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パナマ文書に無登録のFX取引業者 法人を隠れみのに違法行為

奥山 俊宏

 英領バージン諸島など租税回避地(タックスヘイブン)に法人を設立したり維持したりするのを主な業務としていた中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ(MF)」から、再び大量の内部文書が流出した。前回と同じく南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)を介して、朝日新聞など各国の報道機関が共有し、分析した。その結果、電話料金の請求書など本人確認書類が偽造されたり、出会い系サイトを運営するアンギラ島法人の役員に身に覚えのない人が据えられたりした事例が明らかになった。MF自身が、自分の管理する法人の本当の所有者を把握できていなかった実情も浮き彫りになった。その法人を実質的に支配する真の所有者はだれなのか、そうした所有者情報をどのように公表し、どこまで法人の背後関係を社会に透明にするべきなのか――。そういう疑問がMF社だけでなく、私たち自身にも突きつけられている。

■違法な金融取引業者

関東財務局にあてた手紙などパナマ文書の一部
 新たに流出したパナマ文書の中に、日本の財務省関東財務局をあて先とする2016年5月30日付の手紙がある。

 差出人はモサック・フォンセカ(MF)。「マックス・トレーディング(コマーシャル)リミテッド」というアンギラ島の会社に対して、関東財務局からMFアンギラ事務所の住所地に送られてきた封書がその主題となっている。

 「我々の住所地で封書を受け取りました。この会社は我々には所属しておらず、この封書をあなた方にお返しします」

 文面は素っ気なく、2行しかない。

 マックス・トレーディング社はそれより前

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