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刑事司法そのものを改革するしかない

古西洋

古西洋

 郵便不正事件の捜査を担当した特捜検事による証拠品改ざん事件は、特捜検察を信じてきた人々にとっては、信頼を裏切られて腹立たしいことだろう。ただ、捜査官による証拠の改ざん行為は、国内外を問わず、刑事司法の世界ではこれまでにもしばしば起きてきたことだ。本来は自由な市民を逮捕して密室で取り調べる、他人の家や仕事場に乗り込んで必要なものを押収するといった絶対的な捜査権力を持つ人間が、しばしば陥りやすい魔の世界であり、絶対的な権力は絶対的に腐敗するという真理を思い出した方がいいようだ。

 ここは冷静になって考えた方がいい。怒りにまかせて特捜検察を廃止することが、市民にとって最善の策なのかどうか。ロッキード事件やリクルート事件といった、政治家と官僚、経済人らによる巨大な不正行為を特捜検察が摘発してきたのも事実だ。特捜検察を廃止してこうした事件を摘発する機会を減らすことのデメリットと、絶対的な権力を持つ捜査機関によって人権を侵害される危険性を取り除くことのメリットを比較して考えざるを得ない。 ・・・ログインして読む
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筆者

古西洋

古西洋(こにし・よう) 

朝日新聞記事審査室長兼紙面オンブズパーソン兼紙面審議会事務局長。1955年生まれ。社会部で司法やメディアを担当。論説委員として司法改革や裁判、事件などの社説を執筆。2011年6月から現職。共著に『ルポ自粛』『孤高の王国』『代用監獄』『被告席のメディア』。

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