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オリンパス元社長らに588億円支払い命令、東京地裁判決

奥山 俊宏

 オリンパスが1千億円を超える損失を隠して罰金7億円を科された事件をめぐって、同社と奈良県在住の同社株主が菊川剛・元社長ら18人を相手取って897億円余の支払いを求めた訴訟で、東京地裁民事8部(大竹昭彦裁判長)は27日、総額で587億8596万8936円を会社に支払うよう菊川氏ら8人(うち3人は下山敏郎・元オリンパス社長の相続人)に命ずる判決を言い渡した。株主代表訴訟で支払いが命じれらた金額としては、大和銀行株主代表訴訟の判決に次ぐ大きさだとみられる。

 ■103号法廷

拡大オリンパスの本社が入る東京・西新宿のビル
 東京・霞が関の裁判所庁舎1階にある103号法廷に、27日午後4時44分、大竹裁判長ら3人の裁判官が入ってくる。

 原告側の席には弁護士12人、被告側の席には弁護士8人が陣取って、互いに向き合っている。傍聴席にも、所定の席に座りきれなかった弁護士の姿が見える。傍聴席の最前列には、オリンパス社長として菊川元社長らの不正を内部告発したマイケル・ウッドフォード氏の親友、ミラー和空氏が座っている。

 テレビ局の撮影取材が終わると、午後4時46分、大竹裁判長は「これから主文の読み上げをしますが、松丸正さんを株主原告と言い……」と、まず当事者の呼称について説明する。その前置きが終わると、とたんに大竹裁判長は語気を強める。

 「1 被告菊川、被告山田、被告森及び被告中塚は、会社原告に対し、連帯して、1000万円、及びこれに対する……」

 傍聴席にいる記者は「1千万円という金額は、さて?」と一瞬不思議に感じ、すぐに「ああ、ウッドフォード社長を解任したことの賠償責任が認められているんだ」と思う。

 大竹裁判長は、叩きつけるような強い口調で「金員を支払え」と読み上げる。怒っているようにも聞こえる早口だ。

 「被告菊川、被告山田及び被告森は、会社原告に対し、連帯して、546億8385万7848円、及び内金10億円に対する、被告菊川については平成24年2月2日から……」

 予想されていたこととはいえ、とても大きな金額が裁判長の口から叩き出されてくる。

 大和銀行ニューヨーク支店で1100億円の損失が隠蔽された事件で、大阪地裁は2000年9月20日午前、同行の現旧役員11人に総額7億7500万ドル(判決当時の為替レートで約830億円)の賠償を命じる判決を言い渡した。記者はその法廷にいて、巨額のドルの読み上げを聞いた。菊川氏らに命じられている五百数十億円というのはおそらく、個人に対する裁判所の支払い命令としては、大和銀行元役員らに次ぐ大きさの金額だろう。

 午後5時53分、主文の言い渡しが終わる。大竹裁判長は、判決理由の朗読を省略すると告げ、法廷を出ていく。

 残った書記官が、判決書と判決要旨を各当事者の弁護士に手渡す。

 ■違法配当の責任

 判決理由によると、オリンパスは

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筆者

奥山 俊宏

奥山 俊宏(おくやま・としひろ) 

 1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、東京社会部、大阪社会部、特別報道部などで記者。2013年から朝日新聞編集委員。2022年から上智大学教授(文学部新聞学科)。『法と経済のジャーナル Asahi Judiciary』の編集も担当。近刊の著書に『内部告発のケーススタディから読み解く組織の現実 改正公益通報者保護法で何が変わるのか』(朝日新聞出版、2022年4月)。
 著書『秘密解除 ロッキード事件  田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店、2016年7月)で第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。 「後世に引き継ぐべき著名・重要な訴訟記録が多数廃棄されていた実態とその是正の必要性を明らかにした一連の報道」でPEPジャーナリズム大賞2021特別賞を受賞。
 そのほかの著書として『パラダイス文書 連鎖する内部告発、パナマ文書を経て「調査報道」がいま暴く』(朝日新聞出版、2017年11月)、『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書、2011年6月)、『内部告発の力 公益通報者保護法は何を守るのか』(現代人文社、2004年4月)がある。共著に『バブル経済事件の深層』(岩波新書、2019年4月)、『現代アメリカ政治とメディア』(東洋経済新報社、2019年4月)、 『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、2012年12月)、『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』(同、2008年9月)、『偽装請負』(朝日新書、2007年5月)など。
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※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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