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この分野だけは、共産主義経済も有効策

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 プロ野球というビジネスの衰退について、近鉄や横浜の球団譲渡問題がクローズアップされているが、球団譲渡や球団数増減は、数十年前からコンスタントに起こっていたことである。

 日本のプロスポーツにおけるメディア露出量の頂点にあるプロ野球だが、近年に至って地上波放映が大きく減り、ほとんどの試合が衛星やケーブルで放映されるようになった、という事態を深刻な衰退と捉えるむきもあるだろう。しかしそれは多チャンネル化の必然であり、趣味嗜好の多様化の必然に過ぎず、ビジネスモデルとして困るのは球団よりもむしろ民放テレビ局である。

 日本のプロ野球の生い立ちを知る方も多いだろう。約80年前に、すでに人気を博していた、現・高校野球や現・大学野球(いずれも新聞社が協賛)の向こうを張って、読売という中堅新聞が紙面づくりのためにニューヨーク・ヤンキースを招待してイベント試合を見せるにあたり、対戦相手である職業野球団を創設する必要があり、巨人ができて、イベント後の対戦相手も次々にできた。

 この構造は、つい近年まで連綿と続いてきた。球団経営は本来的にオーナー会社の宣伝媒体であり、企業名を冠する球団法人として年間数億円の赤字になるという事態は、決してオーナー会社の宣伝費として高額なものではなかった。だからこそ、宣伝として見合うかどうかの判断で、かつて隆盛を極めた映画会社や鉄道会社が、金融や流通や放送・ITなどの業界に球団を売却していった歴史がある。

 もともと球団法人自体は、年間で百億円前後の収支規模を持った企業群に過ぎない。そして株式会社ではあるが、あくなき利潤を目指す企業体ではない。観客、購買者、地域経済、への強力な信頼を築き、夢を与えながら、ヘルシーな収支(若干の赤字含む)を維持し続けることが至上命題の、いわばNPOである。

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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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