創造的でもあります。」と述べている。価格は4300円(税別)。
(大湊理沙)