金沢大学病院「同意なき臨床試験」(2)
2018年07月28日
提訴から3カ月後の1999年9月24日付準備書面で国は、「卵巣癌の化学療法として標準療法であるCP療法とCAP療法のうち、Kの腎機能障害が懸念されたためより骨髄抑制の副作用の少ないCP療法を選択して行ったものである。すなわち、本件化学療法は、Kの症状の診断の結果、医師の裁量権の範囲での通常の医療行為として医療水準にある薬剤の中から最良の組合わせ方法が選択されたものであって、右選択は比較臨床試験ではなく、Kを対象とした比較臨床試験は行われていない」「Kに対する本件化学療法は、一般診療として、Kの症状を経過観察し、検討した結果、最も適切な治療方法としてCP療法及びタキソール療法が選択されて行われていたものであり、しかもKは本件化学療法について当科の主治医の説明に同意して右各治療を受けていたものである」と主張した。
CAP療法とCP療法はともに「標準的な卵巣癌に対する化学療法」であり、その二つを比較する臨床試験は実施する必要がないことについては国も認めていた。その点では、原告側と同じ意見だった。
これに対し原告側は1999年11月26日付準備書面で、Kさんの入院診療録の1998年1月16日部分に「1/20ごろよりCAP or CP(GOG登録)をお願いします」と記載されていることを指摘したうえで、①「GOG登録」とは、「北陸GOG卵巣癌症例登録」のことであり、北陸GOG卵巣癌症例登
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