2020年03月09日
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効及び不利益な取扱いの禁止等(第3条―第10条)
第3章 事業者がとるべき措置等(第11条―第14条)
第4章 雑則(第15条―第20条)
第5章 罰則(第21条・第22条)
附則
第1章と第2章は現行法をベースに対象をやや拡充する。事業者の体制整備義務を定める第3章、消費者庁の権限を新設する第4章、罰則を置く第5章は、既存の法の改正というよりも、実質的に、新しい法律の制定とも言いうる内容となっている。
公益通報者保護法は2006年4月に施行されてこの3月末で14年がたとうとしているが、最近も、企業不祥事が後を絶たず、それらの多くで、内部告発によって違法行為が発覚した。「もっと早く公益通報が積極的に処理されていれば、被害の拡大が防止されたのではないか」との指摘があり、政府はこれを受けて、公益通報者保護法の改正に踏み出す。
法改正で新しく設けられる制度のうち最も大きな影響を企業や社会に及ぼしそうなのが、第3章11条だ。これによって事業者は新たに、内部通報制度を設ける2項義務と、公益通報対応業務従事者を指定する1項義務の2つの義務を課せられる。
事業者は、公益通報者の保護を図るとともに、内部通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならない。(11条2項)
事業者は、内部通報を受け、並びに通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(公益通報対応業務)に従事する者を定めなければならない。(11条1項)
11条2項により、事業者は内部通報を受け付ける窓口を設定し、調査したり是正したりするための体制を整えなければならなくなる。地方自治体や非営利組織もこの「事業者」に含まれ、同様に義務を負う。ここで義務づけられる「必要な体制」や「必要な措置」は実質的に機能するもので
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