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日債銀の元会長らに無罪を言い渡した2011年8月30日の東京高裁判決

 被告人3名の各論旨は、いずれも、要するに、株式会社日本債券信用銀行(以下「日債銀」という)の平成9年4月1日から平成10年3月31日までの事業年度(以下「平成10年3月期」という)の決算において、平成9年3月5日付け蔵検第104号大蔵省大臣官房金融検査部長通達「早期是正措置制度導入後の金融検査における資産査定について」(以下「資産査定通達」という)及び同年4月15日付け日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号「銀行等金融機関の資産の自己査定に係る内部統制の検証並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」(以下「4号実務指針」という)に整合した基準を設けて貸出金の償却又は引当を行うことは、唯一の「公正なる会計慣行」にはなっていなかったのに、原判決が、そうなっていたとして、それを前提に平成10年3月期の決算において日債銀が償却又は引当をするべき貸出金の金額を認定したのは、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認及び法令の適用の誤りがある、というのである。

 そこで記録を調査して、当審(差戻し前控訴審を含む)における事実調ベの結果も併せて検討すると、平成10年3月期の決算においては、資産査定通達及び4号実務指針に整合する基準を設けて貸出金の償却又は引当を行うことは、唯一の「公正なる会計慣行」にはなっていなかったというほかなく、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認及び法令の適用の誤りがある、その理由は、以下のとおりである。

1 前提となる事実関係

 原審及び当審(差戻し前控訴審含む)において取り調べた証拠によれば、次の各事実が認められる。

 (1) 昭和57年4月1日付け蔵銀第901号大蔵省銀行局長通達「普通銀行の業務運営に関する基本事項等について」の別紙「普通銀行の業務運営に関する基本事項」の第5の1の決算経理基準(以下「決算経理基準」という)により、大蔵省銀行局長が、銀行に対する監督権限に基づいて、普通銀行の決算の基準を定めており、その決算の基準は、大蔵省銀行局長通達「長期信用銀行の業務運営に関する基本事項等について」によって、日債銀等の長期信用銀行にも適用されることとされていた。

 (2) 決算経理基準は、平成9年7月31日改正されているところ、その改正前には、貸出金の償却については、「回収不能と判定される貸出金及び最終の回収に重大な懸念があり損失の発生が見込まれる貸出金については、これに相当する額を償却するものとする。なお、有税償却する貸出金については、その内容をあらか

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