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千葉県がんセンター「内部通報の報復として医師の業務外す」二審も県が敗訴

奥山 俊宏

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)で無資格者が患者に麻酔をしているとの問題をセンター長に内部通報したところ、担当の業務を外されて退職に追い込まれたとして、麻酔科医の志村福子さん(42)が同県を相手取って起こしていた国家賠償請求訴訟で、東京高裁第23民事部(鈴木健太裁判長)は5月21日、慰謝料30万円を支払うよう県に命ずる判決を言い渡した。判決は、志村さんの内部通報について「手術管理部に生じている深刻な問題をセンター長に上申するものであった」と指摘し、そのため、内部通報の後、「手術管理部長は、これを不都合ないし敵対的な行為と受け止め、これに対する報復として、原告に不利益を及ぼす意図の下に、原告を一切の手術麻酔の担当から外した」と判断した。

▽筆者:奥山俊宏

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千葉県がんセンター
 判決によると、志村さんは麻酔科の医師として、2007年から千葉県がんセンターに非常勤で働き始め、2010年4月に正規職員となった。2010年当時、同センターでは、歯科医師が歯科外来ではなく、「医科麻酔科研修」の位置づけで麻酔科に勤務していた。

 歯科医師の医科麻酔科研修に関する厚生労働省のガイドラインでは、歯科医師が研修の目的で麻酔行為に参加する場合は患者の同意を得なければならないと医師に義務づけていたが、同センターの麻酔科が患者に渡す書面には「歯科医師が研修目的で手術麻酔を担当している」との記載はなかった。2010年6月24日には、歯科医師による研修の際、一時的に患者の呼吸状態を確認することができず、患者が低酸素状態になったと疑われるような出来事もあった。

 判決によれば、2010年7月上旬、志村さんは、手術管理部長を通さずに、センター長に直接、研修が厚生労働省のガイドラインに違反していると上申した。6月24日に事故があったこと、歯科医師が単独で麻酔を行っていること、歯科医師が研修として麻酔を行うことについて患者の明確な同意を得ていないことなどを指摘した。

 それまで志村さんは、手術管理部長が作成した手術室予定表に従って、月に12~21件の手術麻酔を担当していた。しかし、8月9日以降、手術麻酔の担当を割り当てられなくなった。8月16日ごろには、手術管理部長から、術前診療を担当しなくてもよいと言われた。このため、志村さんは8月31日、センター長に退職届を出し、9月30日に県を退職した。

 歯科医師による手術麻酔の実施については、のちの2011年2月18日、千葉県警が

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