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国の行政機関の公益通報ガイドラインを改正、消費者庁が各省庁をチェック

奥山 俊宏

 国の行政機関が組織の不正の内部告発を受け付けて対応する際のガイドラインが21日、改正された。同日、各省庁が申し合わせ、消費者庁から発表された。実名の通報だけでなく匿名の通報への対応を各省庁に促すなど、より積極的に内部告発を生かそうという姿勢を打ち出している。個別の通報対応について消費者庁が他の省庁に資料の提出や説明を求めてチェックする仕組みも盛り込んだ。

■制定から12年、改正への経緯

消費者庁の有識者検討会の第12回会合=昨年10月12日、東京・霞が関で
 改正されたのは、内部の職員らからの通報への対応を示したガイドラインと、外部の労働者らからの通報への対応を示したガイドラインの二つ。公益通報者保護法が2006年に施行されるのを前に2005年に関係省庁が申し合わせて制定。各省庁はガイドラインに基づき、それぞれ独自の内部規定を作って運用していた。

 ところが、施行されて10年たつなかで、内部告発を放置したり、不当に告発者を門前払いしたり、告発者の氏名を告発された側に不用意に漏らしたりするなどの不祥事が続発。このため、2014年にガイドラインは改正された。しかし、消費者庁の有識者検討会で、さらなるガイドライン改正や法改正を求める意見が出て、昨年暮れに報告書がとりまとめられた。今回の改正はその提言を受けて行われ、前回2014年を上回る抜本改正となった。

 21日午前、消費者庁次長を議長とする「公益通報関係省庁会議」が開かれて改正を決め、同日午後、その内容が公表された。今後、新しいガイドラインに沿って各省庁がそれぞれの内部規定を新年度の上期までに改める。なお、民間事業者向けに内部通報への対応を示したガイドラインが別にあり、そちらは昨年12月に抜本的に改正されている。

 ■二つのガイドライン改正の共通点

 新しい二つのガイドラインは、各省庁に対して、▽「通報対応に必要な適性及び能力を有する担当者」を配置し、その教育、研修などを十分に行う、▽正当な理由なく通報の受付を拒んではならないことを明確化する、▽通報への対応に関与する職員が通報案件に関係するなどの利益相反関係がないか確認する、▽匿名による通報についても、可能な限り、実名による通報と同様に取り扱うよう努める、▽通報受付件数や通報事案の概要など運用状況を定期的に公表する――などの対応を求めている。

 また、消費者庁が「個別の通報事案に対する適切な対応を確保するために必要がある」と認めるときは、各省庁に対して、資料の提出、説明など「必要な協力」を求めることができるとの仕組みがガイドラインに盛り込まれた。消費者庁設置法5条に「長官は、消費者庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる」との規定があり、これを確認する形で定められた。

 「十分な対応をしてくれない」との苦情が消費者庁の相談ダイヤルに寄せられることがこれまでもあり、消費者庁は今後、「従来よりしっかりとした協力要請」を他の行政機関に行うつもりだという。また、消費者庁によるモニタリングがなされることで、省庁が通報にずさんな対応をするのを抑止する狙いもある。

 昨年12月にとりまとめられた消費者庁の有識者検討会の最終報告書は、行政機関の通報への対応をより良くするため、「消費者庁がより司令塔的な機能を発揮していく必要がある」と提言。消費者庁に「一元窓口」を設けて、各行政機関の通報への対応をモニタリングし、場合によっては調査の上で他の行政機関に改善要請をできるようにするとの方向性を示している。「一元窓口」設置のためには公益通報者保護法そのものを改正する必要があり、時間がかかるため、とりあえず、今回のガイドライン改正で、法改正がなくても可能な「モニタリング」を先取りして制度化した格好だ。

■外部の労働者からの通報への対応

 外部の労働者からの通報への対応のガイドラインでは、このほか、秘密保持を徹底するため、通報者の氏名や所属などの個人情報だけでなく、「調査が通報を端緒としたものであること」や「通報者らしか知り得

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