2018年05月03日
元検事総長の笠間治雄氏が5月8日に瑞宝大綬章を受章することになった。検察はこの10数年で2度の大きな不祥事を起こしており、その責任をとって歴代の検事総長の叙勲辞退が相次いできた。検事総長経験者が生前に叙勲を受けるのは2007年5月の北島敬介氏以来11年ぶりのことになる。
●勲章とは
勲章には、顕著な功績を挙げた人に授けられる旭日章と長年公務に従事し成績を挙げた公務員に授けられる瑞宝章がある。受章者は、各省庁が内閣総理大臣に推薦し、内閣府賞勲局の審査を経て閣議で決定される。元公務員は70歳を過ぎると対象になり、反則金に処せられる交通違反や罪を犯した人は対象外となる。
勲章は、総理大臣や衆参の議長、最高裁長官らが対象になる大勲位菊花章(頸飾、大綬章)、桐花大綬章のほか、旭日章と瑞宝章で、それぞれ大綬章、重光章、中綬章、小綬章、双光章、単光章の順にランク付けされている。
公務員の場合、勲章のランクは、公務員の最終ポストによって決まり、歴代の検事総長は公務員のランクでは4番目にあたる瑞宝大綬章を受けてきた。検事長や大地検の検事正は5番目の瑞宝重光章を受章してきた。大綬章受章者は、宮中で天皇から勲章を手渡される。
●辞退の理由はいずれも検察不祥事がらみ
原田氏は、02年に大阪地検が詐欺や収賄の容疑で逮捕し、その後有罪が確定し服役した三井環・大阪高検公安部長(当時)の事件で監督責任を問われ、戦後初めて検事総長として戒告処分を受けた。
この事件の背景には、検察の調査活動費(調活費)の乱用問題があった。三井氏はテレビに出演し、実名で調活費の乱用を内部告発しようとした直前に逮捕された。検察が捜査権力を使って三井氏の口を封じようとした、と多くの国民が受け取った。
検察が調活費を乱用していたのは、検察関係者の間では周知の事実だったが、原田氏ら検察首脳は表向きには乱用の事実を否定していた。三井氏逮捕当時、調活費の乱用をすでにやめていた。しかし、自ら進んで過去の不正を明らかにしようとはせず、謝罪もしなかった。
三井事件当時、次長検事として検事総長の原田氏を支える立場だった松尾氏も「原田さんが辞退するなら自分も」と固辞した。原田氏は17年4月6日、病気で死去。遺族の希望で死後叙勲が行われ、同日付で瑞宝大綬章を授けられ、5月16日の官報に
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください