2014年04月14日
▽聞き手・構成: 奥山俊宏
▽この記事は2014年3月29日の朝日新聞オピニオン面に掲載された原稿に加筆して再構成したものです。
「原子力のエンジニアにとって、放射能が環境に大量に放出されてしまうような炉心溶融事故は、100万年に1回以下の発生頻度となるように対策を取るべきであることは常識となっております。津波を考える上でも、当然『100万年に1回の津波ってどんなものだろう』と考えるべきであったわけです。ところが……」
東電は1966年に福島第一原発1号機の設置許可を佐藤栄作首相に申請した。その際、1960年のチリ地震の際に福島県いわき市の小名浜港で観測された潮位3.12メートルを「最高潮位」として設計条件とした。「100万年に1回」ではなく、わずか6年前の津波だった。国の審査でもそれが認められた。
「提出した方も提出した方だと思いますが、よくこの申請が通ったなと今でも恥ずかしくなってしまいます。当時としては、それが技術の知見の最善だったのかもしれません。そうはいっても、そういう想定の甘さがあって全電源喪失になったのが問題だと思っています」
昨年10月から今年2月にかけて複数回、姉川さんにインタビューし
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