メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

シャルレ代表訴訟、株主と元社長の双方が控訴 神戸地裁判決全文

奥山 俊宏

 女性下着販売のシャルレ(神戸市)のMBO(経営者による自社の買収)が不成立となったことで会社が被った損害1億9706万円を会社に賠償するよう元社長2人に命じた株主代表訴訟の一審・神戸地裁判決に対し、原告・株主と被告の元社長2人の双方が控訴を申し立てた。注目の株主代表訴訟は舞台を大阪高裁に移して継続することになる。

▽関連記事: シャルレに関連する記事

▽関連資料:    シャルレ株主代表訴訟一審判決全文  「ご購読済みの方のみダウンロードできます」 

 

 判決は10月16日に神戸地裁第5民事部(伊良原恵吾裁判長)で言い渡された。シャルレの創業者の一人である元社長とその息子の元社長に賠償を命じた。社外取締役3人とMBOの担当執行役も被告となっていたが、判決はいずれについても請求を棄却した。元社長2人は10月20日に、原告の株主は24日にそれぞれ控訴した。

 会社の取締役が自社の株式を買収しようとするMBOについて、判決は、

 本来は企業価値の向上を通じて株主の利益を代表すべき取締役が、対象会社の株式を取得する買付者側に立つこととなり、その結果、できる限り低い対価で株式を取得したいと考える買い手(経営者及び投資家)とできる限り高い価格での買い取りを求める売り手(既存株主)との間には、必然的に利益相反関係が生じ得るだけでなく、これに情報の非対称性という構造的な問題も加わる。

と指摘(判決47頁)。これを前提に、判決は、そうしたMBOの際の取締役の義務として、

 自己又は第三者の利益を図るため、その職務上の地位を利用してMBOを計画、実行したり、あるいは著しく合理性に欠けるMBOを実行しないとの義務(MBOの合理性確保義務)

だけでなく、

 「公開買付価格それ自体の公正さ」はもとより、「その決定プロセスにおいても、利益相反的な地位を利用して情報量等を操作し、不当な利益を享受しているのではないかとの強い疑念を株主に抱かせぬよう、その価格決定手続の公正さの確保に配慮すべき」義務(MBOの手続的公正さの確保に対する配慮義務)

もあるとの解釈を示した(判決48頁)。

 その上で、判決は

・・・ログインして読む
(残り:約1244文字/本文:約2145文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2022年から上智大学教授(文学部新聞学科)。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。近刊の著書に『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(朝日新聞出版、2022年4月)。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。 「後世に引き継ぐべき著名・重要な訴訟記録が多数廃棄されていた実態とその是正の必要性を明らかにした一連の報道」でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞を受賞。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)、『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
 ツイッターはhttps://twitter.com/okuyamatoshi
 ご連絡はokuyamatoshihiro@gmail.com または okuyama-t@protonmail.comに。メールの内容を暗号化する場合はPGPで。パブリックキーのIDは7D2BAD43550EAD96

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

奥山 俊宏の記事

もっと見る