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こんにゃくゼリーの製造物責任を認めなかった2010年11月17日の神戸地裁姫路支部判決の全文

 本件は、亡き○○甲が、被告会社の製造・販売するこんにゃく入りゼリーを食べた際にこれを喉につまらせ窒息し、その後に死亡したのは、被告らがこんにゃく入りゼリーの設計上の致命的な欠陥を放置してこれを漫然と製造・販売したことによるものである等として、○○甲を相続した原告らが、被告らに対し、被告会社につき製造物責任及び不法行為責任に基づき、被告鶴田及び同永井につき取締役の第三者に対する責任に基づき、それぞれ損害金3120万9739円及びこれに対する○○甲が前記こんにゃく入りゼリーを食べた日である平成20年7月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。

1 前提事実

 以下の事実は、当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。

(1)当事者等

ア 原告父及び同甲母は、亡き○○甲(平成18年10月5日生まれ。以下「」という。)のそれぞれ父及び母である。
イ 被告会社は、蒟蒻製品等の製造販売を目的とする株式会社である。被告鶴田及び同永井は、いずれも被告会社の代表取締役である。

(2)の死亡事故(以下「本件事故」という。)の発生

 は、平成20年7月29日、の祖母である○○甲祖母(以下「甲祖母」という。)が与えた、被告会社の製造・販売したミニカップ容器入りのこんにゃく入りゼリー(製品名「蒟蒻畑 マンゴー味」。以下、「本件こんにゃくゼリー」といい、ミニカップ入りのこんにゃく入りゼリーを単に「こんにゃくゼリー」という。)を食べた際、これを誤飲して喉につまらせ窒息し、同年9月20日、死亡した。
 甲が摂取した本件こんにゃくゼリーは、甲祖母が予め冷凍しておいたものであった。
(甲2、甲3の1ないし3、甲37、甲38)

(3)本件こんにゃくゼリーの形状、警告表示等(別紙1ないし4参照)

ア 本件こんにゃくゼリーは、1つ当たりの内容量が25グラムであり、摂取する際に押し出せるよう柔らかいプラスチック製で左右非対称のハート型をしたミニカップ容器に詰められ、上面はフィルム製の蓋がされていた。
 そして、このように個別に包装されたこんにゃくゼリーが12個入れられたものを1袋として、販売されていた。
(甲4、乙1の1・2、乙2、乙3、乙7の1・2、乙8)

イ また、本件こんにゃくゼリーには、警告表示として、外袋表面の右下隅に、横約2.6センチメートル・縦約3センチメートルの大きさで、赤色の「×」印の中に子ども及び高齢者が息苦しそうに目をつむっているイラスト(ピクトグラフ)が描かれ、その上には「こんにゃく入りゼリー」・その下には「お子様や高齢者の方はたべないでください」との文字がそれぞれ印字されており、同裏面の右下には、横約6センチメートル・縦約5センチメートルの赤枠内に、「警告」「●お子様や高齢者の方は、のどに詰まるおそれがありますので、食ベないでください。」「●万が一、のどに詰まった場合には、膝の上にうつぶせにして背中をたたくか、または、にぎりこぶしをみぞおちに当てて押し上げ、吐き出させてください。」「●お子様の手の届かないところに保管してください。」との文字が赤色で印字され、同警告表示の上には、横約6センチメートル・縦約3センチメートルの黒枠内に、「召しあがり方」「容器の底をつまんで押し出して、吸い込まずにお召しあがりください。」との文字が、ミニカップ容器のプラスチック部分を指でつまんで中身(こんにゃくゼリー)を押し出している絵とともに、黒色で印字されていた。また、各々のミニカップ容器の上蓋には、「吸い込まずに底をつまみ押し出しよくかんでお召しあがりください」との文字が黒色で印刷されていた。
(甲4、乙1の1・2、乙2、乙9の6)

(4) 行政機関による事故情報等の公表、指導等

ア 国民生活センターは、平成7年以降、本件事故が発生するまでの間、計10回にわたり、小児や高齢者がこんにゃくゼリーを摂取した際に喉に詰まらせ窒息死した等の事故や、同事故原因の究明のために実施したこんにゃくゼリーに関する調査結果に関する情報の公表を行った。
 なお、国民生活センターが把握している限りにおいて、こんにゃくゼリー摂取による死亡事故は、本件事故までに21件発生していた。
(甲5の1ないし12)

イ また、農林水産省は、平成7年以降、本件事故が発生するまでの間、計7回にわたり、全国こんにゃく協同組合連合会等に対し、こんにゃくゼリーの摂取による事故防止のための指導等を行い、事故防止の対策を徹底するよう通知等を行った。
(甲30の1・2、調査嘱託の結果)

2 争点

(1)被告会社の責任(争点1)

(原告らの主張)

ア 本件こんにゃくゼリーの欠陥

 甲のような幼児が

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