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誰がための司法改革――取り調べの可視化

古西洋

古西洋

 車を運転して交差点を左折した直後だった。白バイに呼び止められた。横断歩道を渡っていた歩行者がいたにもかかわらず、その前を強引に通過した。これは交通違反だ。若い警察官はそう通告した。「歩行者との間には十分な距離があったから通った」と抗弁したが、警察官は「歩行者はあなたの車に気付いて横断歩道上で立ち止まったでしょ」と受け付けない。車が次々と走り抜けていく脇で、しばらく押し問答を続ける。「納得できない」といってみたものの、検察庁や裁判所に出向く時間と手間が頭をよぎる。結局、違反を認める書類に署名している自分がいた。

 ドライバーならこうした経験の一つや二つはお持ちではないか。こうした任意での取り調べでさえ、取り締まり当局の強大な権限に抗するのは、一般の市民には至難の業だ。ましてや逮捕され、留置場に何十日、ときには何ヶ月も勾留されたら、どれだけ平常心を保てるか。

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筆者

古西洋

古西洋(こにし・よう) 

朝日新聞記事審査室長兼紙面オンブズパーソン兼紙面審議会事務局長。1955年生まれ。社会部で司法やメディアを担当。論説委員として司法改革や裁判、事件などの社説を執筆。2011年6月から現職。共著に『ルポ自粛』『孤高の王国』『代用監獄』『被告席のメディア』。

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