本田由紀
2010年11月02日
それはさておき、「草食系男子」に話を戻すならば、仮にそれが「マッチョでない男性」つまり女性に対する身体的・社会的優越をふりかざしたり女性を自らの価値を高めるための装飾品とのみみなしたりすることのない男性を意味しているとしたとき、私はそのような男性類型が登場し、増加が語られていることを望ましいことだと思う。
性別役割分業規範に基づく様々な男女間の不平等がことのほか強い日本社会において、それを掘り崩すような意識と行動が、むしろ男性の側から現れていることはとても興味深い。女性の側から尊厳や権利を主張するフェミニズムに関してはこの社会でも一定の歴史と蓄積があるが、男性側からの不平等解消の主張は希薄だったからだ。しかも「草食系男子」は主張ですらなく、存在であり現象である。机上の理念や肩肘張ったスローガンでなく、男性性にこだわらないふるまいや考え方を体現している若者が自然発生しているということは、より確実な社会変化を物語る。
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