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特捜部など検察と司法記者クラブの記者たちの関係の真実

(17)記者と検察

村山 治

ロッキード事件、リクルート事件など戦後日本を画する大事件を摘発し、「特捜検察のエース」と呼ばれた吉永祐介元検事総長が亡くなって1年が経った。それを機に、吉永さんを長く取材してきた元NHK記者の小俣一平さんと元朝日新聞記者の松本正さんに、吉永さんと特捜検察、さらに検察報道の今と昔、それらの裏の裏を語ってもらった。検察が政界事件を摘発し、それが大きく報道されると政界側からほぼ必ず「検察リーク批判」が起きる。その批判のベースにあるのは、検察と記者の関係が外部からよく見えないことがある。第17回の本稿では、検察と記者クラブの関係について現場体験をまじえて振り返る。

●検察と記者クラブ

松本 正(まつもと・ただし)
 中央大学総合政策学部特任教授。
 1970年、中央大学法学部卒。朝日新聞の東京社会部で司法クラブキャップ、次長、編集委員、部長代理、部長。その後、広報宣伝本部長、編集局長、ジャーナリスト学校長を歴任。
 松本:検察取材の拠点となる司法記者クラブについて、簡単に説明しておきましょう。
 司法記者クラブは、全国の裁判所にありますが、記者が常時、詰めているクラブは、東京、大阪、名古屋、福岡ぐらいでしょうか。中心は何といっても、東京です。
 東京で検察をカバーする司法記者クラブは、東京・霞が関の裁判所合同庁舎の2階にあり、新聞と通信社、NHK、民放など15社前後が常駐しています。仕切りに囲まれた6畳間ほどの空間に、多いところではキャップ以下10人前後の記者が配属されています。彼らは検察庁と裁判所、法務省、日弁連などをカバーします。その中で、夜討ち朝駆け取材が日常化している検察は若手記者が担当することが多く、1社で1~4人ほどの記者があてられています。

小俣 一平(おまた・いっぺい)
 東京都市大学メディア情報学部教授。
 1952年2月、大分県杵築市生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程修了(博士・公共経営)。NHK鹿児島放送局、社会部で記者、司法キャップ、NHKスペシャル・エグゼクティブプロデューサーを歴任。出版社「弓立社(ゆだちしゃ)」代表。坂上遼の筆名で探訪記者。著書に『新聞・テレビは信頼を取り戻せるか』『消えた警官』『ロッキード秘録』『無念は力』など。
 小俣:フリーの記者に誤解されがちなのですが、記者クラブというのは、
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