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医療ミスを繰り返すリピーター医師、免許取り消されず

出河 雅彦

 いまからちょうど10年前の2003年12月、坂口力・厚生労働大臣が「医療事故対策緊急アピール」を出した。「医療事故の頻発は医療本来の役割に対する国民の期待や信頼を大きく傷つけるもの。最近の状況を考えると、このような状況が続けば国民の医療に対する信頼が大きく揺らぎ、取り返しのつかぬ事態に陥るのではないかと危惧する」。大学病院などで深刻な医療事故が相次ぐ中で出された異例の大臣談話は、当時の緊迫した状況をいまに伝えている。
 それから10年、医療機関における医療安全の取り組みは格段に進んだようにみえる。医療事故に関する報道もかつてに比べ極端に減っている。
 しかし、事故そのものがなくなったわけではない。過去に起きた事故の教訓が生かされず、同種の事故が時と場所を変えて起きる場合もある。医師の基本的知識の欠如を原因とする医療事故や、金儲け優先の病院経営を背景にした悪質な医療事件も発生し、医療者の教育研修のあり方や「医の倫理」が問われている。
 この連載では、過去数年間に明るみに出た重大な医療事故を中心に検証し、医療事故を減らすために何が必要かを考えてみたい。
 連載第1回の本稿では、医療ミスを繰り返すリピーター医師が軽い処分しか受けず、医師免許を保持し続ける理由を探る。  

■3年間に4件の事故

 2011年9月29日、厚生労働省は医師31人と歯科医師18人に対する行政処分の内容を発表した。免許取り消しが2人、1カ月~3年の業務停止が40人、戒告が7人だった。

 戒告処分を受けた医師、歯科医師の中に、三重県四日市市で産婦人科診療所を営んできた塩

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筆者

出河 雅彦

出河 雅彦(いでがわ・まさひこ) 

 1960年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。産経新聞社を経て、1992年、朝日新聞社入社。社会部、科学医療部などで医療、介護問題を担当。2002~2013年、編集委員。2013~2016年、青森総局長。医療事故や薬害エイズ事件のほか、有料老人ホームや臨床試験について取材。2021年4月からフリーランス。
 著書に『ルポ 医療事故』(朝日新聞出版、「科学ジャーナリスト賞2009」受賞)、『混合診療』(医薬経済社)、『ルポ 医療犯罪』(朝日新聞出版)、ルポライター鎌田慧氏の聞き書き『声なき人々の戦後史』(藤原書店、第16回「パピルス賞」受賞)。橳島次郎氏との共著に『移植医療』(岩波書店)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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