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電子雑誌なくして電子書籍の未来なし

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

電子書籍の議論は百花繚乱(ひゃっかりょうらん)である。将来性を語るとき、どの視点から有望なのかを整理して議論する必要がある。その整理の上で、「百花」の中であまり聞かれない論点を1つ提示してみる。

 ここへきて電子書籍が注目されているのは、「一見目新しいように思える」端末が出現したからである。しかし、これまでも電子ブックリーダーという商品群は何度も出現し、そして撤退同然の憂き目にあっている。この点で、まず既存の端末メーカーは慎重である。Kindleを送り出したAmazonやiPadを送り出したAppleに市場を突破された感覚もある中、過去の失敗との違いを十分に明らかにできず、展示会基点では新製品を強く自己主張していても、電子書籍専用端末のマーケティングに踏み切る判断をつきかねているように見える。

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