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汚染水漏れ口遮断「具体的検討していなかった」幹部発言、広報部は全面否定

奥山 俊宏

 東京電力の今泉典之・原子力・立地本部長代理は今年7月26日の定例記者会見で、福島第一原発2号機のタービン建屋とその海側の坑道(トレンチ)の間の汚染水の通り道の遮断について、最近になって新たに検討を始めたと述べ、事故発生以降の過去の検討状況について「当時からここを閉塞する何か検討を続けていたかというと、ここについては具体的な検討はしてなかったと思います」と述べた。しかし、その後、朝日新聞の取材に対して東京電力の広報部は「推定で回答してしまった」として、これらの発言を否定した。坑道には、破損した原子炉から事故直後に流れ出た高濃度の汚染水がたまったまま放置されていた。

 この日の定例記者会見で、東電は「海側トレンチ調査の考え方について」と題する資料(http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130726_08-j.pdf)を配布し、その中で、福島第一原発2号機のタービン建屋の地下階の水位と地下の坑道の水位が最近もよく一致しているとして、双方の間の「連通性が大」とする調査結果を公表した。これについて、朝日新聞の記者と今泉本部長代理の間で以下のようなやりとりがあった。

 記者:朝日新聞の奥山と申します。きょう配布された、海側トレンチの調査に関する資料のことでちょっと教えていただきたいんですけども、6ページ目のタービン建屋との連通性の大、小の話なんですけれども、2号機については、トレンチとタービン建屋の間の連通性が大で、3号機については小だということなんですけれども、これは具体的にはどういう現象を見てそういう判断をされているのか。おそらく、それぞれの水位を見て、水位の変化の、どのくらいタイムラグがあるかというのを見ておっしゃっているのかなと思うんですけども、そのあたりをうかがいたいのと、そういうデータがあるんでしたら、例えば水位がリアルタイムで一致しているから大なんだ、とか。もうちょっと定量的な部分が分かればなと思うんですが。

 

拡大記者会見する東電原子力・立地本部の今泉本部長代理=2013年7月26日午後7時13分、東京・内幸町の東電本店3階で
 今泉本部長代理:はい、ちょっとお待ちください。
 まず、連通性のお話ですが、これは定量的なデータというのはございませんけれども、一応、タービン建屋の水位、それと、トレンチ内の水位、こういったものを勘案して、連通性というのがどれくらいあるかということを、定性的になりますけれども、それが程度が大きいのか小さいのかという判断をしていくということになるかと思います。

 

 記者:たとえば、雨が降るとトレンチの水位が上がって、それにつられてタービン建屋側の水位も上がってくるという、その水位が、ほぼ、あるところにくると一定、同じ水位になるんで、連通性があると。そういう理解でいいんでしょうか。

 

 今泉本部長代理:ええ。実際に雨、そうですね、雨かもしれませんが、地下水がだいたい1日400トンくらい流れ込んできてますけれども、そういったものでタービン建屋の水位は形成されているわけですが、そこの水位と、仮にトレンチから水がどんどん外に出ているということになれば、若干の水位の変動というのが出てまいりますので、そういったものを見ていくということだと思います。

 

 記者:トレンチの水位というのは、トレンチについては、グラウトで埋めてる、充塡しているというお話があったんですが、なにか、水位が測れるような場所とか何かそういうのがあるんでしょうか。

 

 今泉本部長代理:実際に4ページのほうの資料をご覧いただきますと、立坑のAですね。これタービン・トレンチとの連通性ということですので、立坑のAというところ、こちらはグラウト注入はしていません。ですので、ここの部分で水位が取れるということでござます。

 

 記者タービン建屋とトレンチとの間の遮断についての話が、先日の記者会見で「今後していく」というお話ありましたけれども、これは、今まで、していなかったということなんでしょうか

 

 今泉本部長代理:実際にここは遮断してきておりません

 

 記者:2011年3月の下旬にここ、トレンチに汚水があると分かって、その間がツーツーになってるんじゃないかというお話が当時ありましたけれども、そこを遮断するということは当時、その後検討はされたりはしていなかったんでしょうか

 

 今泉本部長代理:実際にこちらタービン建屋とつながっている部分ですので、ここを実際に、たとえば埋めていくということは技術的にも非常に難しい問題でございました。で、実際に、この立坑自身、そういう意味で、タービン建屋にある汚染水が実際の先っぽのほうのこういった主トレンチ、あるいは枝トレンチのほうに流れないようにするために、立坑B、海側のほうですけれど、こちらのほうのグラウト注入、こういったことで判断しています。
 で、やはり立坑Aのところの閉塞というのは、非常にタービン建屋側に穴が開いているということで、ここは難しい問題だと思っています。当時からここを閉塞する何か検討をずっと続けていたかといいますと、ここについては具体的な検討というのはしてなかったと思います。それは実際に立坑Bのところで詰めるということ、それと、この実際にトレンチがどういうふうになっているかというのはありますけども、ここのトレンチ自体が耐震クラスが非常に高いということもあって、実際にこの根元ではなくて、この立坑Bのところで、グラウトを入れて止めるという、そういう選択をしています。

 

 記者:その選択はいつされたんでしょうか? 2011年夏ということですか?

 

 今泉本部長代理:震災後、時期、私も、いつからというのは言えませんけども、震災の後、この2号機のスクリーニングポンプ室で汚染水が出たその直後ですので、たしか、えっーと、正確ではありませんけども、5月とか6月とか。それ以降ということになると思います。

 

 今泉本部長代理の「

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筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2022年から上智大学教授(文学部新聞学科)。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。近刊の著書に『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(朝日新聞出版、2022年4月)。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。 「後世に引き継ぐべき著名・重要な訴訟記録が多数廃棄されていた実態とその是正の必要性を明らかにした一連の報道」でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞を受賞。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)、『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
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※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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