2020年03月07日
内藤: 神戸の港の○○○○○。
記者: ○○○○○ですか?
内藤: これが高浜の海岸で。
記者: あー言っていましたね。フジツボじゃなくて。
内藤: フナクイムシ。外用材を(積んだ船を)係留しとってね。フナクイムシが発生して、ごっつい損害を受けた。発電所の温排水の影響だということで、応対して、支配人まで(話が)上がって――支配人は偉いんでっせ。部長の上ですから――。支配人が
「これはしょうがないですわ。これだけフナムシが湧いてる。実際確認してますねん。だから了解してくれ」
「あかん」
「なんであかんの?」
カネを惜しむんじゃないんです。温排水の補償は、発電所をつくるときに全部終わっとるわけ。それから2年もたってね、もしもまた温排水の補償をしたら、あとはエンドレスに続くわけ。だから、「こんなことやったら、きりない。絶対にカネは払うな」言うてね。
金を出すのはいいが、ただ、温排水被害という名目ではだめ、という内藤の指示に、支配人は困った。交渉はもめにもめ、結局、内藤が港運会社社長と談判することになった。
内藤: 向こうの社長が最後、私とこ来て
「我々としてもそれだけの損害を受けたんやから、とにかく賠償してくれ」
「そんなね、社長、無理した話じゃなしに、いくらカネがほしいんや? それだったら話も。温排水の補償にかこつけて、なんじゃかんじゃやったら一切、拒否する。裁判しよ」
傲慢な社長でっせ。それがね
「へえーーー。わかりました。実は2億ほしいんです」
「それだったら2億出しましょう。温排水は一切関係ないんですよ」
「わかってます」
後で記すが、内藤のいう「2億」は、内藤の記憶違いで、本当は10億円余だったようだ。こうして関電は、港運会社に金を支払うことにしたが、温排水での補償金以外の名目が必要だった。
内藤: 「2億出す代わりに、なんかこちらに出すものないんかいな? なんか土地持ってるんやからほかに土地持っとるでしょ」
たまたま、高浜の発電所の裏山はその会社が全部持っとる。
「それだったら、この裏山全部買いましょ」
でも山ですからね、2億もしない。県のあれに頼んで評価してもらって2億円払います。しかし、なんぼ筆をなめてもね、あれだけの山林で2億円はしない。
内藤は2014年2月10日の同ホテルジムでのインタビューでは、土地売買に県の評価が必要な理由を次のように話した。このときは、森山の名前は出していなかった。
内藤: 「我々は公益事業ですから、言い値で買ったらえらいことになる。安く買ってもいかん。(だから)県の査定にかけます。県の査定で買うことで収めます」と(港運会社社長に)言った。
そして、内藤は、この二束三文の土地を「県の査定」で高く評価してもらう工作を森山に依頼した、という。2014年7月30日のインタビューで、内藤は次のように語った。
内藤: 「そこは私に任してくれ」
で私は同和のおっさんに、いまでも私に何やかや贈ってくる森山いう有名な……、高浜町元助役の森山栄治氏(「高浜町 町勢のあゆみ」から)
「森山さん、かくかくしかじかやから、この男を助けたって。それには、我々は公益事業やから、いい加減なことはできない。カネは出す。2億。わかる? この山林買い取るのに県の用地に話して評価を2億にしてくれ」
「まー、無理やな、それは」
それでも最後はやってくれたんですよ。記者: 力があるんですね。
内藤: きれいに何ら瑕疵がない。県の評価額どおり、われわれは対応したわけですからね。
それでその社長は喜んでね。最後、神戸で盛大に打ち上げ。
内藤: いま高浜がね、そないして2億で買うた山林が非常に、裏山が役に立っている。向こう側まで発電所用地になって、それで喜んどるんでっせ。
記者: それはあるんですね。いろんなものをプールする…
内藤: そこに全部置ける。ほんとに。
この話があった当時、森山は高浜町助役だったと思われる。すでに紹介したように、森山は福井県の知事も一目置く実力者だった。森山が実際に、県に働きかけた事実があるのか、働きかけたとしたら、それはどういうものだったのか、定かではないが、内藤証言によれば、「無理」は通った。2014年2月10日のインタビューでは、内藤は港運会社社長から贈り物を受け取ったことも明らかにした。
内藤: 彫金(ちょうきん)の壺、今で1000万円近くするものをもらった。
このとき、内藤は「どこにも法律違反はしていないよ」と述べたが、6月30日、リーガロイヤルホテル大阪ジムでのインタビューでは、、「二足三文でね。当然、何億というカネにならない。それではしょうがないから、県に言うて。県の評価をとらないかんわけですから、公益事業ですから。で、それで評価してもらって。ここらは脱法ですけどね」と言っている。
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