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特ダネ記者は検察取材の最前線でどう生まれ育ったか

(11)加藤誠備事件、沈没船疑惑

村山 治

 ロッキード事件、リクルート事件など戦後日本を画する大事件を摘発し、「特捜検察のエース」と呼ばれた吉永祐介元検事総長が亡くなって1年が経った。それを機に、吉永さんを長く取材してきた元NHK記者の小俣一平さん(62)と元朝日新聞記者の松本正さん(68)に、吉永さんと特捜検察、さらに検察報道の今と昔、それらの裏の裏を語ってもらった。ロッキード事件の裁判の一審で田中角栄元首相に有罪判決が下され、さらに元首相が病に倒れて政界での影響力を失ったことで検察はロッキード公判の勝利を確信し、再び政界不正の捜査に目を向ける。第11回の本稿では、1980年代の特捜事件について検察取材の現場体験をまじえて振り返る。

●鼎談のきっかけ

村山 治(むらやま・おさむ)
 朝日新聞記者。
 徳島県出身。1973年、早稲田大学政経学部卒業、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部を経て91年、朝日新聞社入社。著書に「特捜検察vs.金融権力」(朝日新聞社)、「市場検察」(文藝春秋)、「小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争」(朝日新聞出版)、「検察: 破綻した捜査モデル」(新潮新書) 。
 村山:ここで、この鼎談を行うことになった経緯を話しておきましょう。吉永さんが2013年6月23日に亡くなられたのを機に、私が、小俣さんに、吉永さんといまの検察について語り、記録に残しておきませんか、と対談をお願いしたのがきっかけでした。
 松本さんが、吉永さんについて語りたい意向があると聞いたのは、数回、対談を収録した後でした。願ったりかなったりでした。80年代、90年代の朝日新聞の検察報道、というより日本の検察報道を語るうえで、
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