2016年03月30日
報告書はまず「第1.民間事業者の取組の促進」として、組織の不正を見聞きした現場社員の声を社内で吸い上げて企業統治に生かす「内部通報制度」を取り上げて、その現状を分析した上で、その整備と充実に関する規定の新設など「法制度上の手当て」を検討するべきだと結論づけた(注3)。
内部通報制度は、職場の部下から上司へという「通常の報告ルート」とは別に、2001年ごろから「企業倫理ホットライン」「コンプライアンスヘルプライン」などの名称で大企業を中心に導入されるようになった。2004年制定の公益通報者保護法はこうした動きを後押しし、現在は、大企業の大半(注4)、中央省庁や都道府県のすべて(注5)が内部通報制度を導入している。
しかし、現行の公益通報者保護法には内部通報制度に関する規定がない。また、制度があっても形ばかりとなっていた事例が、オリンパス、東洋ゴム工業、東芝などで相次いで発覚した。
オリンパスでは、内部通報制度を利用した社員を営業職から外して畑違いの部署に左遷し、最高裁でその非を指摘する判決が2012年に確定した後も、是正しなかった。東洋ゴム社内では、内部通報を生かすどころか、逆に、内部通報によって偽装が公になる「リスク」を想定し、「通報者の想定リストを作成し、『事前説明』を行うこと」を検討した(注6)。東芝の不正会計については、内部告発が
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