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暴言警察官で警察に降りかかった火の粉

緒方健二

緒方健二 朝日新聞西部報道センター記者

 大阪地検特捜部主任検事による証拠物改ざん事件を警察がどう見ているかを前回書きました。さまざまな受け止め方はあるものの、全体としては「対岸の火事」視していました。ところがある出来事のために一転、様子が変わりました。検察にだけ降りかかると予測していた取り調べの可視化問題に、警察も向き合わざるを得なくなったのです。

対岸の火事の火の粉が

 その出来事は10月7日に噴き出ました。大阪府府警東署刑事課の男性警部補(34)らが、遺失物横領容疑で任意で事情を聴いていた男性会社員に「殴るぞ」「なめんなよ」などと暴言を浴びせたーー。そう大阪府警が発表したのです。大阪地検問題は、開会中の国会でも当然取り上げられています。府警が発表した7日には、菅直人首相が参院本会議の代表質問で「被疑者取り調べを録音、録画の方法により可視化することについては、その実現に向けて取り組む」と述べ、捜査当局の取り調べの全面可視化導入に積極的と思える姿勢を示しました。

 民主党は昨年の衆院選マニュフェストに取り調べの可視化を盛り込みましたが、鳩山由紀夫前首相が首相在任中に「いま考えていない」と述べて慎重姿勢に転じていました。ところが大阪地検の不祥事で滅茶苦茶な捜査の実態が発覚したため、党内では全面可視化法案を提出する動きも再び勢いを増しています。

 主任検事の証拠改ざんと可視化は結びつかないように見えますが、そうではない。改ざんの舞台となった郵便不正事件では、逮捕された厚労省の村木厚子元局長が無罪になりました。判決は、取り調べの誘導を問題視しました。民主党の「取り調べを全面可視化する議員連盟」の中からは「可視化が実現していれば村木元局長の事件は防げた」という声が聞こえてきます。

 改ざん事件の背景や原因を調べる最高検の内部検証が続いています。再発防止策を含む検証結果について、柳田稔法相は外部の有識者の意見を聞いた上で出すよう大林宏検事総長に指示しています。警察庁幹部はその結果を予測して気をもんでいます。「事は検察だけで終わらないだろう。警察の取り調べにも言及するに違いない。暴言警部補の問題はタイミングが悪すぎる」と深刻な様子で話しました。 ・・・ログインして読む
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筆者

緒方健二

緒方健二(おがた・けんじ) 朝日新聞西部報道センター記者

朝日新聞社会部員(組織暴力専門記者)。1958年大分県生まれ、同志社大卒。毎日新聞社を経て88年入社、92年東京本社社会部。警視庁警備・公安、捜査1課、国税などを担当、99~2004年警視庁キャップ。東京社会部デスクを経て、04年から警察・事件担当の編集委員。地下鉄サリンなど一連のオウム真理教事件のほか数多の殺人、贈収賄、暴力団犯罪などを取材。17年4月から西部報道センター。

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