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共謀共同正犯理論の「成熟」で検事総長が組トップ逮捕を決断

村山 治

 たかだか500人規模の暴力団工藤会に対し、警察、検察が2014年9月以来、総力を上げて「頂上」作戦を続けている。その成果を検証し、今後の課題を連載で探る。第2回の本稿では、暴力団側に対する捜査当局の反攻のきっかけとなった漁協組合長兄弟殺人事件の捜査を見ていく。

■公共事業の利権をめぐって殺人

拡大梶原国弘さんの像=北九州市若松区
 上野忠義・北九州市漁協組合長が殺されるより15年前の1998年2月、上野組合長の実兄の梶原国弘・元脇之浦漁業協同組合(現北九州市漁協)組合長が、工藤会の前身である工藤連合草野一家系組幹部に殺害された。

 関係者によると、梶原、上野の両氏は、かつては北九州市の漁協の有力者で、1970年代から港湾開発の行方を左右する漁業補償交渉に強い影響力を発揮していたという。特に、1982年から14年がかりで4300億円の国費をつぎ込み完成した北九州市沖の「白島石油備蓄基地」の建設では、砂利など建設資材の納入利権などを取り仕切ったと業界関係者は指摘している。

 捜査当局関係者によると、

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筆者

村山 治

村山 治(むらやま・おさむ) 

 徳島県出身。1973年、早稲田大学政経学部卒業後、毎日新聞社入社。大阪、東京社会部を経て91年、朝日新聞社入社。2017年11月、フリーランスに。この間、一貫して記者。
 金丸脱税事件(1993年)、ゼネコン事件(93、94年)、大蔵汚職事件(98年)、日本歯科医師連盟の政治献金事件(2004年)などバブル崩壊以降の政界事件、大型経済事件の報道にかかわった。
 著書に「工藤會事件」(新潮社)、「安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル」(文藝春秋)、「市場検察」(同)、「特捜検察vs.金融権力」(朝日新聞社)、「小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争」(朝日新聞出版)、「検察: 破綻した捜査モデル」(新潮新書) 。共著に「ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか」(朝日新書)、「田中角栄を逮捕した男 吉永祐介と 特捜検察『栄光』の裏側」(朝日新聞出版)、「バブル経済事件の深層」(岩波新書)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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