前記認定事実及び関係証拠によれば、「凛の会」は心身障害者団体としての実体がなく、「凛の会」の発行する「凛」は心身障害者の福祉の増進を図ることを目的としておらず、本来であれば公的証明書の発行を受けられない状況であったこと、「凛の会」の中心メンバーである河野はこれを認識していたことが認められる。このような状況で、公的証明書の発行を得るためには、団体の実体性や目的を仮装するほか、有力国会議員である石井に口添えをしてもらうことにより、厚労省の審査に手心を加えてもらおうとするということは不自然なことではない。
倉沢の公判供述は、「凛の会」及び「凛」が本来であれば公的証明書の発行要件を満たさない状況にあったことと整合するものといえる。
b. 石井に事前の了解を得る必要性の点について
検察官は、倉沢が厚労省を訪れた際に、村松に対して、石井の名前を出したことが明らかであるところ、後に厚労省側から石井本人あるいは秘書等に話が
・・・
ログインして読む
(残り:約3342文字/本文:約3752文字)