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捜査情報漏洩が示すメール依存の危うさ

川本裕司

川本裕司 朝日新聞社会部記者

「私のこれまでの2年半は何であったのか。忸怩たる思いだが、そんなことを言っても仕方がない。コンプライアンス(法令順守)について改めて再スタートさせたい」

 NHKスポーツ部記者が野球賭博事件に関する家宅捜索の情報を時津風親方にメールで漏らした問題で、福地茂雄会長は14日の定例記者会見で嘆いた。08年1月に会長就任する直前、記者ら3人が特ダネ情報をもとにインサイダー取引したことが明るみに出て以来、コンプライアンスの徹底と組織風土の改革を最優先させ、絶えなかった不祥事を減らすことに成功していた。1期3年のゴールまで3カ月という時期の汚点に脱力感を口にしたのも理解できる。

 NHK関係者によると、相撲を担当するこの記者は引退した元横綱・朝青龍に食い込んでいた。引退した横綱に代わる新たな情報源を探し、焦っていたという。

 報道機関の記者から家宅捜索の情報が捜査対象者に漏らされたのが発覚したのは異例だ。証拠隠滅につながりかねない行為が非難され、視聴者から批判の声が殺到したのは当然だろう。

 今回、情報漏洩の動かぬ証拠となったのは、メールを受けた時津風親方の携帯電話が押収されたからだった。携帯メールが取材の日常的な道具になってから10年ほどにはなる。取材先が電話に出られないときでも連絡を取れる便利なツールだ。ネタ取りから事実関係の確認まで、メールで行うことは報道現場に日常的な光景となってきている。私自身はしたことはないが、メールをもとに記事を書くことも珍しくないといわれる。

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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